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一日の仕事を終えて
帰った家のソファに、坐る。
ママは台所に立っている。
人より染色体の一本多い、周は
パパが足を広げた間に
ちっちゃい{ルビ胡坐=あぐら}をかいて
「おかあさんといっ ....
現実から目を背けて
ぬるま湯のような仮想世界に
安住する人は
大体が現実から
全く相手にされないか
心底手酷い目に合って
ボロボロに心を病んでいるので
私のように醜い現実を拡張して
ぬ ....
久し振りに訪れた賽の河原
幼子が鬼に虐められていないかと降り立てば
広々とした河原には鬼が一匹 所在曲げに石をつんでいた
おめえ 何やってんだ
子どもが少ないが
まさか食っちまったので ....
人は生死の境をさまようとき
花園を見ると言うけれど
地獄の蓋が開くという彼岸に
見たのは色を失った現世だった
闇の空から眺めていた
墨色の広大な砂場には
まばら ....
わたしたちは小さな生き物です
(小さな生き物)
どの程度かというと
気にさわるほどの
空き缶の下 おっと
踏まないように ちょっと
たたらを踏む
あなたのつま先にさしさわるほどの
....
丘から見える遠い園生は純白に染まり、
私の吐息と重なって淡く輝いている。
手前に見えるロココ調の建築物はそれ自体が見事な絵画のように
緑一色の額縁で装飾されている。
丘の上に ....
予約時間に早すぎて
十数年ぶりに弘南堂書店へ往く
見慣れたブックオフとは違う
天井近くまで積まれた学術的古書に
おまえの目は泳いでいる
楽しい散策 わたしには
安い棚から掘り出した一冊は
....
書かねばならない事
を 探して
言葉の海を泳いでいました
今の私に書ける事
を 尋ねて
言葉の風に吹かれていました
波はさざめいて
私を弄び
風は追いつけない速さで
私を通過し ....
雲ひとつない高笑い
真っ青な永久歯で
空は
高層ビルに喰らいついている
控えめな思い出し笑い
押しつけがましくない暖気で
光は
目抜き通りを撫でている
束の間の微笑み返し
....
風景がちがう
あなたがいないだけなのに
ただ、いないだけなのに
きらきら光れ
私とあなた
どんどん惹かれ
ふたりの気持ち
するする引かれ
駆け引きの糸
キリキリ挽かれ
薄めの珈琲
グルグル轢かれ
私の嫌いな私
オ ....
もったいない と
みっともない が
朝から口論している
板挟みのわたし
ポカンとしたくつ下
《時間がないのに:2015年1月10日》
やさしい人になりたかった
やさしい人になりたかった
それは何のため
やさしさよりも気遣いだよといった
やさしかったかどうかはいつもびみょうだ
気遣ったつもりかどうかなら頷ける
たと ....
それは鉛の重力で
垂直に私を引っ張るので
テグスに結び付けられた浮きのように
私は
水面に立っている
もうふわふわも
ぐらぐらもしない
磁針のように空を指し
己を標として生きるのだ ....
ほどよく乾いた小枝や
抜け落ちた羽根や
通り過ぎていった月日の
さまざまを
ちりばめておく
もうそこは
きみのねぐら以外のナニモノでもない
広い宇宙のなかで
ただひとつだけ
選ん ....
満たされない心でわたしが死ぬ日
糸の切れたマリオネットみたいに
小さな舞台に沈むとき
スポットは落とされ
たった数行のエンドロール
短い悲哀の微かな拍手が
最後の疎らなひとつの合掌が
過 ....
おやすみとさようならが相槌を打つ
今日あったことは内緒にしよう
玉手箱にしまっておいて
一年後おはようとこんにちはに開けてもらおう
おはようとこんにちはがその計画を
未明のうちに知り ....
おのおのに、週末
なぁんだ
なぁんだそうだったのか
息をすることが困難な夜には
知らない地の夢を見るんだ
玄武岩質の平原、つきあたりの揺るがない闇
そんなものが僕らの孤独の限界だ ....
詩がかけなくなりました。
あれほどあふれていたはずの言葉が
きれいさっぱり去ってしまって
現実だけがここに在ります。
ええ、ええ、健康です。
今までにないくらい、正常で清浄です。
なに ....
ぼくの内には 一匹の魔物が 棲んでいる。
人間という 魔物だ。
鮨が食べたいと 言う。
ビールが飲みたいと 叫ぶ。
女と寝たいと 怒鳴る。
一匹の 人間という魔物が、 ....
本当に疲れてて
疲れたと言うのも
疲れすぎて出来ない
それでも
貼り付いた笑顔は
空々しく
口角を上げている
本当は逃げちゃいけないのに
何とかして口実を見つけ
前を向くのを ....
真実の羽根と心臓を
黄金の天秤にかけよう
注意深く慎重に
心臓の方が重ければ
沢山人が死ぬ事になるから
ここは
葦の野が広がる東の島国
金星の守護のもと
冥界の王が支配する
....
2011.1.31.
誰かから何かから追いかけられているのか
それとも追いかけているのか
もしも完璧に無心だとしたら 無心伝心をお願いしたい
孤独に見えるランナーよ
時々 しかめっ面 ....
オリジナリティを追求し
個性で勝負してきたつもり
でも自分は何と勝負してきたのだ
勝った気も負けた気もしないのだ
オセジナリティ
オナジナリティ
ナリたいものにナレていないのは
ナリ ....
初空の次空の青にひっかかる
白き月ならカメラに収めた
大晦日の仕事納めから飲んで
食った元日は午後二時まで寝
ていて一年の始まりを台無し
にしてしまったけれど日付が
変わる一時間前には ....
一杯のお茶と読みさしの本と
夫と娘の寝息と膝のうえの一匹の猫
それが私には相応なものなのだと
私は知っていたしまた満足もしておりました
そんなとき
それは私の額に堕ちてきたのです
....
情報過多
あたまの酸化
孤立の幻想
情緒貧血
空白療法
バカバカしいもの
クダラナイもの
埋めはしないもの
表皮つきあい
あいのて会話
たがいちがいに
お気に召すまま
....
何処へ行くか考えたり
旅に必要なもの準備したり
旅先で楽しんだり
旅には楽しみが付きまとう
退屈にさせない雰囲気がある
見慣れない景色に感動して
疲れなんて吹き飛ぶ
心に残る ....
この僕が
宇宙に放り出されないのは
地球にへばりついていられるのは
何か
ここで
やるべきことが
やってほしいと思われていることが
あるからだろう
きっと
眼下に広がる雲の海の中
輝く虹を見つけて思い出すのは、
父なる神の約束の言葉
決して、私達を滅ぼさないと言われた言葉
「私は雲の中に私の虹を置く」
雲の中に煌めく
神秘の瞬 ....
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