遠い火をみつめている
どこにいても遥か彼方で
ゆらぐこともなく燃えている

あそこを目指していたはずなのだ
臍の下あたりで、眼球のうしろで
わたしのいつ果てるかわからない
火が求めている ....
夏を探して
蝉の声に踊れば
踊れば夏でした

七日の後に声は枯れ
日めくり秋にちかづけば

鳴いているのは蝉でなく
あれは鹿の子の笛の音
いいえ、それも夏でしょう

では秋はどこ ....
案山子の首はぶぅらぶら
揺れているのは首だか、風だか

ちいさな呟きが繰り返されて

とうもろこし畑から風がくる
とうもろこし畑から盆の東風
だれかくる来るようにおもう

木の葉を撫 ....
夏の夜に眼を閉じて世間を遠ざける
蚊取り線香の燃えていく匂い

いえ、あれは父が煙草を吸い尽くす音
いえ、あれは兄が穴を掘る遠い音
いえ、あれは舟に乗せた人にふる音

どこに行けばいいの ....
銛が
心臓を

一度でなく 二度つけば

か細い悲鳴の糸
玉が転がっていく

からからと瞳が空回り
その色は失われて

緑のなかを
流れる赤と
銛の重たさ

森のなか ....
静寂のなか温められた器から
咲いたジャスミンの香りが

夜の輪をまわしていく

ぼくらは天球儀のなかにいて
ジャスミンが咲き誇り、てまねく
月よ、おいで、星よ、おいで
憂いに喉を腫らし ....
その椅子はどこにあるのですか?

木製のベンチに根ざしたみたいな
ひょろ長い老人にたずねると
そら、にとぽつり言葉を置いて
眼球をぐるり、と回して黙りこむ

そら、空、いや宇宙だろうか
 ....
たくちゃんやアーくんはとても
綺麗なフォームでクロールするんだ

彼らのように泳ぎたいわけじゃない
水と愛撫し合う幸せを知りたいだけ

包帯が水を吸って絡みつく
誰もお前は認めない、とい ....
虎がいます
胸の中に虎がいます
人喰い虎か、人良い虎か、人良い虎は寅さんかい

ほら、見なよ、あんな虎になりてぇんだ

けれどこいつは張り子の虎です
淋しがりやで強がりで
涙を飲み込み ....
灯台の灯りで煙草に火をつける
まるで灯台がチリチリと燃えるよう

灯台を吸い尽くしたら
波濤を彷徨う船たちも
みな底に攫われた悲しみも
どうやって帰ってくるのか
煙草の火をグルグルとまわ ....
一輪挿しの花を
わたし達はただ愛で
やがて枯れたならば
裏の畑に埋めて

忘れてしまうでしょう
なぜ、忘れてしまうのでしょう

そうして人々はまたこともなく
明日の朝を、明後日の夕 ....
忘れられない事を
確かめるためだけに
息継ぎを繰り返すのだろう

(葉桜は永遠に葉桜やったわ)

灰に塗れ肺は汚れて骨肉はさらされ血の流れは遠く故郷のくすんだ川面のような在り方しか出来ない ....
水面の月を一掬い
啜ると泥の味がした
こいつは幻想で幾ら美しくても
血は通っていない偽物だ

僕らは二十歳の頃どぶ鼠だった
灰ねず色の作業着で這いずり回り
朝も昼もなく溺れるように仕掛け ....
ミイラ男だったころ
身体は包帯を巻いてひっかけるための
ものでしかありませんでした

歩けば犬が吠え、親は子どもを隠します
皮膚が引き攣るのでよたよた、していると
見知らぬ人たちが不幸だ、 ....
さよなら、が瞬いては消えて

こころに小々波もおきない
からだの輪郭はどこかに消えて
狭い部屋でちいさな湖になって

水源へ染み入ってゆく
くらいくらいばしょ
ひかりしかないばしょ
 ....
忘れ去られ、蔦が這い
色褪せくすみ、ねむったまま
死んでいく、そんな佇まい
そんな救いのような光景を
横目に朝夕を、行き帰る
遠くのタバコ屋の廃屋まえ
どんどんとカメラが引いて行き
エン ....
もう
陽がくれる

