即興で書いた
デタラメな絵みたいに
世界を、粉々に壊して欲しい
――悪魔と死神。
そして彼らよりも、
さらに残虐非道かつ悪辣な僕・・・・
ふいに質量を奪われて
儚く、空に飛んでゆくビ ....
――夢だ、
霧氷に覆われたトパーズを砕き
経血に染まる白鳥の羽を散らして
辛気くさい柄の絨毯に零した
グラスの割れる夜の激しい物音。
イミテーションパールの首輪を、
女は掻き毟るように ....
慎二、おまえは
ド近眼で彼女もいない。
牛乳瓶の底みたいな
強烈に度のはいったレンズが映す、
ちいさな瞳の瞬くそれは
カビンさとジコチュウ――
世間知らずの見た
遠まわしの空腹みたい ....
白い柔肌にそっと触れるや否や
とつぜん狂った発条みたいな
青白い器官が左右の外耳道から飛びだして
先ずは目玉をふたつ、
声もなくポロンと落とし
詩人である若い女の頭部はみごと分解した
....
――外国産と思しき、
ずいぶんと安っぽっちい杉板の木枠に
金槌で小ちゃな無数の鋲を打ち込み、
皺なく「ぴぃーん」と
白い亜麻布を張った
自分で拵えた七百号の白いキャンバスへ
左官が使うみた ....
ゼリー状の七色のトポスが死んだ日。――
愛しいカルメラを焦がした甘い匂いまでが
いつか知らないうちに喪に服しちまったみたいで
それは廃れた漁師町の瓦礫の打ち寄せられた海辺にも似て
今宵も古びた ....
「俺様がどれほど鮮やかな色で
みごと第一連を美しく染めたとしても
賛美の対象はあくまで作者だろが。
ふん、馬鹿らしくてやってられるかい!
こうして群青は捨て台詞をのこし
肩で風をきると、 ....
勢いベンツのSクラスで
裏通りのちっぽけなパーキングへ
恥も外聞もなく突っ込んだ
そこに無人契約機「むしん君」がある
「むしん君」は大切なトモダチだ、
たった今も20万円を引き出した
....
真下に拡がる海原は
厳しく削られた岩の入江を包み、
とうに半世紀を過ぎた
今しも汽笛の鳴る港へと
煌めく{ルビ漣=さざなみ}を寄せて
夏の賑わいが恋人達とともに
古い桟橋を大きく揺らし ....
滲んだ肌に香水が匂う、
視覚からこぼれた淡い影たちが
発せられない声とともに
音もなく、永遠へとむかう
冷たい未来の交じった
柔らかな過去の感触がまだある
つい今しがたも、
昨日も、 ....
(青い地球、その――
アーサー・C・クラーク、
君の書いた「幼年期の終り」だが
ヤベー、、の書いちまったな。
元ネタはCIAか? NSAか? あん?
――いや。たぶん ....
そりゃあ、権威を罵るやつが まさか
舞台ウラでは権威にペコペコしてたなんて
あー 嫌だ、嫌だ、たまらねぇ。
(もう終わりだナ、早く忘れちゃおう
酒美味し祭鱧佳し夕べかな
――ゴ ....
彼の名前は「へー、むぅ・・・・」というレベル。
世間一般的には幾分フェームではあるが、
知る人は希少であるばかりか
ピカソやダリと比べると殆ど知られていないし
彼の作品に感動を覚える人は(全く ....
ハイウエイを 白い光が流れる、眩しさに
つい、さっきまで 激しく踊った サルサの夜の
緋色のドレスの女が 助手席から身を乗り出し
果てしなく 毒舌を放つ、「終」への招き
エレガントな仕草で ....
七分袖のボーダーTシャツに
リネンの濃紺ジャケットを羽織り
干して乾いたチノーズを穿いているけど
やっぱりチノパンは塩水に濡れて
少しダボダボになったやつが好きだナ
(不自然に重いし、
....
