あの頃
わたしたちは溶けていたね
瑪瑙みたいな空を見ながら
空気はあんなに乾いていたのにね
わたし
まだ忘れていないわ
檻の中に
一匹ずつ
入っていて
「お家に連れて帰ってね。値下げ、半額!」
っていう
カードがついてる
人懐っこいオマエ
大きくなりすぎたね
そういうことってあるんだ
運が良ければいい ....
らあしど
らあしど
夜色のサラリーマン
白目が赤い
大きなヘッドホン
隣で眠る
ピカピカ光る
ケータイ電話
電車はきしむ
らあしど
らあしど
向かいの女
カメオのロケット
紫 ....
好きだけど
別れるとき
当たり前だけど
もう何もかも
ズタズタ

最後まで
優しくいよう
そう思うけど
気がつくと
笑顔が薄くなって

あまり好きだと言えなかった
言っちゃい ....
目を開けたときには
もう夢の中
あなたの考えていることはすべてわかる
あなたはわたしと離れられない
でしょ

「仕方ないね」
ちょっと笑ってみせてよ
「これでいいんでしょ」
そうね
 ....
もう忘れてしまったから
思い出せる
縦に細長い
三角屋根の家は
白い壁に
木の階段
小さな抽象画が
三つ
上って行くと
グランドピアノと
背の高い譜面台
バルコニーには
テーブ ....
夕暮れ
赤い窓の外
見つめているわ
ほんとは待っているの
好きなの
とても

置いて来たのはわたしだわ
わかっているけど
ほんとは

もう忘れたかな
色が消えて行くね
日は沈 ....
穴を掘る

沈んでしまえるほど
掘りたいのに

ところで
もう覚えていない
あっちもこっちも忘れたという人が
川岸で待っている
らしい

どうか
思い出さないでね
そうしたら ....
死んだわたしの
腐りかけた体に
たくさんの赤ちゃんが
やってくる

死んでぶよぶよに
腐りかけた体を
舐めて
舐めて
穴をあけて
ちゅうちゅう
ちゅうちゅうと
吸ってくれる赤ち ....
ただの優しさとか
口癖とか
背中に回した腕とか
押し付けちゃった腰とか
もう面倒だから
すべて愛と呼んで
責任なんか持てないよ
と思いながら優しくしている
口にすると妖怪が飛んでくるから
さっさと優しくする
電車を降りたら
小雨が降っていた
セブンイレブンで傘を買った
駅前の商店街を抜けると
道は一気に暗くなる
細い道の両側から漏れる
家々の明かりがメインで
わたしは足早に家路を急ぐ

 ....
胸苦しくなって
本の精が現れた
中空の四角い顔が
ぐにゅぐにゅと巨大化して
わたしを押しつぶそうとする
ねえ本の精
なぜそんなことをするの?
そう訊ねると
わたしの胸はまた苦しくなって ....
別に何言われたっていいや
って思いながら
平気な顔して
行ってみる
負けず嫌いなんかじゃない
悔しくも
悲しくもない
理由とか必要とか
みんないろいろ言うけれど
考えるからダメなんだ ....
ある日めんどりは思いました
どうしてわたし
歩いているのかなあって
ためしに羽ばたいてみたけれど
やっぱり重くて飛べなかった
もう何年経つかしら
最近は疲れちゃって
毎日卵は産めないわ
 ....
 水面に、静かに輪が広がり、女が浮かび上がってきた。
 そしてその女は、青緑色の沼の表面に浮かび、まるで肘をつくかのような格好でこちらを見た。

 時刻は、薄ぼんやりとした昼間で、のんびりと釣り ....
俺の会社は、なぜか各大学の空手部、相撲部、柔道部、レスリング部のOBが集まるところで、派閥もいわゆる学閥ではなく、格闘技別と言った雰囲気がある。
ちょっと不思議な会社かもしれない。
俺はボクシング ....
わかるわけがないと思う
あの頃
みんな
もう何をしてもつまらないって知っていた
この先何も
いいことなんかないって知っていた
生き残るため
そう、大していいこともないのに
ただ生き残る ....
直径1メートルくらいの
真っ赤な苺があった
もちろん葉も茎もでかい

