色褪せた地球儀には
太陽から日射しがさしこんで
ずっと遠く
大海のなかで
夜空を越えて朝は始まる

温かい珈琲をいれて
まるで真夜中の色をした液体を
飲み干すように
漆黒のなかで
 ....
生き抜く命であるために
海外での独り旅に駄賃を
ポケットに包んで
二十歳で渡った地球儀の向こう
できれば
旅先で覚えた
スラングで話したいよ

病気を乗り越えて生きるために
隣人の苦 ....
素直に
想いを伝える
命の煌めきは
身体を紅く
染める耀きの
燃料になっていて

未来へと
想いを運ぶ
夜空を照らす
裸のままに
燃える僕らの炎
吹きすさぶ
嵐が接近する
真夜中に
灯火で照らすのは

きっと陸にある
港のような君と
海を航行する
船のような僕を
繋ぎ止める
綱の堅い結び目で
しかないのだろう

小さな ....
月下美人のつぼみは
僕から君へと宛てた
詩集の挿絵に
描かれていて
本当は籍を入れる時は
月蝕の夜になっていた
かもしれない

まるで仮眠でも
取るように
くれないに染まる月蝕は
 ....
夜を徹して
降りしきる雨
月曜日に朝を迎える
街で真先に開く
パン屋もすでに
忙しく

ラッシュアワーに
台風が直撃する
大きな白い傘を差しながら
駅へと向かう
運行規制で少し ....
ショパンのノクターンを演奏している
サンチョ・パンサ号という
ふたりで名付けた彼女のグランドピアノのことで
彼女は、音が死んでいく、と悩んでいる。
音楽の師匠は、ちょっと綺麗な言葉じゃないけれ ....
生まれた頃の
記憶
母の語る
真実
学校の先生が話す
口癖
ただそれだけの
時間
初恋が恋とは分からない
感性
誰も知りはしない
秘密

友達と誓う
約束
神を信じること ....
暮れなずむ
誰かの小さな紅葉は
夕焼けに包まれて
橙の肌に
色差す風に
運ばれながら
恋の水面を揺らして

紅葉がはらりと
夜空に舞いながら
寂寞の湖を
くれないに染め
恋は彩 ....
そっと今も
地球に隠されている
新しい一日には

夜明けの太陽から
陽射しが煌めいて
鳥たちが
鳴き始める約束の朝
窓を開ける
君の微笑みに

旧来の知人から
感謝の手紙が届い ....
黒猫たちは
人間の力を
恐れませんでした

あくる朝には
深い霧が晴れて
太陽のしたでは行動が
穏便ではないので
捕らえられた
猫たちの奪還は
潮の引く
新月になる今夜を選び
 ....
真夜中を過ぎて
潮騒が近くで鳴る

砂浜で水夫たちは
休んでいました
座礁した帆船からは
食料を運び出すために
彼らは夜を徹して
運搬を交代でしながら

海では嵐が来たけれど
水 ....
長雨が降りしきる
深い森と濃い霧に
おおわれる
絶海の孤島に
もう遠い昔
誰も知らない
猫たちと
鳥たちが住まう
千年杉がありました

樹齢千年を超えて
鳥たちがさえずる
杉の ....
純白の雲から
いつか夏の終わり
銀色に耀く雨粒となって
熟れた小さな果実のように
堕ちていったBluesky
なくしていた蒼い傘が
見つかりました

遠く霞む
紅にたたずむ山脈の
 ....
やや乾いた
風がない
夜空のなかで
Schubertの楽譜から
不思議な音が響く
一瞬のあいだに
戦争写真家が撮影した
たった一枚の写真が伝える
真実みたいに
部屋中に澄みわたる
 ....
星がない夜空で
遠く昔に君が歩いたはずの
もう見えない足跡でさえも
まだアスファルトには
小さな熱としてこもっていて

切ない夏の夜に
孤独な月が隠れながら
白夜について
君のとても ....
真夏の彼方から
静かな夜空へと手前に延びる
扉を開けると
独り涙に濡れている君がいた

ぽろぽろ汗を流しながら
仕事から帰り着いたばかり
ずっと一緒に生きていこうと
伝えた僕は
花瓶 ....
寿退社する君へと
パッションフルーツを
プレゼントする昨日
月末に送別会があるようで
退社するときに演説する
練習をまたしている

揺りかごから
墓場までと云う言葉を
知っている?と ....
僕が使徒を引き連れて
詩を書き始めるきっかけは
十九歳の夏
或る女との
一方的な
失恋の果てにある

契約までかわすこと
になったのは
その歳の秋頃だろう
なぜか失意のうちに
幻 ....
ほとんどの恋とは、
心にだけ映っていて視ることはできない
約束された秘密の世界のことであったなら、
それから、あらゆる愛とは、
はっきりと形がある存在であって、
与えることも与えられることも ....
雨降りから
こっそり逃れるために
少しずつ歩く
小さな黒猫には
首輪もないので
名前もないだろう

