小枝に星が止り
漏れ落ちる月明かり
微かに緑色に光る羊歯
苔は森の水を濾過して
妖精にどうぞと言う
言葉さえ持たない
透明な森の羊歯
葉の形は心の形
優しく恥ずかし ....
雨が止んで
月の光が庭に落ちる
照らされるのは妖精の羽根
背の高いタチアオイが二人
寄り添って踊り始める
赤い絵の具が流れるように
フレデリックが
月明かりでピアノを弾く
....
真昼のまぶしさの下
水中眼鏡で世界をのぞく
あらゆるものがここでしかない自由をまとい
わたしだけが不自由だった
にせもののひれを誰も笑わない
ゆるされていた夏
さよなら、まりも
ひんやり ....