7
列車は一時間遅れで駅に着いた
駅員に辻馬車の手配を頼む
行き先を告げると
あのお屋敷にはもう誰も住んでおりませんが
と御者が問うので
私は構わないと頷き
門の所までで良い ....
世界を嗅いで生きる方法もあるよって、シロ君が教えてくれた
ジャンケンは67%負けないって言うけど、67%勝てないんだって
だけど、それでも、勝ち負けついちゃう世界だから、ポン、と出されたその手 ....
平面の布に
針を刺していく
そうして出来た
糸の道を引くと
操られるように
現れる
立体の波は
少女の真新しい綿のスカートの裾を
縁取って踊った
風、曲面のゆらぎ
影とひかり
....
新緑の木漏れ日
雨上がりの朝
ひとの気配を飲む森
まぐわうように
愛をからませて吐く息
命の匂いに満ち満ちて止まない
そんな五月のように私たちが求めて止まないころ
得ようとしていたもの
....