妻よ
おまえが夜眠っているとき
味噌汁は走り出すのだ
家人が寝静まると
味噌汁はお椀にはいり
玄関からそっと抜け出し
町内を走り出す

味噌汁は走る
(けして薬罐が空を飛ぶのではなく ....
横丁の角を
曲がると
公営住宅の
アンテナの遥か上
ライオンの
かたちした雲が
広いサバンナを
駆け抜けていた
十一月の夕暮れに
落とした財布は
世界の意味にすっかり濡れて
もう使い物にならない
ちょうど
開かれることのない
窓の高さで生きる
ぼくらのように

おとといと昨日と今日の夕焼けの違 ....
手のひらで掬いとった砂が
指のあいだからこぼれる
どうしても掴みきれずに
こぼれ落ちていってしまう
キラキラとひかるその砂のような

どんなきれいですばらしい壁も
見えるものは壁そのもの ....
ぺるせうすざの
はしっこで
にじをみていた

あおくひかる
ほむらのようにゆらぐにじ

ときおり
ちいさなほがはぜ
あたりがすこしだけ
あかるくなる


はくいきはかなしく
 ....
ぼくらはかつて
遠ざかる気層であった
果てのない蒼い夜に灯る
淡い光であった
ぼくらの指先は
震える幼き稲妻
すべての吐息は
透明な表象となった
ぼくらはかつて
言葉以前の言葉
記 ....
忘れられない人がいる。やわらかな白いカーディガンをきて 水辺のそばで佇んでいた人。手をふって やさしく微笑んでくれた。あかるい霧のような雨が降っていた。ぼくは何気ないそぶりで 自然に振舞おうとしたけど .... 口腔から喉の奥へと
落ちてゆく暗がりの
生きるものの持つ
湿り気を帯びた
底の見えない暗闇

全ての声は
空洞から押しだされ
湿り気を帯びて響く

釘のように
土のように
秋雨 ....
地下深くもぐり
モールス信号を
生涯送り続けた男が
死んだ
その晩

世界中の
ラジオから一斉に
鐘の音のモールス信号が
響いた
おとぎ話のお姫様や王子様しか
しあわせになれないと
思ってったんだよなあ
子供のころ
幸福ってはるかかなたにある理想のことだと
理解してた

そんな俺が
いつのまにやら
しあわせにな ....
僕の
水色の夢の中に
悲しいキリンは
住んでいて
その静かな凪のたたずまいが
一層物憂げな遠音を
儚むのだけれど
そこはかとなく香る
ヒヤシンスの根の偏西風が
僕のトレンチ・コートを ....
http://po-m.com/forum/upfile/418/070107232821.jpg 今日も桃色のぱんつをはいて
元気にでかけてく娘よ(*1)
雨降りだからといって
勢いよくカサを
くるくる回したりしないように

おまえは
いつもまっすぐ前しか
見ないものだから
かけ ....
ぼくは
寂れた路地裏に
うずくまり
ずっと待ち侘びていた

トタンの屋根を
硝子の格子戸を
自転車のサドルを
生垣の八ツ手を
子供らの小さな傘を
やさしく濡らし
そっと奏でる
 ....
雨の日は
耳になる

秋は死に
鳥は黙したまま


はじめから
世界は
満ちることなく

ぼんやり
霧にぬれる
地球と鳥篭
朝 目を覚ましますと
世界はとても青く輝いておりました
本当にどうしようもないくらいに
青うございました

わたしのすぐ隣から
「おはよう」と声をかけてくださる
あなたのやさしいお顔も
 ....
開け放たれた窓
とその影

風に揺れる
白いカーディガン
とその影

鏡に映る
誰もいない部屋
とその影


わたしの耳に住む
花火師がひとり

ときおり
小さな貝殻の ....
*

少女からはみでている
魂のゆらぎは
舗道のプラタナスの
青い影の上を
過ぎる一匹の黒猫
そのしなやかな足音は
遠く離れた街の路地で
こだまする



*

透明な空 ....
去年の子猫は
もうおとなになった
おととい
二匹の子猫を
産んだ

小高い丘の
天文台の脇をすぎる
風のように
夢はいつでも
ゆっくり醒めてゆく
夏の濁ったにおいに爪先立ち
砕け散った星々の欠片のような
宿命論として小さきものの
俺がいて
夕刻のオランダ坂には
永遠に落下することのない
光の粒子の螺子があって
それは緩やかに巻き戻 ....
青色銀河団(320)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜、走る味噌汁[group]自由詩803/11/24 23:28
横丁の角を曲がると自由詩403/11/19 0:59
遠くでぼくらが病んでいる自由詩403/11/16 0:21
こんな詩が書きたい未詩・独白203/11/15 10:48
じゆう自由詩203/11/14 0:15
夜明の書簡(友へ)自由詩403/11/13 23:59
自由詩103/11/11 23:12
響くもの未詩・独白103/11/10 0:17
自由詩403/11/7 19:32
まだ知らない自由詩103/11/6 22:53
自由詩203/11/5 23:23
なあシロ自由詩1203/11/4 22:26
雨降り自由詩403/11/3 11:56
雨音未詩・独白103/11/3 11:53
記憶未詩・独白503/11/2 13:32
青い世界未詩・独白403/11/2 13:23
或る午後自由詩303/11/1 22:28
3つの無題未詩・独白703/11/1 22:23
11月未詩・独白203/11/1 22:22
オランダ坂自由詩503/11/1 2:26

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