雪前は冬が温む
低気圧の湿気が降りて
虚の体積は収斂する

降る雪は音を引き上げる
積もる雪は世界を聾する
雪は聴力を催眠する

未明
耳を澄ます
動物として耳を澄ます
(1.意 ....
スー・チーは全くかしこい
十七歳のおばあちゃんなのに
この冬から
おとがいを同居人の鼻の頭に擦りつけて
痒みを解消する手管を見つけた
たまに唇を舐めてくれるようになったのは
やっと同類と認 ....
ラッシュアワー
千本足の林立の狭間
スーツケースからはぐれた
よそ行き幼児が泣いている
わめき声は動物じみて
朝を病んだ善男善女の苛立ちを
憎悪域にまで掻き立てる
半ばは勤労地獄に子を詰 ....
 おせちは動物性タンパク質の祭典である。
 それが昔はいかに御馳走だったかを偲ばせる、魚介・魚卵、獣肉・鶏卵
フェスティバル。肉食過多の欧米人もこれほどのヴァリエーションは食卓
に盛らないだろう ....
 謹んで新珠の御慶びを申し上げます。御父様つたら昨夜の破魔矢を旧年のとお思いになつて、神社へ納めに行かれたのですつて。 恒子


 スミソニアンの地下ボイラア室にはホオチミンの木乃伊が刺さつてい ....
ゾウのすむ森
という名の運動場
いちばん小さいウタイは
頭を振っている
振り子みたいに夕暮れ時
歩いてやり過ごす二頭をよそに
空中に鼻をしならせ
耳朶で風を鳴らすよう
右に左に頭を振り ....
{引用=〜2012年備忘録}
1月

 九時過ぎ、テレビを点けると石岡瑛子が映り、すっかりお婆さんになって
いて驚いた。堤清二のPARCO、その尖鋭的広告の仕掛け人だった。

 山口はるみ ....
高い高い塔の上
いにしえの鎖の枷のその先に
脱ぎ捨ての襤褸と見まごう
汚物まみれの女の転がる
まだ生きおるぞ
ひび割れの口ぱくぱくと
慟哭、悪罵も枯れ果てて
面影に爛れの眼から涙を流し
 ....
これは君主を戴く国ならではの
「ああ、どうしましょう!」な
悔恨の忠義立てかな
申し訳より“OTOSHIMAE”
日本人には解りやすい情動だけどさ
{引用=貞女にして勤労賢母
ウィニフレッ ....
娘は
今日も一日家にいた
年を取るのは嫌だ嫌だと言いながら
母親は水ぶくれの手で
何種類ものクリームを塗ったくっている
客の食べ残しを載せた皿を今日も洗う為
にせ鰐皮のバッグは椅子の上
 ....
金もナク仕事もナク
展望も若さもナク
妻子には捨てラレ
責も任も負ハズ
誰にも期待さレズ
東にも西にも行カズ
誰を労ふ用もナク
暮しの足は大丈ブ
家計一人このオカズ
雨にも当たラズ
 ....
体臭は毛布のようだ
男臭い布団はそれだけで暖かい
男にとっては逆だろう
遠い子宮の記憶を辿り
疲れた胎児は体を丸めて
全てを忘れて眠るのだろうか
女の体の匂いの中で

私には子宮より
 ....
 目には目を
 歯には歯を
タカ派のネタニヤフを選んだ時から
この基本方針の底上げは決まっていたことだ
 目ん玉1ケにつき10ケが100ケに
 歯1本につき建物1棟が1街区ごと吹っ飛ばすに
 ....
 讃辞

あなたのセーターは暖かそうだ
あなたの体は温かそうだ
あなたの体温は優しそうだ
心が優しそうだ


 犬

霧雨がそぼ降っている
門灯はあかあかと
門扉は堅く閉ざされ ....
マダム・スミダを貴方に
   (原題:Serve The Last Pie For Me) 
     {引用=作詞:Doc Pomus・Mort Shuman・岩谷時子
補作詞:因縁崎渡世子
 ....
 吉田朝足氏はきのうきょう来日した帰化人ではない。
 築二十七年の邸宅は、バブル高騰の直前に七千八百万円で購入した。

