言葉を乗せた花びらの
来る上空から
甘い香りが立ち込めて
手の平は夢遊にひらめき
高く 高く 開くよ
ワタクシの生きた
気の上で回れ 花吹雪
ら行は霞んだ空を瑠璃色に ....
ああ、男は36階の屋上で
誰一人居ない 屋上の一角で
この世の切なさと
この世の厳しさに
ゴクゴクと酒を飲む
だが、しかし
不本意にもああ、不本意にも
足を酔いに取られ
誤ってフェンス ....
水見える能力
ある晴れた日の空の下
干したばかりの洗濯物の
内包された水溜りを
始めて見たのは 何時の事やら
いくつもの柔らかな固まりは
それから数時間かけて
風に ....
「お土産は、何がいい?」と
聞かれたものですから
私、何とはなしに
「らっきょう」と答えたの
お父様とお母様が夕食後に奏でる
小気味良い音が好きなのです
ぽり ぽり ぽりり
....
あれは、あの感じは何だろうねぇ。
桜並木を見ていると
足元が軽くなるねぇ。
そのまま気持ちを持ってかれそうだねぇ。
淡い桃色の真綿が降ってきて
体ごと包み込んでは
ふわぁ ....
朝焼けに燃え尽くされて 空
「熱を帯びたから、私行くわ。」
そう言うと 彼女の全身から
冷たい汗が吹き出したのだった。
憶えているのは 丸い尻
しっとりと 揉んだ
憶えているの ....
ブルガリア
ローズ・オイル摂取する
あなたとならば
触れ合いたいのよ
手を繋ぎ
じわり濡れゆく
感情線から恋愛線へ
薔薇香水は
流れ 流れて
黄 緑
....
(本日の天気・九官鳥曇り)
天気予報士が少しくぐもった声で言った
昨日の予報では
(スズメのち晴れ)
小さなさえずりは 集まって
高音と 空へ抜ける
清清しい朝に撒き餌して
集ま ....
切り絵(題材)
「少女」
ただ真っ白い紙でした 私たち
切り絵師は 無を有にする
柄に美しい細工を施した
銀色の先端鋭いハサミで
すんなりと手足の伸びた
可 ....
昨日 切り捨てられた廃線の
駅 構内には
まだ暖かな気が
そこら中に点々と赤味を帯びて
揺れ立っているというのに
朝に 幕
夜には 鉛の月影が
ゆっくりと光りを奪っていくのだと
....
大きな街のお空には
本当の空は無いと言うのに
太陽が高く射す昼休み
呼吸をふーーと吐き出して
皆が窓を開けた
深呼吸する時間 一斉に
大きな街のお空には
化学記号が飛んでい ....
理科教室のカーテンの陰
ビーカーに入れられた
子供の悪戯とクロッカスの球根
こっそりと 育つ日々
昼の太陽 夜の月
揺れる隙間から漏れる
光りの栄養を貪りながら
薄情な薄明か ....
昨日の高い 高い空から
ハッカの香りを感じた のです。
それは 甘くなく
気道から凍るような
冷たさだけ残して
昼には そっと
消えてしまったけれど
これから何度と無くやって ....
降り始めた雪に濡れながら
翔る若葉よ
じゃれて 絡まり
互いに触れた体の温もりを
互いの手の平に感じただろう
彼等は 彼等は
何処へ行ったのだろう
....
玄関先で可愛く鳴いた
多分 白い綿毛の小さなワルツ
昨日の残りの納豆巻きを手でわし掴み
走って探した
陽だまりの道
僕が好きなものを キミも好きだと思ってた
テーブル越し ....
女
愛しいあなたを抱きたくて
透明から青
青から碧へ
変色する
この静かな淀みの池で
禊(ミソギ) する
今夜の月は丸いから
お前、美しい女になるのでしょう ....
静電気が怖い、怖い、私の手の平の保湿から
握られた硬貨がするり と逃走しては
自販機の隙間へ乾燥を求めて サヨナラします。
コイン投入口は私の指先から消え去った
お金の代わりに水分 ....
入眠
夜を行く 夜行列車の端から端まで
眠れないという あなたの背中を
私の恋を知る 二年の黒髪で覆い尽くす
やがて 足が滑らかに滑り落ち
月の無い夜を 黒豹と翔け行く ....
薄暗い軒先で
植えてもいないのに咲いている
高貴とは程遠い
紫の嫌な匂いを放つ花を
じっと 見ていた
「毒に彩られた花やね。」と教えてくれた
少女の丸くかがんだ背中から
....
「トウモロコシ」と言えない子供が
とうもろこしを殺してしまった
大人は嬉しそうに笑っている
子供には子供の悩みがあるのだ
今日ついに10本も殺してしまった。。。
「キウィ」 ....
草むらを分け入ると
シジミチョウの群れが一斉に飛び出した
散りじりに空へ舞い上がる
小さな薄紫の花びらよ
先を行く 私の体にまとわり付いて
軽くなる体 ここは、春の国?
頬に触れる一匹の ....
「夕日が落ちる前に、帰ってきなさい。」と母が言う
私は、海が見たかった。
秋の夕暮れる速度と思い出と川沿いを歩き
橋の向こうまで。
スタートは、浅い川底の尾ひれで跳ね上げる小 ....
至近距離で選ぶ 想像の快楽とロマンチシズム
目線のやり場を 一体どこに持って行けばいいのかと
目視の限界点で 目をしばたたかせる男と女
何をそんなに見つめていたのかは、人それぞれである
まった ....
午後11時55分の川面に浮かぶ 昨日行きの船は
今日の悲しみを乗せて 海の彼方へ
満ち潮には 増減があるのだと
思い巡らす 詩人の夕暮れる刻
紅葉した太陽が 海へと流れ行く
....
桜降る あの 朱色に染まる門前で
逝き 生きと 別れたというのに
あなたは 私の夢の中で
「君の傍にいるよ」とか
「守ってあげるよ」とか 言うのです。
幸せだった一日の終わりに
....
入眠の際が瞼の奥で細い光を放っている
生と死の曖昧な絆という楔を
今は、強引に断ち切って 眠りの森へ
木漏れ日を抜けて下方へ沈みたい
怖さに尻込みした夜の
怖さに涙した夜の
夢 ....
薄紫の和紙に 小さなお山のように盛られた氷砂糖を
壊さないように 天辺からそっと摘まんで
可愛らしい唇に つん と付けては
何となく冷たい感触を味わうのよ あの子は。
口溶けは 冷やか ....
干乾びたのだろうか 私は静かに干乾びていくのだろうか
風の強い静かな午後 ほら、耳の裏側で
ガラスの器 丸く並ぶ石粒 揺れる水
指を離す ゆびをはなす 知っているのに・・・
鳴る音は飛沫 ....
まず、最初に言っておくけどね。
冷凍室から取り出したばかりのアイスキャンディーを
すぐに舐めてはいけないよ ホワイト
表面を白く覆う 霜という物が消えてから
静かに舌で突っついてさ 甘 ....
空の不思議な明るさを眺めていた
午後のしん とした静けさに
誰もが固唾を呑んで、音が止まるふりをする
脂汗を拭って、開け放った窓に手を掛けた
そろそろ雷子がやって来る
彼女はいつ ....
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