とつとつと
西へ西へと歩んでいくと
孤影は東へ歩み去り

すれちがうのは

ひとつ、ふたつの足音と
みっつ、よっつの息づかい
いつつ、むっつのさみしさよ

 ....
太鼓の皮を破るような
驟雨が駆け足で通り過ぎていった
恐る恐る顔を軒に突き出して
ほっ、とする、お天道さんと
顔を突き合わせて

軒下で菜園の土を破り
アスパラガスの夏芽が
にんまり笑 ....
茅葺き屋根に鳥が舞っております
舞い降りてくるのは雲雀でしょうか
春を尾に引く雲雀でしょうか

茅葺き屋根に陽が舞っております
待っているならススメと云います
陽は待たずススメば夜が来ます ....
ここは私の国ではないから
わたしの言葉は通じません

何を言われているのか言っているのか
水の中で互いにぶくぶくしながら
ただただ息苦しくてしがみついてたから
爪は剥がれ肉も削げて皮膚のし ....
丸い小窓を抜けたなら
まぁるい形になるだろか
四角い小窓を抜けたなら
しかくい形になるだろか

まぁるくしかくくなりながら
眠る赤児のくちをぬければ
どんな形になるだろか

そこにい ....
磨り硝子の向こうをよぎったのは
夜を飛ぶ鳥なのだろうか

地に落ちていく誰かの魂だろうか
生れ落ちていく無垢な魂だろうか
それとも夜に自由を得る地を這う
人々の束の間の歓喜の夢かもしれない ....
長方形の焼跡は億年の時を経て
掘れば首長竜の化石が眠っていて
あなたの声も眠っているだろう

倦んだ日々に
燃え尽きていった
古い絵葉書
切り抜きの地図
杭州西湖へと
引かれた
 ....
とじた目蓋の裏に海がさざめいていて
丸めた背中の上を野生の馬たちが疾る
寝息を受けて帆船が遠くへ遠くへ

あなたの存在そのものが夢のよう
そんなふうに思えたことがあった

ひとりでない、 ....
誰かが正しいという循環から外れても
心臓は打ち、もの思わぬことはない
放たれない言葉の流れが澱み

わたしはわたしから溢れ
低きに流れて見上げるのも
疲れるから地底湖になっている

と ....
透けた文字の凹凸
まだみぬ未来の影を踏むように
まだ逢えないひとの指先を数える
まだまだまだ未だこない時が記されていて
凹凸に触れるゆびさきは酔い痴れる

うらおもて おもてうら  ....
じろう、きたろう、いず、きしゅう
ゆうべに、はなごしょ
ごしょ、たいしゅう

いろんなカタチをしております

えど、ふじ、はちや、れんだいじ
つるのこ、よこの、たかせ、はがくし

酸 ....
磨り硝子の向こうをよぎったのは
夜を飛ぶ鳥なのだろうか

それとも

地に落ちていく誰かの魂だろうか
生れ落ちていく無垢な魂だろうか

ぼくの見えぬところで
はじけたり、とんだり、は ....
その手は冷え切っているから
あなたが春なのか冬なのか
わからなくなってしまいます

つくしにふきのとは
いつもの場所にいません

あなたの背中をさがして
遠まわりして歩いていたら
風 ....
一輪挿しの花を
わたし達はただ愛で
やがて枯れたならば
裏の畑に埋めて

忘れてしまうでしょう
なぜ、忘れてしまうのでしょう

そうして人々はまたこともなく
明日の朝を、明後日の夕を ....
帆場蔵人(189)
タイトル カテゴリ Point 日付
遠い火をみつめて自由詩11*19/5/19 19:56
季節を探して自由詩419/5/12 15:09
とうもろこし畑自由詩6*19/5/10 0:20
追憶を燃やす匂い自由詩8*19/5/8 22:19
孤独な生命自由詩419/5/1 13:49
天球儀自由詩619/4/30 1:39
そらの椅子自由詩6*19/4/29 2:27
ミイラ男は泳げない 自由詩4*19/4/27 1:44
憧れ自由詩319/4/26 20:19
ある夜のともし火自由詩119/4/26 0:44
花の墓 (改稿版)自由詩319/4/25 22:13
葉桜の季節に自由詩15*19/4/22 18:11
泥の月自由詩3*19/4/17 14:49
わたしがミイラ男だったころ自由詩519/4/12 14:36
ゆきてはかえり自由詩319/4/10 23:55
唯一の友だち自由詩10*19/4/9 15:08
日暮れをゆく自由詩11*19/4/8 20:43
アスパラ自由詩5*19/4/5 4:43
茅葺きの郷自由詩419/4/3 13:35
私の国自由詩5*19/4/3 3:02
風、風、風よ自由詩12*19/3/30 23:29
夜を飛ぶ鳥・改稿版自由詩219/3/27 20:25
壁の焼跡自由詩319/3/26 22:27
目蓋の裏のみな底自由詩8*19/3/25 1:45
循環自由詩5*19/3/23 21:47
紙のうら自由詩319/3/21 18:34
名が無くとも自由詩4*19/3/19 21:09
夜を飛ぶ鳥自由詩319/3/16 1:19
どこへゆくのでしょうか自由詩5*19/3/15 0:01
花の墓自由詩6*19/3/7 14:17

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