消えていくもの
たちまちに消えてしまうとわかっているものだけがいつも
うつくしくて
それだから口を噤むしかない
かたってはならない
冒してはならないことばかり
何もかもが足りていな ....
あらゆる成功が、もう
起こりえない予感に冒されて、
そのために、もう
赤茶けてしまった、ている、信念さえも
切り売りしなければならない
症候


めぐるたびに春は、鮮やかさ ....
日記帳が真っ白だと
きまりが悪いのかい
気持ちはどこへも行かないもの
櫂を寝かせて
碇を下ろすように
夕餉の前に祈りを
明日の朝からの仕事と
穏やかな子午線が見えるよう
罫線も ....
何を見ても、見たとしても
わからない振りをしていればいいよ
と教えられた昔日の雨に濡れる窓の中に、わたしは
まだ閉じ込もったままでいる
そうしているほかないのだ
だってひとはとて ....
ぼくらはそれぞれの妄想の奔流によってのみ潤される
共感も信頼も憐憫も要らないから
どうぞ強要することはしないで
金は愛はあるところにしか流れない溜まらない
出来損ないの枯れた水系で ....
あなたの頭はいつだって
テレビに、あるいは紙束に
あるいは口をつぐんだきりの封筒へ向けられていた
あなたは僕が
あるいは僕らが
とても嫌いで、忌避していた
冬の
割れるような ....
必要としていたものを
今日捨ててしまったことを
ここに笑おう、額のしわが増えてる
どうしたってこんな寒空のなか
向かわなきゃならないことを
ならなくなったことを笑おう
仕方ない ....
青くて透き通っているけどどこか昏い
鳥たちの顔
仄かな灰の匂いを降らす翼
その背に戴いた空
かぜと名づけられたものがまた去っていった
羽毛の温もりを滑って
私の傍らを
見上げることが ....
灰色(をした)
砂の足もと
頭上の雲
またその上に走っては溶ける
たくさんの線と波と
息が詰まって仕方ないと
耳元で震えた息と
つめたい身体


伸ばさない
結ばない ....
風がかたく
薄く鋭くなってゆき
それは南中する空のもと
形を変える猫の瞳に似ている
かれらの前には何人も
内に埋めた空しさを寂しさをゆがみを
誤魔化すことは叶わない
より一層 ....
透明の四面体煌々たるフラクタル
車窓に映る顔までも重なる
数ミリの厚みの中でお前が僕に
僕がお前になって
内側と外側の面で少なくとも二度反射するのは仕方ないよね
けど僕らの像には ....
今日もひとりで笑う
歩む速さで、けれど遠ざかっていく灯りを知らない振りして
どうして誰も剥がしてくれないんだろうか
皮じゃなくて中を見てよね
そうして同じように中身を見せてよ
剥 ....
今夜は涼やかになめらかな夜
でも私は燃えさかるものを見たくて
強い酒を二瓶あおってあとは行き場のない妄想力を
総動員すれば少しの間火が吐き放題になるんじゃないかと思い立ち
すぐさま ....
ああようやっと読めました
ほんとうにほんとうに久し振りに
ともするとひとところばかり
見る羽目になるところでした
睨みがちでぶくぶく
凝らしてちりちり余計に霞んだ瞳
眼圧がいち ....
おおきな掌に
染みこめずに零れた憧れる思いは
小さな波紋をつくる波になり
それは透きとおっており
言葉も理性もみずからを恥じて押し黙るほどに
透きとおっておりまた鋭く
それはま ....
何をしていてもどこで誰といても
与えられるもの降ってくるもの落ちてるもの
砂や社会の排泄物に塗れているものを必死に
追いかけてるかき集めてる気がするよ
近いうちにまたきっと泣いてし ....
下卑た興奮の先に在るものが言葉を連れていこうとする
熱い海青いマグマ溜り通電する神経化学物質の分泌不全
溜めければ感情は発現しない
堪えなきゃ血の音は染みつかない
色も温度も直ぐに ....
信じることと縋ることはともすればよく似ている
喋り過ぎるものはそれについて依存している
夏は決まって暑くて蒸すから色々がよく腐って臭い出す
わたしは四角を中心に据えてから円を上手に書くこ ....
噛まれても突かれても
果ては飢えても
死なないと思っている
彼は(彼女は)まだ
まだとても幼いから