あらすてきお伽噺みたい
わたし小人になったのかしら
それとも妖精さんかしら

なんて思わなかった
当然
気味が ....
どうしたらいいかわからないくらい
切なくなると
わたしは乳房を切り裂いて
「切ない」を取り出して
腹を空かせた羊の
エサにでもしたくなる
いくら「切ない」を上げたって
羊は真横についた目 ....
なんかみんなじゃれあってるみたいに見えて
いいことだなって思っちゃった
気がついたら
怪我してた
みたいだけど

何回聞いても
君の苗字は忘れちゃうよ
なんかだからもう聞かなくていいや ....
くらやみに
椿がぼうっと
咲いている

赤と白の
絞り

女のようだが
女のようでもない

花のようだが
花のようでもない

とても
黒い
緑色の葉

くらやみに
 ....
 黒頭巾ちゃんは、電車で2駅の場所にあるケーキ屋へ、クリスマスケーキを注文するためにお出かけしました。
 もちろん、普段の黒頭巾ちゃんは緑の頭巾を被っていますので、黒頭巾だと見破られるようなことはあ ....
誘ったわけじゃないけど
そうなったらいいなって思ってた
そう思っていたらそうなった
それだけで満足だったので
それ以上のことはなにも
いらなかったのに
あなたは
いろいろなものをくれよう ....
足の裏に口がある
もう顔を使うのは
やめにする
別にあなたと
つき合わなくちゃいけない
義務なんかないので
適当に
適当に
適当にしているのに
まるで水飴を服に付けちゃったときみたいに
うっとうしい
もう大人なので
側に来るなとも ....

なんか違う
って感じが
ぐるりと
腰の辺りで動いた
スーパーマーケットのど真ん中
わたしは脂汗を流して
立ち止まる

夢見が悪かった
何度も叫んでいた
悔しい
憎らしい
 ....
どこでもない場所へ
行くの
持っていかれて

この世は
きれいだわ

白亜の神殿が
炎に包まれて

沈む

武器をちょうだい?

三つに分かれて
沈んで行くわ

わた ....
1・メール子

 俄かには信じられないことかもしれないけれど、乳児を育児中の主婦というのは、自宅の電話線を抜いている場合が多い。こどもが昼寝をしている最中に、うるさいコール音が鳴ったりすると、何も ....
どこにも行かない日
窓の外を誰かが
通り過ぎる

誰なのかわからないけど
お話
したい

どこにも行かないのに
疲れる
チアーヌ(724)
タイトル カテゴリ Point 日付
瑪瑙みたい自由詩308/9/23 21:44
こいぬ自由詩708/9/2 18:02
らあしど自由詩108/8/29 14:34
跡形も無い話自由詩208/8/27 23:45
道具みたいなものだけど自由詩308/7/15 14:34
思い出せる自由詩408/7/2 22:34
色の消滅自由詩408/6/30 23:29
川岸で待つ人自由詩608/6/26 8:13
たくさんの赤ちゃん自由詩508/6/25 21:52
愛と呼んで自由詩408/6/13 12:39
処理自由詩408/6/10 14:19
帰宅自由詩808/6/5 12:19
本の精自由詩108/5/31 19:24
考えないこと自由詩208/5/23 16:30
はばたくめんどり自由詩308/5/16 16:04
沼の主散文(批評 ...708/5/10 14:52
大力の女散文(批評 ...9*08/4/29 17:44
わかるわけがないと思う自由詩608/4/24 17:59
自由詩308/4/16 15:09
「切ない」を羊に自由詩208/4/7 19:26
自由詩108/4/2 13:23
椿自由詩308/3/31 11:46
黒頭巾ちゃんとクリスマスケーキ[group]散文(批評 ...3*08/3/27 16:39
ごめんね自由詩208/3/26 9:25
我慢の限界自由詩108/3/25 22:57
社交辞令の裏側自由詩208/3/20 16:24
地獄で自由詩508/3/18 16:17
行く自由詩408/2/29 0:11
メール/パッサカリア自由詩4*08/2/27 23:08
どこにも行かない日自由詩308/2/19 23:33

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