彩りある
小さな傘がたくさん
水たまりの
近くにあって
バス停で
トロリーバ ....
深い霧のように
飛沫をあげる
たくさんの雨粒は
花柄の傘が雨をはじく
音が聴こえるあいだに
仕事帰り乙女の
世界を群青色へと
静かに揺らぎながら
変える

遅めの夕食を終えて
す ....
だいぶん昔の
ことだけれども
てとてのしわとしわを合わせて、
しあわせ、
なーむーと合掌するという
葬儀屋のTVのCMが
流行っていた

しあわせとは
もっと違うものだと
感じた僕 ....
きっと初めから
死を覚悟して恋をしていた

随分前のことだけれど
彼女から
死にたいのだと
こっそりと
打ち明けられたことがあった

どんなに哀しくても
明るく振舞う
気立てのい ....
約束の
場所へと
続く道で
恋する自転車を
旅のために
丘を越えて
君へとこいでいく

暗がりを
ヘッドランプで
照らして
今という瞬間は
手のひらのなかで
ぎゅっと
握ら ....
担架の中で目を覚ます
運ばれる直前の
記憶が定かではない
どこで何をしていたのか
今日がいつなのか
答えられない
なぜかはわからない

倒れるということは
命のともし火が消える
手 ....
光が少ししか
届かずに
かすかに耀く
とても小さな
砂漠だけの星へと
旅行をする
少女を描く
ある絵本を作ろうとする
少年がいるのでした

はるか彼方の銀河への旅を
描いた絵本を ....
晴れわたった休日の朝に
僕にとっては
世界で一番優しいのは
君だけだよと
伝えたのだけれど
宇宙で一番優しいはずだと
言ってくれた年上の彼女に
僕がもし火星人と
浮気をしたらどうする? ....
初夏の月から
降りそそぐ
その耀く光だけではなくて
少しずつ零れる
綺麗事のような陰は
どこまでも柔らかくて
穏やかな音色がする

夜空のずっと西にある街には
月の光は差し込まない
 ....
世界のずっと東にある農村では
もっと西の都会よりも早く
夜明けが始まっているはずなのに
朝を待ち続ける
不思議な潅木がある

          新緑が芽吹く軟らかい音が聴こえる
    ....
りゅうのあくび(146)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜明けの旗を[group]自由詩3*15/3/29 10:22
父よ自由詩7*15/2/22 4:51
裸火[group]自由詩12*14/10/12 0:16
嵐の夜に灯火を照らして[group]自由詩10*14/10/11 21:54
月蝕から遠くない日に[group]自由詩16*14/10/8 23:30
各駅停車は台風のなかで[group]自由詩10*14/10/7 22:27
音と言葉について尽きない話[group]自由詩10*14/10/3 22:50
刹那の果て[group]自由詩6*14/10/2 22:23
紅葉みたいに恋舞うときに[group]自由詩8*14/10/1 23:15
君の微笑みは世界の何処かに[group]自由詩27*14/9/23 18:51
千年杉の猫月夜-9/22[group]自由詩8*14/9/20 15:36
千年杉の猫月夜-9/21[group]自由詩7*14/9/20 15:34
千年杉の猫月夜-9/20[group]自由詩9*14/9/20 5:51
Into The Bluesky[group]自由詩19*14/9/14 17:19
夜空と楽譜と[group]自由詩9*14/9/2 21:30
白夜の足跡[group]自由詩10*14/8/17 22:14
真夜中の向日葵[group]自由詩16*14/8/1 0:47
ラストメッセージ症候群[group]自由詩15*14/7/11 23:18
使徒の竜と契約を巡って[group]自由詩5*14/6/19 21:21
恋愛とは少し深いポケットである[group]自由詩8+*14/6/13 14:18
雨降りと小さな黒猫[group]自由詩5*14/6/13 0:03
群青色の乙女[group]自由詩9*14/6/6 23:12
あしとあしを合わせて、あ、しあわせ[group]自由詩5*14/6/4 18:09
愛するということ[group]自由詩6*14/6/3 0:45
恋する自転車[group]自由詩6*14/5/29 22:42
倒れるということ[group]自由詩10*14/5/27 12:13
こんぺいとう[group]自由詩10*14/5/22 22:24
もうひとつの日傘のチェリー[group]自由詩8*14/5/18 0:08
月の音色を[group]自由詩8*14/5/12 1:43
僕らの朝が生まれる潅木の近くで[group]自由詩9*14/5/5 17:04

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