‥もう終わりだね

呟いたのは
あなただったか
わたしだったか

照らし出された
顔だけが
暗闇に蒼く浮かんで
すぐ消えた
日没にはまだ少し早い
真昼の太陽で暖まった道は
この足どりを重たくする

ふうと
ため息に似て
諦めともつかない
息を吐きかけたとき
風が首のあたりを
掠めていく

この道の
 ....
青々と
広がる蓮葉には
明け方の雨の
ひとつぶ、ふたつぶ
みつぶ、よつぶが
それは見事な玉を作り
ころころと
風にゆれながら
まるで生まれたての
宝石のよう

真っすぐのびた
 ....
肌の全部が
湿った薄い膜で被われて
少しの息苦しさで
満ちている午後

畳の跡がついてしまうかしら
そう思いながらも
まるで猫の昼寝の如く
時折どこからか吹いてくる風で
意識を保って ....
それは
降りしきる雨の
隙間をぬって
遅れて届けられた
一通の手紙のように

 雨と雨が
 触れあう音に紛れて

 見慣れた景色の
 匂いの片隅

 未送信のまま
 閉じられ ....
ふたり来た道
ひとり戻る道
降り出した雨に
そこから一歩も
動けなくなる

泣かないと決めたから
唇噛んで
きみの姿を巻き戻し
雨のスクリーンに何度も映す

いくつもの
色の移 ....
雨と雨の間に
かおを出した青空に
並んで一緒に伸びをする
夏草はいつのまに
私を追いこして
掲げた手さえ届かない

ぐうんとジャンプで
きみ(夏草)にタッチ
ぐうんと伸びして
きみ(夏草)は空にタッチ ....
物語の終えた本を
閉じると同時に
欠伸をひとつ
いつの間にか外は雨

こんなに近く
ガラスを滑る雨に
今更気づいて
覗いてみたのは
深い夜
明けること
わかっていても
朝はまだ ....
静けさに
包まれて夜は
雨はとどまっても
星はみえない梅雨の空

肌の湿りは
空が落とした夏の皮膜
それとも重ねた体温
外灯が滲んで見える

青く蒼々と
今を映すその目に
私の ....
地面に伸びた影を
ただひたすらに
追いかける
僕らはあの日
自由だった

悪戯な
きみの笑い声が
背中をくすぐって
僕のなかにあったのは
「現在」という時間だけ
確かにあの時 ....
*翔る*

頭上の
ヘリコプターに向けて
大きく両腕を振る
「おーい」って叫んだ
何度も叫んだ
声だけが
翔けていく



*風*

自転車の
ペダルを漕ぐのも
間に合 ....
手をつないで歩けば
その瞳にも
この瞳にも
きらきらひかる
ちいさなちいさな
野の花でさえ



注:庭石菖(ニワセキショウ)という1センチくらいの小さな花です
雨を待つ君

明日を待つ私

並んで
風に揺れる午後
石垣に肩を預けて戯れは
我が身を石に初夏の景色に


それは‥

季節で言えば
今頃の
濃さを増す
木々の緑も鮮やかに

天気で言えば
曇天とも
雨天とも
言えるような
 ....
夏にまだ
無防備な肌を
焦がして太陽は
隆起する分厚い雲に
たちまち覆われた

焼けたアスファルトに
水玉の模様を描き始めた
大粒の雨
それもまた
激しさを持て余し
にわかの ....
夏を知らせに
来たんだよ

始まりは
白だったかな

密の味は
甘かったかな
丸みを帯びた光は
瞼を下ろすたび
その裏に
微かな影を描く

碧さを含んだ風が
誘いかけても
膝を抱えたままの両腕を
微動だにしないで


 閉じたままでは
 何も見えない
 ....
点滅を繰り返す信号を
いくつ、くくれば
朝を迎えられるか試す夜

踊る、踊る
ステップを踏むのは
この足じゃなく
打ちつける雨

ゆらゆら揺れる
心ごと体ごと
壊してゆくリズム
 ....
名の無き道に
いつかふたりで
残した足跡を辿る

 咲いた椿を
 ひと目見たくて

斜陽にそっと
伸ばした指先

 溢れた椿に
 躊躇うばかり

枝先から
落ちた瞬間
名 ....
雨の

始めの

ひと粒

ふた粒


私だけに
与えられた
もののように
この頬を濡らす

あなたの指先に
近い温度で
谷川俊太郎氏の
『朝のリレー』という詩
皆さんもご存知のことと思います


その詩を
頭の中で描きながら
不思議な気持ちで
夕陽を見ていた

私には終わった一日
誰かには始まる一 ....
あなたにも

嬉しい気持ちを

おすそわけ
つまさき立ちで

小鳥を真似て

高い空に知らしめす

両手を広げ

澄んだ少年の瞳で
囀るひばりに誘われて
五月の原っぱ

やわらかな緑が
裸の足にくすぐったくて
昨日はふり向きもしない
ぺんぺん草がかわいらしい

青い空に
浮かんだ雲を
目で追いかけて
眩しい形 ....
眠れない夜
眠らない夜
想いの行方は
彼方

銀の先は
星を射す

いくつの言葉を
集めても
満たなくて

繋げた言葉は
形を描けず
流れる星になる

めぐる
めぐる ....
まだ、透明でありたい
と願う
それでも底は見えない
私にも

小さな器に
海を夢見る私は
包まれているのか
包んでいるのか

穏やかな声
温かな手
優しい目

 その名を叫べずに

二重にも三重にも
 ....
久しぶりに良く晴れた朝
緩やかなカーブを描く坂道をゆく

気がつけば
坂の中腹あたりだろうか

どれくらい来たのだろう
振り返った後に
始まりはもう見えない
けれど確かな軌跡

 ....
 桜の下には
 死者が眠るという


桜を求め
通いし春は
いっときの
戯れにも似て

ああ
私が見たのは
この桜ではなく
あの桜でもなく
解せぬまま
散り急ぐ花弁に
幾 ....
色彩々の
螺旋を描いて
くちびるを震わす風に
ほころぶ花びら
さえずる鳥は枝高く

春のうららに
「なべて世は事もなし」


※「なべて世は事もなし」の部分
上田敏の訳詩を引用し ....
喧嘩の締めくくりはいつも
見えない一本の線だった

 あたしがこっちで
 のんちゃんはむこうね

そう言いながら
両腕を伸ばして陣地を分ける

 ぜったいはいらないでね
 ぜったい ....
LEO(226)
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