おやすみなさい
蒼く輝く星
おやすみなさい
オレンジ色に光る月
おやすみなさい
この
果てしない夜空の下の
どこかにいる君
君は暖かいベットで
良 ....
朝靄の中
頼りない影を引いて
配達夫は世界の悲報を配るのに忙しい
昨日のキスは二人しか知らないこと
ベットに傾けようとしたとき
「今夜はいや。」と云った君の
声の湿度は僕の鼓膜しか知ら ....
スチュワーデスさん、とスチュワーデスに声をかけると
私にはケイコという名前があるんです、とそっぽを向かれる
今度こそ間違いの無いように、ケイコさん、と呼ぶのだが
ケイコは押し黙ってしまう ....
僕 達 は も つ と 一 緒 に ゐ る べ き だ つ た 。
遠 く で 鳴 く 蜩 の 夏 。
結婚したてのころ
奥さんがバスンバスン布団を叩く音を聞いて
親のかたきじゃないんだから何もそんなにまで
なんて思ったけど
十年目に
「布団は親のかたきなの」
衝撃の告白
親のかたきに ....
からだが どうん、まばたきしたときの
あのせかいが まっぷたつ から、ゆうぐれて
頭から 地球の中心に ぐん、と押されると
わたし、いつも きまって あやまってしまう
ごめんなさい、ごめんなさ ....
占い師のバラードで混み始める市役所
1/60億 分母そんなにいらない
猫おっかけて風になったどうしよう
「人間」だなんて、もっと軽々しい名詞でいい
....
「俺って結構まじめなんだよ」
っていう男は多い
ほんとに多い
いったい何が言いたいのか
さっぱりわからない
心の中では
「へえー」と答えてるけど
別に言わない
繁華街のホテルを出た
....
このままどこかに行ってしまおうか
帰りの車中でそんなことを言っていた二人は
どこにも行けないことは知っていたけれど
その言葉だけで十分満足だった
今、僕らは三人になって車も一回 ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている
父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
C2のボトルが夜の始まりでダストボックスに蝉の抜け殻
「きょうだけはけものにさせて」「けものならすききらいなどないはずなのに」
まっしろなシーツの上の波が凪ぐ 引き攣る指が津波 ....
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気が ....
ス テ ロ イ ド
傾 ぐ 夢 さ え 痛 む な ら
遠 い 目 蓋 に 果 て よ 、 残 夏
縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる
夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄
鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ
鏡台に映る妹べにを ....
センレツナ
キオクダケヲノコシテ
キエテシマイタイ
女の残り香が飽和した部屋の片隅のベットを
夏が来る前にシングルにしよう
と決めてから
もう何度も朝日を浴びて
僕が寝返りを打つたびに
ぐっと沈み込みながら
男臭いにおいを嗅ぎ続けてくれ ....
君の好きな白いTシャツとリーバイスを脱いででも僕とセックスするかい
圏外は僕を孤独にするからさ、わざと知らない番号を打つ
くちばしをとがらせとがらせひからせてさいごのキスにしようと ....
歩き出す 30分で寝るために回り続けた扇風機まで
売春で出会った君が好きだったロイズのチョコを噛んだりしてる
今一度死んでもいいというような気分で英語の授業を受ける
明日の朝、起きら ....
駅前のパチンコ屋は新装開店です CRフィーバー「穂村弘」
慎重に「穂村弘」の臍の穴狙って「弘」をまわしてください
「リーチ!」って「穂村弘」の声がしてまみ群出たらチャンス拡大!
ま ....
女は
胎内に新しい生命を宿したら
「母親」になるというのに
男は
新しい生命が誕生してから
「父親」になる権利を得る
のだろうか
それは
目の前に細く頼りない道が一本
....
カ ン パ ネ ラ 君 の 骨 な ら 返 さ な い 。
殺 し 合 う に は 低 す ぎ る 空 。
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
今朝、レモンを産んでしまった
それは、色も形も匂いもレモンそのものだった
もし産んだのが卵だったら対処のしようもあったろうに
なんでレモンなんか産んでしまったんだろう
レモンに耳をあてると ....