溢れる海の{ルビ思想=おもい}を
 透いた生命の鼓動にのせて
 ぼくはきみに語りたい
 {ルビ灼=あつ}い 熱い視線の息吹に恋い焦がれ
 ひとり 沈んでいった人たちのことを
 ふるえる ....
車の中のあなたは雨 避けがたくとりとめもなく

一つの今と一つの場所が移動する 相づちは質量を残さない

「モノローグ」そう題された つめたい彫像として心臓まで

こと切れたままのラジオ  ....
 

沈殿する鉛の溶液
筏の上を旋回する風
雨燕の航跡に
月の光を編み込んで
透かし見る夕暮れの
押しボタン式信号機


「おつきさまはついてくるんだよ
ほらずっとみててごらん」 ....
風は奏で 
光は描く
ハリエンジュのさざめきに
まなざしは戸惑い
優雅に失速する
水面に解ける止まり木
鳥は魚を続けた
裏腹に
なめらかに
時間には抜け道がある
探しても見つからな ....
さかなたちは宇宙の周りをくるくると泳ぐ。
さかなたちは世界の周りをくるくると泳ぐ。
なかには流れ星になるさかなもいる。風になるさかなもいる。波になるさかなもいる。
神さまだってくるくると泳ぐ ....
男がため息をついている
背中はどんどん小さくなって
いつのまにかそこには
泣きそうな男の子がいるだけになる

男はせきばらいをひとつして
たちあがって歩いて行った
その背中はまだ少年だっ ....
それでも詩を書いてみようと思う。 
雨は立体的な悲しみで、僕の悲しみに寄り添ってくれる。
雨を浴びると悲しくなくなった。〇になった。
わたしたちは立体的ではなく、平面的でもなく、〇だ。と僕が ....
満月 あなたはひどく怒って
穴だらけの夜を叩いた
道路や橋は
眠ったふりをした
夜は
しゃがらんしゃがらん
叩かれるたびに
穴を埋めていく
みんな起きていた
あなたがかなしそうに怒っ ....
タバコの煙で会話するひとがいる
その表情は煙でぼかされている

隔離された空間で
ひとりの顔をみせている

私はタバコを吸わないけれど
なんにも言わずにみていたよ
あなたの白いその顔を
部屋のなかの風速はマイナス
まるでフラスコの底で
蹲るだけの異邦人
となって私は偶像を失い
祈り方を忘れる
(遠ざかってゆく)思い出という名の
私を掌ってきた漣は
枯渇したみずうみで途方 ....
蟻の角はまだ あるのだろうか
遠吠えや 躓きや 読みかけの頁は
まだあるのだろうか

目をあけて見やる身辺に
ころころと付属する色色を
憎んだり愛したりもせず
ただそれと知って引きず ....
山のむこうゆっくりと橙は灰
日暮れて暗く やさぐれて
苦楽の果てに捨てられた
途方に暮れてホウホウ鳴いて
ケルトの老婆アイヌの老婆
とろとろ炙る枯れた掌に
あまいこどものあたまのいたみ
 ....
 真夜中に飲むアールグレイに心は踊る。
 記憶の中のバレリーナのようだ。
 真紅の液体はほんのり苦い。
 記憶の中の初恋のようだ。

 煙草を一本。あの頃の記憶が蘇る。
 あれは横浜の ....
いきなり冷水を浴びせられ
置かれた境遇に気づく
昨日まで笑いあっていた人々が
一歩退く
仕方無い
自分はそちら側でなくて良かったと
誰もが胸を撫で下ろしている

私に向けられる
さり ....
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