僕はゴミを出しに行く
君は朝ご飯を作る
お互い家事を贈り合って
平凡な生活を稼働させている
僕は車の運転をする
君は行き先のお菓子屋さんを調べる
お互い労力を贈り合って
平凡な休暇を ....
雨にも負けた
風にも負けた
せめて自分には負けまいと
思っていると見事に折れた
どうしょうもないので
笑ってる
今夜、黒い雨合羽の男が電話をくれる気がしてる。
分厚いタウンページの、僕のページを引き当てて。
お店にとってお客は神様だけど
神がかった提供をすれば
お客にとってお店が神様になる
子どもにとって親は神様だけど
神がかった能力を出せば
親にとって子どもが神様になる
人は総ての神 ....
焼き立てのフランスパンを一本抱えて歩く帰り道。
ライフル銃の、その銃口から立つ、香ばしい小麦の香。
おーい、どっかの国の、どっかの裏道に転がる青い小石、よく聞け!
いつか僕に拾われるその日まで、君は君の青さを失わずにいておくれ!
見上げたり、聞こえたり、感じたり
たまに体の中に入ったり
どこにでもあるその色に
私はどうしようもなく
あの時感じた想像を重ねてしまう
同じなのに、もどかしい
私はわ ....
古い毛布にくるまって
そのほのかなぬくもりの中へ落ちてゆく
ときおり失った言葉を見つけ直したりして
なんで毛布が言葉を覚えているんだろう
そういぶかっている自分に気が付くと
ディスプレイ ....
どんな恋愛も
ドラマのよう
魅力的な出来事が
重なるようにして
目の前に現れる
ドラマで見たような情景が
今目の前に映し出される
あなたのその瞳が
キラキラしていて
幸福 ....
また 新しい一年が始まった
誰かに対して
怒ったり 笑ったり
些細なことが許せなかったり
大人気ない自分
そんな自分にがっかりを繰り返しながらも
この当たり前にある毎日が
ふと ....
はよ起きて
はよご飯食べや
はよ食べーや
はよお皿持ってって
はよ着替えてな
はよ歯ぁ磨きぃな
トイレはよ出て
準備おわってんの
はよランドセルに入れや
えぇ宿題してへんの
なんで ....
地面に手をついた雪は
もう二度と立ち上がれなくても
丸い形を幾つも残して
あなたの足音に手錠をかける
物語のラストシーンは
裏切りながら愛していくほど
私の真実に赤い実が落ちて ....
行きたい所を決めて
良いイメージを持ちながら
あなたとデートを楽しむ
見る街並みもお洒落な店も
輝きが増し特別感が湧く
何処へ行こうか
前日から色々考えて
幸せ気分を味わう
....
嗚咽を抑えつけるために
息を止める
どんよりとのしかかってくる薄墨色の雲を見上げて
立ち止まる
涙の雫が零れ落ちてしまわないように
拳を強く握りしめてしまわないように
まだまだもう少し
....
君といる日々は永遠のなかの芥子粒程の幸福と思うけど
金木犀のちいさな花のように慎ましいかおりかもしれない
風に聴き耳を立ててごらん
すこしぐらいつまづくのはかまわないんだから
部屋のか ....
涙で心を洗うしかない
海の部品が落ちていた
大事な部品を落として
海は今頃
どこで凪いでいるのだろう
行方を捜すにしても
持っている地図は改訂前のものだし
海に関係する友達も
親戚ももういない
海を作っ ....
苦労を格安で売ってるんで
誰か買ってくださいな
海王星と冥王星は今でも友達だろうか。
年賀状のやりとり、まだ続いているかな。
月の夜にはからすが舞う
かけたままの心には蟋蟀が鳴いている
無垢な地図帳には地番がない
条件は
いつだって
みたされないものだ
要件は大概なおざりにされ
描き続けること
想 ....
夜が深まっていく
連絡がつかない、繋がらない
隣室ではコツコツと壁を打つ音、間欠的に
遠くの森を手を繋ぎ歩いた愛娘は
青春を謳歌しているだろうか、今頃
夜が深まっていく
オレンジジュー ....
母が私に
寂しい寂しいと泣く
そのたび
犬が
ずっと母を見ている
それが
たまらなく悲しい
私ではだめですかと
犬が言っているのに
母には聞こえないのだろうか
アニメを見て泣いたり
映画を見て泣いたりするのは
本当は悲しい心を
何かに転換するためだ
泣く理由が欲しい
泣いていい時間が欲しい
大人になったって
心は叫ぶ
温か ....
昔の番号に電話する
トゥルルルルルルトゥルル
深夜1時
折り返しの点滅
月の溶ける夜は
どんな望みも 叶う気がして
君の
日差しに透かすと
黄緑りがかる 綺麗な瞳に
映り込みたいと
君の
寒い朝に
ほのかに赤く染まる
....
三日月の夜にだけ零れ落ちる
月の雫を浴びた花のことを
この地では月花と呼ぶ
その花を煎じて作られた秘薬は
古くから健康長寿の源として
月夜の民に親しまれてきた
真面目に働き旅人にも ....
昨日でもない
明日でもない
今日でもない
いつだってはじまりだ
辛い時 振り返る景色がある
それは若き日溢れんばかりだった感情を
形にしていた場所
いつからか辛い時なにかを
残していく場所になった
その景色は曇っただろうか
それとも濃く ....
ペットボトルに
お湯を入れて
タオルで巻くと
その暖かさに
安心して
眠るのだそうだ
きみにとって
そのぬくもりが
母親なのかい?
うっとりと金木犀の秋日かな
込み上げる郷愁の念空高し
群れをなす曼珠沙華と青空と
1 2