(短歌七首)

麦ちゃんと
いう名の猫も縁側で
春の海鳴り聴いて寝ている


オレンジの
ブイに停まったアホウドリ
百年まえの空をみている


部屋が揺れ
 ....
あのとき
僕は一体何をしていたんだろう
今考えてみても思い出せない
あの三年間で何かが
決定的に変わってしまった
すぐに元の生活に戻ると
高を括っていたけれど
実際は元に戻ってなんかない ....
テーブルの上で
蜜柑が燃えている
そのふところにたたえた水を少しずつ手放しながら
冷たく燃えている
つやつやとした
ともしび

坊やが食べこぼした
アルファベットびすけっとのかけらたち ....
人の気配で 繋がれたり 断たれたり
人を守る為 生まれたつもりになって
或いは請われ それが叶っても 再び顕される時の意味
親しみをこめた無言 純化 そして破壊

誰かの奥に放たれ 彷徨う魂 ....
自称詩人が
深刻な顔をして
話しかけて来た
「昨日医者から余命宣告された」
私は驚いて何年か聞いた
すると自称詩人は
「30年・・・・」と答えて
嗚咽し始めた
自称詩人は今年65歳だっ ....
自称詩人が存在するとして
(私はまだ都市伝説だと思っている)
面と向かって言いたいことは
「おまえ暇だろ」の一言だ
暇じゃない自称詩人が
存在するなら教えて欲しい
会いに行くから

必 ....
現実は
命だけでは
生きられないと言うが
命が無くては
虚しいんだ



へたな
作りものよりも
現実の方が
よっぽど
味わい深い



私の
人生
いちどきり ....
隣りの海で 鯨が髭を磨いてる

海老が抜けない
ささらに破れた尾びれを揺らし
海老が抜けないのです、と

わたしも歯茎を押しひろげ
まぶされた砂をはらい

やせた少年がくらりと傾いて ....
磯野波平に良く似た教授は
ステテコにラクダの腹巻姿
団扇をパタパタと仰いで

トリスタンの加速器に行ってみるかい?

はい 是非とも!

では
このカウンターを胸に付けて放射能を測定 ....
あかつき
という名前には
夕星
という名前と同じぐらいの
抗えない
悲しさを感じる

あの日見た星は
どちらだったのか
同じものを見ている筈の
まだ小さかった僕ら
折り曲げられた ....
誤解を承知でいえば、僕は誤解して欲しいから話す。たくさん誤解して欲しくて
たくさん話すのです。ちゃんとの理解なんて求めてない。僕も沢山たくさん誤解
するし。誤解しながらどれかひとつ本当の貴方にいつ ....
アーリマンよ勝者たれ
泡沫の美酒に酔うがよい
私たち日本人は敗者で良い
しかし勝者たるアーリマンよ
汝らはゾドムとゴモラの民と共に
私たち敗者が築く世界
弱きものが手をとりあう ....
古代日本が世界の中心だった
高度な縄文文明の精神を
現在の日本が密かに保ってきたことが
世界を照らす光になる
真の意味で世界を救済するのが
日本人に生まれた自分の使命だと
今なら確信を ....
この日を境に
もう元のようには
戻れないのではないか
と思ったことがある
阪神淡路大震災がそうだし
地下鉄サリン事件がそうだった
東日本大震災もそうだし
コロナ騒動もだ
その度に僕は
 ....
長い残照
区切られた間隔を、みていた

緩やかな光と、溶け残ったかたち
手を触れれば、それは
ぬるく指の跡のまま、ほどけた

息づくということの、体温を
そばに、頼りない拍動の
 ....
魂という命は
原初から欠けているから
何かを求めて
さびしさを繰り返す
永遠の不思議にほほ笑む



さびしい私の
このこころに
人や物事の
愛が
灯り満ちる
使われないアパートの1階には四畳半を占める仏壇と、
、後は母屋から引っ越してきた古い荷物が置いてある部屋が二つ
普段やり過ごしているベランダのある畳の部屋、
、久しぶりに掃除しようと窓を開け ....
またお前が溌剌として空間を行き来する季節が来るよ
まだ蜜はまばゆい重みを湛えるまで熟してはいないが
やがてあらゆる明雪を終わらせる風の便りに指を開き
柔らかな触角で時が経てる悦びを弛まなく識るだ ....
無言でいられた
幼児の愉しみを
疑いなく無言でいられた間隔を
春が来るまでに思い出せたとしたら
花だけが立てる声
道ばたに膝をかかえ
前ぶれもなくはじまるあの声を
今も待っていられるのだ ....
    黒い背中を見ている          つい
                            手は右に折れ
 こ
 れ
 は  ~
               猫の毛 ....
 ,234、ねえ昔は一歩遅れて裏口からついて行くのが審美眼みたいに重宝されて、今では同時にスタートして、いいや、1、231、231、と先にフライングしても許される時代なんだから、置いていかれること .... 傷ついた心は、高値の付く宝石
伝えるすべを持つ者たちが
言葉や音、像に添えて
ショーウィンドーに飾る

傷ついた心は、ため込まれた負債
精算できぬ者たちが
なけなしの硬貨と引き換えに
 ....
運命とは偶然のことなんだ
偶然とは一本の細い線のことなんだ
周りを見渡せばすべてのものが
偶然そうなったものなんだ
自力の概念が生まれたところに
初めて必然なる信念が生まれる
しかし完全に ....
見るものすべてが嫌になり、
瞼を閉ざす闇の中。
沈黙に勝る音楽はなく、
肌を刺す冷気よりも
痺れさせてくれる抱擁はない。

゛お前なんか゛と笑う眼差しの剃刀が、
 私という果実を切り刻む ....
河原で石をひろう人たち

   貴方に触れない私なら 無いのと同じだから
                鬼束ちひろ『流星群』

蔵王の河原で石をひろう神の子たちがいる
名もない石に名前を ....
深海の水底に眠る者たちよ
我らはいま至福の中で歌っている

君たちは永遠に若く
我らは次第に歳をとってゆく

君らが捧げた{ルビ生命=いのち}は
決して無駄ではなかった

傲慢な思想 ....
お母さん
今朝のカレーは夕べのカレーより
美味しいねって言ったとき
それは
お母さんが一晩寝ずにかき混ぜていたからよ
と言いましたよね
僕はずっとそれを信じていて
逆にカレーを食べたいと ....
丸の内駅のホームで、あなたを見かけたとき、BOSEのヘッドホンから聞こえていた音楽より、脈がバクバク鳴る音のほうがはるかに大きくて、動けなくなった。まるで、両方の靴が触れている地面から、たった今足が二 .... 金と銀の龍は螺旋を描き
{ルビ蒼穹=そうきゅう}をかけ昇り
久遠の果てまで行ってしまった

アレクサンドリア図書館に
地球の円周を解き
数学者は美しい数式を描いた

ガンジスの行者は
 ....
私は趣味で
自称詩人をやっています
と告げた場合の相手の反応を
考えると
背筋に寒気が走る
「えっ?」
にこやかだった顔が真顔に戻り
それを察知されないようにと
コーヒーに手を伸ばすだ ....
由木名緒美さんのおすすめリスト(3322)
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