産声のなかで
ひとりの娘が母に変わる日は
生命にまつわる大切な記念日
わたしのためには
何にも起きたりしない平凡な日でも
見知らぬ誰かには
たったひとつの日
雑踏のなかの
あり ....
シャツの色をわすれた
自転車を仲よくならべた
川沿いの道にいつもあった
だれのものとも知れないさびしさ
三日月にすこし濡れた
きみの膝こぞうをそっ ....
硝子に映った一頭の駱駝は
あなたのまわりのどこにもいない
オアシスには細かい霧の粒が浮かび
かれの毛並みを気高く妖しくみせているが
大きな{ルビ二瘤=ふたこぶ}にか ....
尾鰭も背鰭もない者だから
スクラップブックから拾ってきました
この気怠さの海を泳ぐ
艶めかしい夏の生き物たちを横目に
白い爪痕も心地よい
日焼けした空をまる齧りにします
スイカ ....