 それでテニスコートもプールもないのか。
 と、訪れた親族を次々に絶句さ ....
冬の季語は陽だまりの猫
私は三匹の寝子の母親だから
人間だけどまどろんでしまおう
北風の中を歩いたところで
ろくな事はないよ
みっともないほど着膨れしてても
身ぐるみ剥がれた樹分でみじめだ ....
 貿易商の吉田氏は婿養子ではない。
 三十二年前に悩んだ末、帰化の際に夫人の姓を選択したのだ。 
 実際問題、外語表記は簡素に限る。姓のサッタラジャハンニを漢字に直
せば最低五文字を要し、それで ....
出勤を道草はたの霜ばしら
自堕落の浮腫みづら張る朝すがし

駐輪場サドルに銀の宇宙苔
コンビニに寄れば家路の月は肥え
太郎さん
紛らわしいぢやありませんか
太陽の「とう」と云えば
 ♪こおんにちわぁ〜こぉんにちわぁ〜っ
世界の国ではあの梅原画伯と同じく
 「こらぁルノワールとセザンヌの折衷だべやー」
何の ....
近所の子らが小銭を握って
フルタのチョコやオレンジガムを買う
細野商店はおばさんがやっていて
娘と息子がひとりずつ

近所の子らが大人になって
いつやらクリーニング代理店になり
細野商店 ....

タトン
タタ
雨が大気にあふれ出す
地は吸い込んで
水流が闇にあふれ出す
ヒトはみな小動物
家のなか
葉陰の小鳥たちの夜を案じ
明朝の我が身を気に病む
石くれになる傘の中

 ....
喧嘩しないでチューしよう
あたしに歯列がある内に
あんたに舌がある内に
だって、そうでしょう?
それが一番いいでしょう?
そんなものでしょ二人って
右手の指の爪先だけが五対五で
ほんの少 ....
スライスチーズを1がじがじ
 ねこちゃんみたいなお耳になった

上からもいちど1がじがじ
 Tシャツの襟くびみたいになった

両はじおのおの1がじがじ
 ヨセミテのお山みたいの2個できた ....
1)たくてんが消えた夜

「さるソハ」 (ひんほうにんの家)

老爺: このくそ母あ、汎飯に猿ソハ足す奴かあるか。
老破: くそ死屍い、人並みに枷い手から聖托言いな。
中年嫁: お示威ちゃ ....
歩かなければ足がしなびる
使わなければ腕がなまる
戒めてないと腹が出て来る
触らせてないと胸がしぼむ
エッチしないと尻が垂れちゃう
言いなりなるとガキ出来ちゃう
月イチで卵出しては傷んでる ....
だくだくと環椎の音よっぱらい
木枯らしに土産を置いて父の夜
ネクタイは符丁の小切れ今何本

新橋のあれは夜汽車よ過去へ発つ
未明の背汽笛響くか耳着けば
少年の頃は機関士そらにかぜ
みな年を取って行く
かわいい女を妊娠させ
若い女をエスコートしても
みな年を取って行く
無邪気な芸術家を気取っていても
また年を取って行く
二十五でやっと大人の仲間入りをし
三十で自分が ....
 皿洗い考

寂しい匂いを嗅いだ
消え去った時間に取り残された自分がいた
私は前進して来たのではない
ここに留まったまま置き去りにされたのだ
今も私は振り返るのではない
背後には何も無い ....
マサカリ担いだ金太郎
今日はどこまで行って来た
どんなオイタをして来たの
熊を何頭ぶん投げて
何頭負かして泣かせて来たの 
お前の腹がけひんむいて
お尻をぺんぺんしてやろう
まるまる太い ....
salco(586)
タイトル カテゴリ Point 日付
消失点自由詩6*13/1/14 23:18
相性自由詩11*13/1/9 23:13
貨物自由詩11*13/1/7 23:35
伝統と変遷散文(批評 ...4*13/1/3 23:16
一筆箋 恒子自由詩4*13/1/1 23:05
振り子自由詩10*12/12/26 23:19
懐かしい人散文(批評 ...5*12/12/24 23:22
徒刑自由詩3*12/12/24 23:13
ステイト・オブ・ハラカリ自由詩2*12/12/19 23:21
ウェイトレスの娘自由詩11*12/12/16 23:17
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