漢字の書き取りをしながら息子が大粒のなみだをぽろぽろとこぼしている
耳という字を書いていた
どうしたんだ?と聞いたが俺には言わないらしい
その後スマブラをしたんだけど俺の勝ちがちょっと続いたら
....
カンガルーはハーバーを見下ろす見晴し台の方へ、身ごなしも軽く入っていった。
海から吹き上がってくる、風のざわめきが聴こえ、ヨットが揺れている。
ハンドブレーキを、ギューイっと、引い ....
間もなく激しい雨が降り出してきた。
バルコニーのプランターを小走りに部屋の中に取り入れるまなみ。
電話が鳴る。
夕暮れの晩夏の窓辺に並んだ、ビルディングが雨の中に霞みはじめる ....
*与ひょう(仮)
あなたのいのちの陰影を
はきだめから拾い集めた
{ルビ文字=もんじ}の墨と二枚の舌で
なぞりたいのです
顏の砕けたおつうさん
どうか一編の愚行と
淡雪のよう ....
稲妻でみんな酔って終われるって言うから此処に来た
だから早くそれを出せばいい
そう言いながら手を傷つけて血を流しながら
貝殻を握りつぶしている友達を笑って見ている
俺たちはライトアップ ....