降りだした雨は悲しかった
いつもの道に咲く花々も
項垂れている
朝は洗濯物が
どこのベランダでも賑やかだったのに
急に閑散として
残った洗濯物は何も言わない
こんなことを悲しいと思う ....
すこし悲しみのある朝
昨夜に知ったこと
少し期待していたこと
そんな想いはもう無いと思っていたけれど
朝目覚めて
胸にじわじわと広がる
少し滞る朝ごはんの支度
....
煮詰めた汁
きつい橋からただよう測り方もどうせ数字
どこにもない女がトー横も腐れ縁しばらくYouTube
ガスがいくらも漏れて12万で安かった40万もいた
ギリ ....
部屋から
電車の走る音を聴くと
安心する
疲れたひとびとが
ゆっくりと
家路を辿っているようで
これから癒す眠りにつくひとびとや
眠れずに夜通し起きているひと
いろんな葛藤があり
....
張りつめた銃声の
重くのしかかる 緊迫が、
涙となって
少しずつほどけていく
野生の 最後の それが亡くなった報告は
他に行き場もなく 認定された
蔓延する
殺戮に悲 ....
体験すること
声の奥にある響き
声と響きの幽玄
ああ雲が
流れていく
いつも泣いてた
わたしも人も
悲しみや嬉しみ
山川の時の響き
ああいつでもいいから
私に声をかけて
....
まだ1ヶ月以上あるというのに
この時期になると
街のいたるところに
イルミネーションが灯りはじめる
一個人の家庭から
木々のこずえ
待ち合わせの広場
イルミネーションの灯では
....
粉雪の夜空からそっと舞い降りてくる、とてもちいさな白い天使たちが、君のながい睫毛の上にそっと置いていった、とてもちいさな氷水晶。
冬は
つま先からやってくる
朝の換気のあと
畳を踏みしめると
つま先に
じわっと
寒さが滲む
つっかけを履いて
ゴミ出しに出れば
つま先に
冬を感じる
お布 ....
ことばが灰になる
皮膚を焼くのと同じ匂いで、
私の祝詞は、
毎月、かすかな煙をあげて消失する
――わたしたちは
プーチン大統領に起因する不条理に反対する、
と
白紙の地図を焦がしな ....
色を落とした、黄色、褐色の、紅色の
手紙の断片たちが、道の片隅や、真ん中に
からっ風で湿度をなくして
散らばっている
それを潰して
計算できない枚数に砕ける
どうしてうれしい
かなしくな ....
獏とした 秋の
あわい天幕から
剥がれ落ちたか
光はつもるほど
景色から重さを奪い
ふっと 舞い降りた
枯葉の小舟
蜘蛛の仔を乗せ
銀の糸かそけく
固くほどけぬ結び目に
娘の頬は上 ....
「もう、寝てしまうん?」
酔った頭の横で
やさしく囁く声がする
──その声が好きなんだな
突っ伏したまま
好い心地で聞いている
時折ぐるぐる回るので
それを止める為 ....
透明なグラスに注がれたコカ・コーラには西陽が射し込んでいて、そのなかには幾つもの氷が沈み込んでいる、その一番上のものには幾つかのちいさな罅が入っていて、まるで浄土の影がわずかに映っているみたいに、その ....
食べても食べても減りません
いつかは無くなるのは
わかっていますけれど
みかんの季節です
待ち焦がれた季節がやってきました
大きなバケツに山盛り
有田みかん 四百円
「 ....
星降る夜の悲しみは
どんな銀貨で払いましょう
街のネオンは光り
人々は通り過ぎていきます
盛り場で人達は
苦しみと悲しみを繰り返し
恋の成就だけを望んでいました
今夜の一盛りは
歴史に ....
山土は
高い所に存在し
鮮やかな茶色を見せている
私のために歌っておくれ
悲しみに沈まぬように
高山植物の
緑が目に入る
花も咲いている
私は歌おうか
完全なる存在のために
山 ....
春の光と海の光
夏が来ても忘れない
太陽はさらに輝きを増す
海がきらめいて
私たちの間の距離は
近づく
もっと
もっと
眠れないから針を投げる
夜がナマズみたいに口を開けてる
忘れた頃に届いた手紙
still love you.なんて
文末に軽く添えやがって
こっちは本気だったのっ!
白くなった ....
鶴のおおくいる村に、
温泉へと向かいました、
露天風呂に入ったあと、
石だらけの日本庭園のベンチに座り、
その竹垣のまわりには、
樹々が青々と生いしげっており、
その葉がそよ風にさやさやと ....
京阪電車の線路沿い
車道を跨ぐ電線の五線譜に
音符が一拍、陽射しで霞み
黒い羽をひろげて飛びたった
窓越しに流れる炎昼は
人通りもなく
『割烹あんど喫茶』の看板を掲 ....
怒りへの心掛けを知りたい
ほんの些細なことに
火が付いたように激怒する人がいる
何をもってしても許さない人がいる
そんなに怒って
何か佳いことが待っているのかしら?
....
{引用=(𝘭𝘦𝘵𝘵𝘦 𝘳)
ユウヒはとてもかわい よね さいきんなにしてすごしてる の ぼくはさいきん読みものしてる さいしょはわから なくて しらないことが少しずつわかるようになると これまでそう ....
恋人が蝶だった、ひらひらと羽搏きながらじゃれ合って、夏のあおぞらへとどこまでもどこまでものぼってゆく、その陽と風と葉はとても明るかった、ぼくはたしかに蝶だった、やがてそれぞれの夏空へと旅立っていってし ....
犬の名前を並べる、
タロー、ルル、ブンタ、シロ
そのことを悔い、
喉元にキムチの色を塗りつけて、
俺たちは、見つめあった
北の城壁が高く聳えていた
たぶん、高さは、
喉の渇きで測った ....
私のこころには
ちっぽけな美しさがある
ささやかな優しさがある
愛された記憶がある
愛した記憶がある
ただただ
愛するひとの幸せだけを祈った純粋がある
醜さに満ちたこころにも
....
お見舞いを書くのは
ふつう七月か八月だったけど
六月の梅雨どきに
「猛暑の候いかがお過ごしですか」
という葉書を出したら
笑われるだろう
それでもほんとうに
実に暑いから
冷房理で ....
祝いの誕生日
庭に切り殺した 美しい植物をあげる
3歳児の顔で 姉は
うさぎの顔のついたスリッパの方がよいと 駄々をこねる
それは、植物よりも利便性が高いから
それは ....
初夏はまだ始まったばかりだというのに、早生まれのトンボがもう死んでいる、アスファルトの上にその細い細い機体を傾けて、まだ生きていたかった、みたいに、そのうすいガラスのような透明な羽を、そよ風にかすかに ....
勝手にしやがれ 言葉なんか自由だ
だけど俺はお前らの文字列に迎合はしない
空っぽを掴み取ってこねくり回して
料理ができたように見せつけるコックども
それをありがたがって食う連中
理解する気も ....
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