女は立っているだけ
明けてしまった

そして、待っていただけ
雲は切れて流れる


{引用=言葉に疲れた頃
ようやく、ひとは
「簡単」に気付くのだそうだ}


悩みを使 ....
寂びれたジャングルジムの
緩やかな回転

両手から垂れる、紙袋の重に
あれこれと理由をつけて
過ぎるのは、老舗の薬屋前


橙とオレンジの区別で
夕闇を匂わせられる今でも
 ....
お前が私の頭に触れることは
玄関で靴下まで脱ぎ、放ったあとの
一つの儀式だった

おい、納豆の匂いがするぞ
八歳の妹は部屋から顔を覗かせる
お前はその頭も追うのだけれど
 ....
(錯乱した雨模様に捧ぐ)






街が忙しい
夜が忙しい
昼も当然に忙しく
つまり、私は忙しい



肩と肩がぶつかる
前に、傘とカッパの擦れる音がする
 ....
ひとは
寂しいふりと、狂ったふりが上手です
全員ではないけれど
大半は、そんな気がします


彼女は論文を書きます
自分が、自分に出した課題で
原稿用紙を何枚も埋めるこ ....
がらん、としてしまった
食卓の上には
先程まで
私の口を喜ばせていたものの
抜け殻があって

半分
より、少し多い量を
残してしまったスープは
冷静な目をして
こちらをじっと見 ....
今朝、ベランダの鉢植えから
見たこともない形をした花が
頭を覗かせていて

わたしは
この町に越してから
数ヶ月ぶり、に
カーテンを開いた




カラーボックスの大半 ....
ちいさな箱があって

材料を入れた包みを

そこに放る



マザー・グースを好いた彼女は

お砂糖に云々を信じて

卵を爆発させた/ドルダムディー


 ....
わたしが住んでいた部屋は
人づてに
まだ、空き家だと聞いた

散歩がてら
近くを通ってみたりもするけれど
表札を外されてしまったから
もう、帰れない



わたしに似 ....
鉛の先が、机をすべる音
紙が擦り合わさったあとの
一瞬の沈黙

傾けた椅子の角度に
ほんの少し
斜めを気取った世界

眼鏡を掛け直す


誰かの、寝息


 ....
*うおのめ

この目は
多年草に分類されるらしいので
潰すたびに
痛みを訴えたりする

だいぶ前からの付き合いなので
最近では
勝手に声を上げたり
膨らんだりするこ ....
光源を探す
おおむね一畳分の
敷布団の上で

そこの始まりには
しん、とした空気があった
同時に
何かが老いたような匂いが
そこら中に漂っていて
わたしは
そこで口からの呼吸を覚え ....
いじわるをいわせないためには、どうしたらいいだろう







最近の話をしようとすると
思考は酷く曖昧で
断片的なものになってしまうから
こんな形をとっ ....
風の音がする

窓越しに見上げた、トタンの屋根が
端っこの方から剥がれるのを
何も言わずに見ている




***




きちんと真ん中ではない、
 ....
古い学童保育の前で
私が気付いた影は
小さな二つだった

ちょっと気の強そうな背の高い子と
その影を踏んで歩く、少し小さめの子
見覚えのある景色に微笑みながら
私は、 ....
夕暮れの町を潜る

そこは、綺麗な町

雪を踏む音が響く

電柱の影、重なる少女


烏の親子

頭上から影を降らす


右に立つ案内板の文字


 ....
浴槽に声を浮かべて
その上澄みから
綺麗なものだけを選んで
束ねたあと

それを
誰かの届く距離より
少しだけ、遠いところに放る


そして、わたしは
誰かがそれを追 ....
つんざくような光と
足元で跳ねた、空き缶
そして
それを蹴飛ばす右足に

どこまでも閉鎖された、素肌の話



黒板の隅の方
珍しい雲の落書き

カーテンのたな ....
きみを私が羨むとき、
その周りでは
数えようも無いほどの人々が
様々な考えを巡らせていて

色々に過敏な、きみだというのに
そのときばかりはどうしても
どんな私のこえも
聞きこ ....
冒頭を彩る筆は、遂に滑らない
彼らは皆一様に
首をもたげたまま
こちらを伺っているというのに



