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夏と秋のさかい目の空
黒い鳥の影ふたつ
きのう出ていた鱗雲を探している
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夏と秋のさかい目の海
白い背鰭 きんに耀くまで
ゆうべ沈んだ太陽を探している
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夏と秋 ....
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そうなんだきみは邪な思いでぼく
に近づいたネオンの街角きみは邪
な目的を抱いてぼくとよりを戻そう
としているきみの好きだという真摯な思い
テーブルの上の蒸留酒のように透き通っ
たき ....
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「好きか?」って聞かれたら、
「べつに。」って答える。
「すごく好きか?」って聞かれたら、
「すごく好き!」って答える。
  .
「嫌いか?」って聞かれたら、
きっと涙が出る。 ....
   {引用=鉄砲がつめたくなりて‥(賢治)}
銃身のつめたさ{注=作者は、銃に触ったことはありません。また、事実は、寝台は各部屋2つ備えられていました。}は 心のほてり
夏至の長い日が暮れると窓 ....
  {引用=あまりにしげく 星ながれたり(賢治)}
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あなたも見つめているでしょうか2杯の碧い液体に浮いた2つの顔
あの誇らかな藍光タワーの上のほうに行ってみたいきもちはあるけれど
模型 ....
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傍においときたいって? ‥あのテディベアみたいにかね?
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それはもうとても幼い日のことで、記憶のない年齢と心理学者が言う年代に属し
そんなことがあったことさえ、くりかえしくりかえ ....
その目が好き
その目が好き
その{ルビ目目=め}が透きとおり‥
じっと据わったその目にとらえられる

ふたつのレンズ
ふたつのシャッターホウル
そしてもうひとつのレンズはあなたの胸に
 ....
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 いきた
  きたい
   たいき
  .
  きたい
   たいき
    いきた
  .
   たいき
    いきた
     きたい
  .
    いきたい ....
 きみはいま くものうえにいるのだけれども
 そこへとんでいったとおもったのだけれども
 ほんとにそこにまだいるのかね?‥
 きみはいつも言っていた:「自分に正直になることが大切なんだ」と
  ....
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ぼくはかぜ
きみに見えない
ぼくはかぜ
雲のかなたをひとは見る
木ずれの音をひとはきく
そしてぼくはゆきすぎる
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落葉松の枯れ枝が
春のアリアをうたうとき
紫つつじの ....
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正クリスタルの羽根
たくさんのフラクタル
この星にはじめて兆した曖昧な生命の
{ルビ膠質膜=コロイド}のようにあえかなしじまをくぐり

おりてきた
堕ちて来た
ちいさな
天使たち ....
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きみたちの{ルビ身体=からだ}から発した熱は
端正な六角の結晶を溶き崩す
時空のしじまをかいくぐりたったいままで保たれていた正クリスタルの羽
気の遠くなる空の上から降りてきたたくさんのたく ....
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「どうだった?」
「なんとも…ひとことでは」
「入るまえに思っていたのと比べて?」
「こんなに誤解や行き違いが多いとは思わなかった」
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漆黒の{ルビ水面=みなも}をすべる細い ....
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{ルビ二十日=はつか}に年賀状を書き終った。こんなことは初めてだ
なにをかくそう、きみが宛名書きをぜんぶやってくれたからね
ポストに入れにゆくと丸くて赤いポストはなくてみな四角だった
 ....
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古くなった里芋をぐつぐつと煮ていたら
きょうの空のような{ルビ紅=ぐ}{ルビ蓮=れん}の毛細血管が
鍋に浮いてきた。朝から暮れ始めている街の
気層はこもこもした灰のかたまりを日がな支え ....
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その向こうにあるもの見えないもの
瞳をこらすとぼおっとなって
頭のおくがしんと痛くなる
見えても云いあらわすことのできないもの
云おうとするや頭の向こうがぎらっと光るもの
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 ....
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宮澤賢治の長詩「小岩井農場」は、「ベ」氏のあの第6交響曲に着想を得ていると批評されることが多い。作品「春と修羅」は第5交響曲、「小岩井農場」は第6交響曲だと云うのだ。
じつは、私はあまりそ ....
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‘のはらの果てはシベリヤの天末’
 その遠いけぶった海原から
 意識を失った帆影のように
 異郷の文字列は削られ吹き寄せてくる
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 地は舞い上がり白い靄と化した
 その天空 ....
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見る風景 見えない人
見える風景 見ない人
きみは風景を見ているか
風景はきみを見ているか

