風が運んできた花の匂いにまみれたら空想に囚われて
飛行船で七つの海を制覇する旅を始めてしまうけれど
真夜中に目覚めた時のあの浮遊感が忘れられないから
雷雨の中を駆け抜けて迷い込んだ街で君を思 ....
成層圏の牧場に
幾千匹もの
群れなす羊
どこまでも透明な
追憶の彼方
舞い降りる
黄色い{ルビ木=こ}の葉
堆積する秋
深海の底に届いた
月光のように
青ざめた記憶 ....
老人が籾殻を焼いている
見えそうで見えない光のような匂いだ
空は青く、少しあどけない
わたしという言葉はもう
ここには似合わない
赤茶けた四角い煉 ....