(厚手のコートを着た女が
 至極当然な素振りで水を口に運ぶ
 魚のふり ....
ひたすらな静けさにたたずんで私は声をなくす/それはまるで切り離されたようだ、しかしそれよりは遥かに酷い状態だ/少女は亜麻色の髪でなくてはならなかった。しかし、乙女である必要はなかった/空を飛ぶ魚と .... 彼女はブランコがお好き

路地裏に佇む溜まり風や
お向かいさんの飼い猫に
思いを馳せている、毎日



思いついた恥ずかしい台詞を
口癖のように好き勝手呟いて

 ....
この際ニートになるのもいいね

日差しも風も
私を置いてけぼりにしたまま
すっかり秋めいてしまったから
もう
何にもやる気が出ないんだ

この呟きだって
惰性のよ ....
忘れた景色のことは
もう、分からないから
私を追うのなら
出発は
最終列車がいい

戻るつもりのない時間帯に
その街を出てきたことだけは
今もまだ
覚えているから
どう ....
自転車を転がして
きみの帰る坂道を
すれ違っていく

街灯の影が頬を寄せて
わたしの帰路を
こっそりと示したけれど

すぐには帰る気になれずに
坂道の終わりで立ち止ま ....
首より上を
他人のそれと
挿げ替えたまま

歩いていく
そんな人々を
横目で追いながら
私は
ただ、その姿を
見送っている





少女Aは
単色の ....
隣の部屋の老婆が
拾ってきたのであろう西瓜を
妹は器用に食べ進め
その残骸を
彼女は私の枕元に置き去り
遂には
そこから芽が生えてきて
いつしか
私の寝床たる場所は ....
そしてこれは日記のようなものだ。
むしろ、「日記」と括ってしまった方が正しいかもしれない。
そんな散文です。文法やらなんやらは滅茶苦茶です。
内容も支離滅裂です。論がころころ変わります← ....
よく、晴れた日のこと
傘をさかさまに持ち、振り歩くひとがいた

何をなさっているのですか、と尋ねると
彼は
「ここに太陽を閉じ込めようとしているのだよ」
そう言って
ぱちり、と傘を綺 ....
*ごうんごうん

彼は
何も口にすることはないままに
色々を咀嚼して
そのほとんどを
無かったことにしてしまう

勿論、その中には
わたしの使用済みだとか
出し忘れたテ ....
山中 烏流(307)
タイトル カテゴリ Point 日付
リプレイ[group]自由詩1*11/3/18 17:26
エントランス[group]自由詩4*11/3/17 23:52
失くし物自由詩6*10/12/13 15:51
雨季自由詩3*10/9/24 4:02
人々の日自由詩9*10/9/23 1:30
閉口自由詩1+*10/9/22 4:02
シエスタ自由詩6+*10/9/21 2:02
レトルト自由詩1+*10/8/12 18:01
2006/08/24 創書日和。「離」[group]自由詩2*10/7/31 19:57
フラッシュバック自由詩3*10/7/6 0:21
おさかなについての五品自由詩3*10/6/19 19:57
宇宙自由詩5*10/6/17 23:34
男女自由詩11+*10/5/14 3:46
春のこと自由詩3*10/4/4 0:57
幸福論自由詩10*10/2/5 6:15
綺麗な町自由詩3+*10/2/2 14:02
上澄み自由詩3*10/2/1 6:27
放課後パーク自由詩1*10/1/31 4:02
観察自由詩3*09/12/11 22:10
物語自由詩4*09/12/3 22:20
回心の海自由詩3*09/10/26 1:25
少女B自由詩2*09/9/7 1:30
一人語り自由詩5+*09/9/1 0:54
ワンダーラスト自由詩9*09/8/17 3:19
帰路自由詩5*09/8/14 2:25
騒々の庭自由詩7*09/8/12 4:17
舞台裏自由詩4*09/8/10 18:22
散文苦手が書く散文・その1散文(批評 ...4+*09/6/21 21:49
陽傘[group]自由詩4*09/6/15 1:42
家電自由詩4*09/6/7 23:23

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