こんなにも草は伸び木は腐り
絡み合う根と逃げる水
人は風景を忘れるが
風景は人を記憶 ....
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なぜ真っ黒な爪を残そうとするのか
なぜこんな真っ黒な棘をおれたちの
臥床{ルビ=ふしど}の下に残そうとするのか
おれが寝返りをうつたびきみが頬杖をつくたび
おれたちの手を胸をちくちく ....
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愛する気持ちが悲しいときは
ひとはどうすればよいのだろう
…まばらに生えた松の向こうで…
…水鳥 揺れる揺れる…
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悲しいのに涙がでないときは
おれはどうすればよいのだろう ....
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さびしさは都会でこそ味わうもので
見知らぬ人間の真只中での心地よい
感情だ人のいない世界にさびしさはなく
青いきょうふに身体の芯まで透き通る
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 ボクハイツデモキミノスグソバニイ ....
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嘯嘯と渡る風 牡蠣殻の谷間
置き忘れられた巻き貝
さんざめく天空の波濤
人には気づかれない 水底{ルビ=みなそこ}の弾き手
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冷たい秋の雨の夜はあなたのいる
彼方から かすかな ....
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しばらく前から動かなくなってしまったあなたの肖像
あなたは永遠になってしまったから
ぼくが生きている限りあなたは生きているし
年をとることもないあなたは永遠の肖像
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夜は星々のま ....
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ここはもう揺れはしない
神々の住む丘に囲まれて
赤煉瓦と疏水の流れる大地
東からの旅人を穏やかに迎える
  .
あなたのぬくもりに充たされ
た部屋ふいに目覚めるわたし
スクリー ....
  .
ひとが歩けばみちは出来る
あてどなくさまようてもみちは出来る
みちと迷いみち見分けるすべもなく
どこへ誘いゆくのか迷い人のそま
  .
みちがあるから人が往き来するのではなく
人 ....
  .
寄せては返す波のようだと
きみは言う
波をかぶれば返りそうな
小さな舟にぼくらは乗って
それを岸から見ているぼくら
波寄せ来れば砂は崩れ
どこに運ばれてゆくのかわからない
{引 ....
{引用=
Und seine Zweige rauschten,
Als riefen sie mir zu:
《Komm her zu mir, Geselle,
Hier findst d ....
  .
こよみだけの冷たい四月
人も出てこない月の無い夜
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塀に囲まれた空地から
何日ぶりかの猫の聲
  .
もう振り返りはしないけど
見捨てるつもりもさらさら無いんだ
  . ....
  .
数の世界はその抽象にこそあるのです
具体をいかに豊富に積み込んだ抽象
を構成するかが数を究める者の課題
ここに数とは宇宙を開示する抽象のすべてをいう
  .
それならば詩とは数なの ....
Giton(193)
タイトル カテゴリ Point 日付
夏と秋の自由詩0*14/7/7 0:22
きみは邪な思いで自由詩2*14/7/7 0:13
すごく自由詩1*14/7/7 0:08
深更自由詩1*14/7/5 18:11
扉の前のエロスに捧げるソネットⅡ自由詩014/7/3 21:48
発見Ⅰ自由詩1*14/7/3 14:11
めⅡ自由詩1*14/7/2 11:08
自由詩1*14/7/2 5:09
きみはいま自由詩1*14/6/15 1:28
風のうた('ch bin der Wind)自由詩1*14/5/30 19:23
拒め自由詩1*13/2/4 23:22
自由詩1*13/1/20 1:09
カロン自由詩4*12/12/27 1:42
年賀状自由詩2*12/12/26 0:10
曇りのち曇り自由詩1*12/12/19 11:35
オマージュ Ⅲ自由詩1*12/12/17 5:25
オマージュⅡ散文(批評 ...1*12/12/15 2:29
オマージュ Ⅰ自由詩1*12/12/14 15:56
慶松平にて自由詩1*12/8/22 4:03
木莓(モミジイチゴ)自由詩2*12/2/20 20:09
比叡の岸自由詩2*12/2/20 19:21
夜泊自由詩4*11/12/11 1:44
キュリエ自由詩4*11/10/14 22:15
肖像自由詩4*11/10/7 18:28
もう揺れはしないから☆自由詩3*11/8/29 3:02
みち自由詩1*11/8/17 2:22
浜辺にて自由詩3*11/5/23 3:30
そしてかの梢さわぐ…(Lindenbaum に寄せて)自由詩4*11/5/21 3:34
月、出ない自由詩1*11/4/2 19:59
覚え書き自由詩3*11/3/20 9:08

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