古い町並み
  もう、思い出は薄れて
  それでもまだ
  オルゴールの音はかすかに響いた

  緩やかな下り坂の終わり
  あの曲がり角を越えて
  少女時代が
  降り積もった ....
 「今夜も夜空が見えない」と
  老いた猫が嘆きます
  だれも教えてくれませんでした
  嘆く猫の目が閉じられたままであることを
  だれも老いた猫には教えてくれませんでした

 ....
   丘が燃える
   潮騒の果てで

   ラムネ壜の中の気泡が何処から生まれ
   そして何処へ消えるのかを知っているだろうか
   耳を澄ませば聴こえるだろう
   遠い海の ....
  冬の木漏れ日の中で懐かしい歌を聴きました
  懐かしくてももう泣けない自分がいました
  それが寂しくてそっと瞳を閉じました
  太陽が淡く輝いた冬の日のことです


  太陽 ....
   冬のくじらは島になりたかった
   椰子の木を一本 背に飾って
   あの人のために家を建て
   そして浜辺を用意した


   一人きりの夜に 歌を歌う
   夜の海に ....
  言葉を重ねれば重ねるほど
  伝えたいことが遠ざかるような気がしたんだ

  だから今日はもう何も言わない

  沈黙の中でこの感情は満たされるだろう
  目を閉じていても そ ....
嘉野千尋(66)
タイトル カテゴリ Point 日付
オルゴール自由詩9*05/1/14 18:41
黒猫の話自由詩5*05/1/9 20:34
潮騒の丘自由詩10*05/1/8 20:27
十三月記自由詩45*05/1/7 19:00
冬のくじら自由詩9*05/1/6 17:32
_自由詩7*05/1/5 20:08

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