「ママ―、あれなーに?」

「?」の文字から、人生は始まる
母の手に引かれついていく
おどろきの{ルビ潜=ひそ}む
アスファルトから、ビルの街並みを見上げれば
時々足がもつれ、石につまずく ....
車内でマスクをするのは、賛成です  
ただ、忘れずにいたい 

思わず、くしゃみをした人へ
私の目線がささらぬように
ちょっとの 間 を置いてみる 

口と鼻は隠しても
〝まなざし〟だ ....
今宵も一人ひとり
友の顔を浮かべれば
それぞれの夜を
闘っている

{ルビ面=つら}の皮一枚
透きとおる風のマスクで顔を覆い 
今迄の僕より
少しだけ、つよくなる

もし君か僕が疲 ....
ボクラは今日も
肩を並べて干されてる

コロナの日々が来る前は
道ばたに、ゴミ箱に
捨てられていたのに 

人間てゲンキンだな
わが身のキケンを感じると
随分ボクラを{ルビ重宝=ちょ ....
誰かの口から
誰かの口へ
思いがけず飛沫する菌が
感染しやせぬか

 警戒セヨ 警戒セヨ

と、怖れるほど
ビニールシートの向こう側へ
あなたの顔は遠のいて
ぼやけて・・みえる
 ....
自粛の日々になり
妻との間に息子をはさみ
ひととき散歩する

街ゆく人の時間は
心なしか前よりゆったり流れ
公園ではキャッチボールをする親子

私は錯覚する
ウイルスに{ルビ侵=おか ....
令和二年の春
コロナウイルスは世に{ルビ蔓延=はびこ}り
入院中の恩師に会えず
実家の両親に会えず
隣町の友にも会えず
一つ屋根の下、妻と幼い息子と共に
ひと日を過ごし、夕暮れる 

 ....
新型コロナに侵された日常を
静かに、掘り下げよう 
自粛する日々から
できることを、探りだそう

人類は、私は
〝初心〟を久しく忘れていた

ひとつ屋根の下 
三人と猫一匹で暮らす、 ....
名優・志村けんが
舞台の裏へいってしまった
人生はコントという名の
夢であるように

今もこの世にいると錯覚しそうな
あなたのコントを観る夜
僕は思わず、くすっと笑い
手にしたグラスの ....
かれはすごい 
てんかんの発作で
鼻の骨が見えそうな傷を負っても 
支援学校の上級生に引っかかれ
ほおに血を流しても

夜、パパが家に帰り 
ドアを開くやいなや
百万ボルトにまさるほほ ....
君がすくえるひとがいる
この世界の何処かに

僕は時々
間違いをおかすけれど
できれば
忘れずにいてくれるだろうか

君の知らない場所で

  今

人知れず、思うことを ....
日付が変わる前、朋と電話で話した
コロナの{ルビ蔓延=はびこ}るご時世を
朋は、コロンブスの卵に喩えた
僕は、こんな時こそ{ルビ詩=ポエトリー}と云った

ここからがスタートライン
目に見 ....
今日、JAZZ喫茶映画館に集う僕等は
日常の仮面をそっと外す。

万葉の頃から続く〝言の葉〟への思
いを胸に秘め、見えない風に背を押
され、見えない糸に導かれ、この夕
べに集う僕等は一枚の ....
ちょっと耐えて
触れずにいた、かさぶたが
ぺりっと めくれ
新たな肌が日に照らされた

ほんとうは
回復しよう、しよう、としている
皮ふも 心も

まるごと
川の流れにゆだねた ....
今日も
都市を往く車はまばら
通勤電車の車内もまばら

この不自然な街の静けさ

「今日の感染者」を伝える
ニュースの噂に背中を押され
人々は黙って大量の紙を奪い合い
スーパーに陳 ....
令和二年二月二十一日
詩人・石垣りん生誕百年の日 

コロナウイルスは日本にも感染し 
連日テレビは「今日の感染者」を伝える
僕が子どもの頃はなかった病原菌が 
世に{ルビ蔓延=はびこ}り ....
今宵、記憶の薔薇は咲く
紅い 紅い あの花が

安易なラブソングは好まない
とか
僕はほざいていたけれど
所詮この世は男と女

今宵、記憶の薔薇が咲く
紅い 紅い あの花が  ....
在りし日の 
オスカー・ピーターソンの指は
鍵盤の上を無心に踊り
宙に奏でる音符の流れで、僕に云う 

(生きるって、悪くないよ
 時には素敵なこともある)