四角いビーカー
未開の白浜
硝酸の夢の中に落とされた二人の両顎
 ....
眠った夜の後に
覚める朝が来て
起きて歩いて
飲んで食べて考えて
歩いていく、外へ
あとは
見て聞いて話して読んで書いてとにかく何かをして
何もないをしない気付かないた ....
ひとびとが雁首そろえて暑い暑いと呻く夜
僕らの幼稚な自己愛がこの夜の温度に煮凝っている
その頃合に何処かで誰かの切実な現実が閉じ込められていく
分厚いコンクリート
あるいは湿った土の奥 ....
君は眠るのだろう
鳥の泣きながら帰ってゆく夕暮れに。
山に抱かれて人に抱かれて
遠く、重く、長く、射す陽に染められて。
閉じられた目はしかし覚めていて
幼かった日々の空の高さ、貴さ
 ....
捲り過ぎる指は慣れる
通り過ぎることに
なぞり過ぎた意識は鈍る
それと気付かないうちに


足があるので
重力に堪える足があるので
私には底があって
だから留めることができる ....
{引用=
滑らかに先行する感性
安心のブランド
いちどきに逸る鼓動
誘惑に阿鼻叫喚する観衆
は自らの慣習を省みることはなく
私はただ袖の端をつまみ
目じりに這わせる


 ....
詩の代わりにアルコール
僕も青い実だったよ
週日は懸命にはたらいて
染みた汗水土日に流す
そんなことを夢見ていた
それは本当に夢になった
一枚の紙と隠れていた軋轢
狂ってしまった人の ....
彼女の身体は垂直の中心線の半分から後、
背中側が透けて見える。
それは実際に透けているからだ





濡れて下がる前髪が呼ぶ、
下がる前髪が濡れて
呼ぶ、声の下がる前髪の濡れ ....
そんな気分になってポケットで弄繰り回してる
暮れていく景色にシガーライター
何を照らせるって言うんだ
糞の役にも立たない
風がそよぎながら触れて
そんなんじゃ足りない
波は立つけれども ....
芳しく麗しい賢人の集うコロッセオ
体臭も性器も擦り傷も隠さずにほくそ笑む
踊るオルフェ、まるでオブジェ、それは夢幻
カラカラに渇いた心臓が見せる一瞬の
どうしてそんなものを?
奴 ....
サクラメント セメント ラメント
哀切に切れたがっている
身体身体どれも空だからだ
初めっから無い中身を
切ってくれる誰かを探して?




サクラメント ....

肉に起因する欲
肉に起因する欲から来る畏れ
欲から来る畏れに続く恐れが招く妄想
妄想から蔓延る黴に体を覆われて
きれいな新緑に生まれ変わった僕を
愛したひと哀切に斬れる
 ....
鎖骨(105)
タイトル カテゴリ Point 日付
2009/8/25自由詩309/8/25 2:24
屋内 暖色灯自由詩209/2/16 0:45
2009/2/10自由詩309/2/10 1:38
2009/2/4自由詩409/2/4 1:16
髄液の海へ自由詩409/1/30 2:13
2008/12/23自由詩508/12/23 1:39
襤褸きれのありがたみ広報自由詩208/11/15 3:02
鳥の目は珠のようだった自由詩308/11/15 2:42
2008/11/07自由詩108/11/7 1:34
徒然 十二自由詩408/10/15 2:18
跛をひいてどこへ向かうの痩せこけた子猫たち自由詩008/10/10 2:40
知らなくて亡くす自由詩008/9/29 0:35
夜火自由詩108/9/16 1:56
剥離自由詩208/9/12 1:54
あいだよあい自由詩008/8/21 2:18
ひとり自由詩208/8/21 2:09
蓋をされた臭いもの自由詩108/8/20 1:19
はたらけえのきだけ自由詩308/8/15 2:39
自由詩008/7/31 2:04
寝言自由詩308/7/29 1:40
暑夜自由詩208/7/29 1:34
潮時自由詩308/7/23 2:16
徒然 十一自由詩108/7/19 1:52
souvenir自由詩1*08/7/9 0:39
青い実自由詩008/7/9 0:37
_自由詩2*08/7/7 0:45
こけ自由詩0*08/7/7 0:41
coda自由詩1*08/6/20 1:30
理想主義の化石自由詩008/6/20 1:14
徒然 十自由詩1*08/6/19 2:00

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