いつか完成するだろうか
あばらの中のいくつかの空洞は
満たされて、微笑んで眠るだろうか
脂肪に埋もれる柔和な女になれるだろうか
昔は違ったのよ
と笑って言うことができるだろうか
抱 ....
日焼け止めを塗っても肌は焼けるし
信頼していても裏切られる
空腹に注ぐコーヒー
一杯のどす黒い目覚め
止まった時間が動き出してほしいと願い
欲しい物リストに時計を追加した
君と ....
雨。
浮かれた願いを流してしまって
蝉の声も聞えない
しんとしたスコールが窓を叩く
耳の中の狂騒。
蝸牛がのろのろとフローリングを這い
残る鈍く光る涙の跡
蝉の声が死んだ時
私 ....
なにも言葉が出てきません
吐き出す時ではありません
笑顔が減ったともっぱら噂
泣き出す時ではありません
会いたい会いたい 死ぬまでずっと
あなたの素性は知りません
夢にも出ない冷たい他 ....
そこで息子がこたえる
「ヘルパーのお兄さんです」
操り人形のように生きてきて
大人から子供になったような人生で、君を傷付けるなんて思ってもみなかった
姿が見えない
心が見えない
自分の心は丸裸なのに
泣いていることにも気が付かない
....
ロジックで理論武装した詩人がいた
ロイド眼鏡ををしたひょうひょうとしたたたずまいだ
感性で動きたいがロジックが剃刀のようにじゃまをする
それは僕なのだろうか
文体の精度をあげるたびに
あ ....
暴力的な愛に突き上げられてしょっぱさでぐちゃぐちゃになる
愛してと願う度にぶたれて鍵のかかったこの部屋からもこの人からも逃げられないんだと悟る
砂利と泥っぽさで汚れた床には赤いスニーカー
ワイン ....
壁一枚向こう側の
瞬きの広がる藍色の世界は
どこかでその姿を現し
誰かの心に語りかけているだろう
この壁は天高く分厚い
砕こうにもこの両手は届かない
....
立ち止まって
空を見上げる
そこになにを
求めるでもなく
ただ上を向いていたい
あんまり下ばかり見ていると
堕ちてしまいそうになるから
たまには深呼吸して
空を見上げて
高みへと飛ん ....
木を植える
まだ草のような
苗木を植える
時計の針をセットするように
一日を新しく始めるように
この一点に集中する
冷気は言葉を生み出していく
終わりのない長い文章を
だが木は記述され ....
高利貸しの老婆を殺した女
シノギを納められない八九三
Kで命を削るジャンキ-
すれ違う事はなく擦れ逝く者
破滅が立ち尽くし山羊を待つ
朝の来ない日々へと向かう羊達
あかい傘ななめに濡れた路をながれ
雨音のつめたさに背中を欹てながら
遠景へ漕ぎ出して傍の違和をぼかす
迷い鳩に差し伸べた手の仕草の嘘を
街路樹の間から無言のまま見つめる
おんなの ....
君の姿を初めて見たとき
君の顔は白く固まっていた
初めましてのあいさつが遅れたね
僕は君の叔父さんだ
安らかに眠るといい
眠るために生まれたんだよ
君はきっと
君の顔は美しく化粧 ....
広い邸宅など要らない
ベッドは
身体を横に出来るスペースがあれば良い
食卓には
茶碗の置ける隙間があれば飯は食える
とうそぶいて
新聞が 雑誌が 広告が
テーブルに積み重なり
ベ ....
黒曜石の瞳を閉じて
秋風とともに往ってしまった君は
そろそろ成層圏あたりにいるはずだ
ただ
ぼくにできることといえば
天空にそびえる岩壁をノロノロとよじ登るだけだった
君に届けとばかり ....
溢れる海の{ルビ思想=おもい}を
透いた生命の鼓動にのせて
ぼくはきみに語りたい
{ルビ灼=あつ}い 熱い視線の息吹に恋い焦がれ
ひとり 沈んでいった人たちのことを
ふるえる ....
鞄屋から仕入れた道具で
踏切を越えたのなら
其処からはもう戻れない
敬謙なクリスチャン達の
祈りが折り重なり
優しい貴方の左眼から
涙が溢れ零れても
星と光と闇より
現実味のない宇宙遊泳
足元を掬われる前に遊び浮く
くるくると天井を知らず地も知らず
青い星からのはぐれ者
家出した散見される彗星になって
仄かな星明かり、頼りに闇を行く
....
空いた穴を塞ぎたいって
ドーナツを目に当てた
この穴が塞げるのなら
きっと私の体も治るのだ
数値の異常を告げる紙を
飛行機にして飛ばした
あっという間に墜落して
車に轢かれて
赤い ....
誰の人生でもない
自らの生きる道を
切り拓いていくゆくんだ
荒野を走り抜けて
ゆっくり歩いてもいいんだ
知らないあいだに道になる
環境は自らのあしで踏みかえていこう ....
夢を見てた
行ったり来たりする時計の振子は
正と負の引き揺らしを
背負っているのだろうか、と考えてみて
なんと答えが出た?
注ぎ足したはずの水を飲んで無駄にして
ペットボトルの水量はい ....