庭に張り出した大きな出窓のある亡父の書斎にて
毬栗頭の英次は家政婦の運んだカルピスを飲み、
しかし人類の英知はやがて信仰との境をなくすという
それじゃあ、近代主義者の信じるまっとうな学問はど ....
赤く錆びた鐵骨マエの死体から
頭でっかちの奴らが、ふたたび湧き出す
怒涛のごとく押し寄せる攻撃は、日に二度ほど
きまって朝と夕 規則正しくやってくる
その、ぶよぶよした肌に刀を突き刺すと
....
心は、
どこまでも果てしなく
自由気侭で )))
ふと想えば、
ハイドパーク。
今しも水晶宮にて
僕は彼<L>と話している
つまり地球環境 ....
俺はインターネットカフェでスカウトされた、
とにかく本格的なホームページを作りたいとのことで
W3Cの勧告に対して正しく記述したマークアップ言語の
謂わば真っ当な【ホームページ】を作れという
....
( 錆びた鉄筋を剥き出しにした、
崩れかけた支柱が夕映えの空へと伸びる )
すでに蝕まれたコンクリートの構造物に滲みる、声
絶間ない、呪いにも似たその響き )))
おそらく、何ら ....
遮光カーテンの四隅に朝が零れている
うつ伏せで眠る君をベッドに残し、
素肌にすばやくドレスシャツを着て、
夜の逞しい身体は、そっと部屋を出てゆく
落ちてゆくエレベーターのなかで――
右手 ....
鋼鉄を 遙にしのぐ
美しく、強靭な 折り紙細工の船にのり
飴色のラタンの椅子に腰掛けて
今宵もまた 私の人差し指は、
暗く果てしない 緻密な航路を正確になぞる
航行中もドアの向こう側には ....
■ はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、
(( 夜を奔るジャングルの声。。
――ヴァルー、ぎゅりぎゅる‥‥
女 ♪「アツサー0.01ミリの 温もりぃひひ
(( 眼の光、レアな匂い
....
渇いた瀝青の道に散る
ジュエリーの煌きと渦をえがく黒髪
鉛の銃弾は、みごと額を貫通し
――鮮血を枕に眠るオフェーリア。
たぶん、昨日。
黒いシークィンのトップが視線を浴びて
胸元のゴー ....
もうすぐ、生暖かい夜が
苦いクスリとともに
グラスに注いだ水と一緒に
――やって来るョ。
窓の外は今しも
オレンジの火炎に包まれ、
妖しい空へと
黒煙を立ちのぼらせては
昨日ま ....
残虐な貌も一瞬、穏やかな
蒼いヒヤシンスの花に埋もれ
ゼピュロスの風、//そして雷。
――ドドンガーガー!
くちづけをし、離れれば「死、
昼も夜なくつづく 愛撫の舌
首筋の、永い ....
【くの一】と白抜きの文字。
淡い夜に晒された濃藍の暖簾をくぐると、
和服に割烹着の女主(あるじ)――
「アラ、いらっしゃい。今日はお独り?
まーね、萬寿。コップでちょうだい
....
ありふれた【豆】。――心奪われて
一粒づつ、手の生えたやつを鋏で切り落とし、
妖しい黄緑の笑いに負けまいとする
僕は生体機械。幸せなど知らない
そう。かなり前に飯炊きの胎から生まれて
....
満天の星空をつつむ静寂の下
潮騒を聴きながら横たわる身に纏う砂粒
はてしなく投げた仕掛けを海に任せて
ケミカルライトの点る竿先を微かに揺らし、
甘い潮風がコーヒーの苦味を慰める
アタリな ....
微かに嗅ぐ、肌と肌。その色気づいた生ハムの匂い
やむなく賑やかな大通りを外れ、湿った石畳の狭い路地へ
疲れ果てた営みの世界をほんの数歩離れると、
異教徒の市場。――豚の耳や足、蜥蜴の干物等がなら ....
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