「この世に、虹はあるのか ....
妻と息子はかわいい寝顔でねているが
男はつらいよ
って、
誰か晩酌の思いをわかってくれる
友はいるかね

はぁ・・
悠々と 悠々と
川面に浮かぶ
ひとつのボールが流れてくる

何も惑わず {ルビ煩=わずら}わず
橋を潜り 
今日から明日の方角へ流れゆく

あのように
川の流れのなかを
ゆきたいな ....
バックドロップや
ドロップキックや
ウェスタンラリアットを
次々と繰り出し 
舞台という名のリングを
縦横無尽に駆けめぐる
詩人のあなた

その心根は繊細で
どこまでも熱い導火線で  ....
目の前の
馬鈴薯と玉葱の炒めものは
たった一枚の皿であれ
時と所により
どれほどの幸いを、もたらすだろう
僕は今夜
晩年に娼婦の肖像を描く
マネの孤独の深さを知った

今宵 彼のアトリエを訪れる
ボードレールとマラルメの
美を語らう声が聴こえる

――汝のいる風景の〝今〟を視よ
 ....
ジャズを聞きながら
君に手紙を綴っていたら
知らぬ間にアルファ波が
出ていたらしい

気がつくと
時計の針の30分が
あっという間に過ぎていた

願わくば
退屈で長い1日よりも
 ....
渋谷・RUBYROOMのカウンターで
白ワインを飲む
今夜は嬉しいことがあったから

先月はここで
赤ワインを飲んだ

この店では月に一度
「SPIRIT」という朗読会が行われ
今夜 ....
僕の話の途中に
妻がスマホを手に取り
友達にメールを打ち始めたので
エラそうに腕を組み言ってみる
「人の話を聞くときはだな…」

すると
倍々返しの風圧で
怪獣と化した妻の口から
炎 ....
年に一度の聖なる夜
壁に掛けられた靴下には
目に見えない歌が
そそがれます

十二月二十四日の聖なる夜
無数の子供等は
あどけない寝顔で
それぞれの夢を見るでしょう

僕は神さま ....
特別支援学校に通う
息子が二年生の
ある夜
初めて妻に打ち明けた

ダウン症告知のあの日以来
息子について後ろ向きなことは
もう決して言うまいと
心に決めていたことを

語らう夫婦 ....
旅先で地元の友と会い 
焼き鳥屋にて
杯を交わす夜

こうしてサシで話さないと
知らなかったこともある

僕の知らないところで 
辛かったね
痛んでいたね
友達なのに気づくの遅くて ....
ある男は
大きな島の森の中で
明日を見据える
アマガエルを見つけた

ある男は
夜の無人のバッティングセンターで
白球を捉える
金属バットの音を響かせた

ある男は
絶望的な雨ふ ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
空の波紋(第二稿)自由詩020/6/8 19:41
コロナ詩篇4自由詩220/6/2 20:31
月の夜自由詩020/6/2 20:29
コロナ詩篇3自由詩120/5/22 23:53
コロナ詩篇2自由詩420/5/7 21:29
コロナ詩篇1自由詩020/5/7 21:27
君を視る自由詩320/4/27 23:24
窓の明かり自由詩320/4/22 23:49
喜劇王への手紙 ―追悼・志村けん―自由詩120/4/10 21:41
電球のひと ――ダウン症児の息子に――自由詩1120/4/8 23:59
スコップ自由詩220/4/8 23:58
聖火 ――二〇二〇年・三月二十四日――自由詩120/3/25 1:18
『詩の映画館』に寄せて自由詩420/3/23 21:32
かさぶた自由詩720/3/10 22:14
静かな街自由詩120/3/7 5:12
日々を守る自由詩120/2/29 0:01
薔薇の声自由詩420/2/24 16:30
ジャズマンとの対話自由詩220/2/16 19:19
晩酌の愚痴自由詩1*20/2/15 23:21
ボールの心自由詩120/2/7 17:35
真冬の花火自由詩020/2/7 17:12
昭和二十年、或る夏の夕餉自由詩1020/1/28 23:52
或る女の瞳自由詩520/1/19 0:11
純粋な時間自由詩820/1/11 18:35
SPIRITの夜自由詩320/1/11 18:29
周ちゃん語に耳を澄ます自由詩219/12/26 20:35
聖夜の夢 自由詩119/12/25 1:42
言葉のボール自由詩319/12/19 23:36
女ともだち自由詩319/12/11 21:38
即興詩2「ポエトリー四銃士」自由詩119/12/4 11:30

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