雲がゆく

大きな大きな
雲がゆく

仰向けの僕の上を

早く早く
流れてゆく


ああ
あれは

雨を降らせる
雲だろう

ほんの少し
瞼を閉じたら
その途端
 ....
前を横切る人は
高らかに今宵を謳う


横で凭れる人は
とりとめのない今を送信する


見限るよりも密やかに
夜は悲鳴を上げて
人々に目を凝らす



ああそして
 ....
まだ眠りの中で
ボクの一部が


うずくまっているのが
よく見える


それをそのまま
開いた瞳に
持ち帰りたいけれど


瞼を開いた途端
それは消えてしまう

 ....
見えないくらいの
細かい雨が降っていた


砂浜で足音を忍ばせていた僕には
とても好都合だ


しかし砂浜はいっこうに雨を吸い込まない



人工なのだ



 ....
誰もが知ってる言葉しか
僕は知らない


誰もが持ってる心しか
僕は持たない


それでも時には
誰もが知らない

僕も知らない
どこかに伝わる
響きに惹かれて

 ....
ちょっとくらい脇道に逸れたからって
それはそれで道だったり



もしもそのまま進んだって
帰る場所は結局おんなじだったり



一歩
一歩

今を吸い込みながら僕ら ....
よくある日曜日だ


塩入りの湯に
ぷっかり浮かんで

野良の歌に
流れて途切れて

一日という区切りの
不自然さにまた馴染んだ


寂しいほどのシンプルに
頬を寄せる
 ....
いちまいの
空の向こうに
空がある


「まるで心のようだ」

とボクが言う


「もちろん」

とキミは笑う
みらいは
あまく
あでやかな
ひかり


かこは
ぐんじょうに
おぼろげな
あかり


いまは
あやふやに
とうめいな
ほのお
爪の先から始まる

君の泣き声に震える

無数の羽撃きを聞き

映し見る雨粒

片隅を照らす炎

闇を広げて星を抱くだけ

力尽きるまで無力な宇宙
遠い世界のてのひらで
君は自由と笑う


熱を逃がさないように
風に切られないように

この世界の足元に
君はそろりと帰る


次の予告もしないまま
無駄な言葉を恥じた ....
ぼくがひとり
窓を閉めている

ぼくがふたり
雑木林をあるいている


ぼくがひとり
床を掃いている

ぼくがふたり
ゴミ箱をあさっている


ぼくがひとり
湖畔 ....
右上に未来があって
君は左目で
今宵を仰ぐ

ひらりと身を躱すように
時のクエスチョンを

見て見ぬフリをしてみても
持て余す憂鬱

大丈夫

優しさなんてすでに
君のコ ....
身を隠すような
今宵の月に

僕の言葉を
飲みこんでもらおう



取り繕う間もなく
今日の日は終わり

帰り損ねた熱だけがまた
ここに{ルビ蹲=うずくま}る



 ....
人恋しさを巻き付けて
八月が
扇風機に踊っている


遠く水玉に散る
記憶の夏たちにシャララ
と手を振って


分からず屋な夢の中へ
颯爽と君に

渇きに行こう
この真夜中の
この静けさに

チラチラと
狂気は降って


闇の秒の遅さと
生の流れの速さに
僕は怯える


明かりを付け
異国の古い
映画に紛れながらも


こ ....
歌声が
僕を動かす

なんて言ったら

歌う君はさ
信じるだろか
ごろんごろん
ところがって
きみのそばで
みとれちゃう


ごろんごろん
ところがって
きみはとおく
はなれちゃう


やさしくない
きみだけどさ
やさしくない
 ....
僕らは
月を見上げる

僕らは
月を見つめる

僕らは
月に惹かれる


だけど少し
その月は明るすぎる


涸れた海も
歪んだ丘も
ここからは見えない
 ....
あなたが
そらに
うたったうたは


かぜのなかに
あめのなかに
ひかりのなかに
ふくまれて


わたしのうえに
ふりました


どこにいたって
だれといた ....
短い話の夢でした

ひらがなばかりの
セリフであって

半袖ばかりの
人と逢って

ところどころは
知る場所なのに

どこか遠くへ
運ばれて

目覚めたところの
この家の ....
心細さにうつぶせて
哀しく疎ましく

しょぼんと僕の影が
そこいらで
くたりと寝そべっている


今宵
僕に声は無く

ただひたすらに
ただ
ひたすらを

求めて黙り
 ....
予想以上の
美しい微笑で

君の魂が
こちらに向かって
輝けば

ああ
なんて
生きる事は
嬉しいことなんだろうと
僕は

深呼吸を
思い出したりするのです


 ....
ひび割れた
石の階段で話そう

どうせなら
星も呼ぼう


僕らも宙に浮いてる


お昼ごはんを
考えるより
大事なことがあるんなら

きっともう
眠ったりしない
 ....
なつのしょうめんで
あのこはワルツをおどってる


いちにさん
 にいにさん
  さんにさん


ほそいうでをいっぱいにひろげて
あのこはかぜをおこしてる


いちに ....
氷の指輪
転がした

真夏の坂の上から

輝きながら
回った


きらきら
くるんくるん

きらきら
くるんくるん


氷の指輪
縮んだ

太陽とコンクリの間 ....
愛であろうと
なかろうと

その光りのまばゆさに
私は未来を見る



私は未来に無知である
あるいは愛にも



しかしその光りが
私の深く溝まで
照らし出す時
 ....
鈍いかなしみに
ぺっとりと
貼り付かれ

私は地べたに
呼吸を預ける



地べたが吐き出す
私の呼吸が

再びこの身体に
宿る頃に

私はやっと
本能の位置へ ....
三両電車のガッタン
に連れられて

これからは僕は
夜の国へ


翼があるのか
ないのか探しもせずに

だけど既に
僕のカラダはちょっぴり
浮いている


向かいの窓に
 ....
乳白の空へ電車は走る

「一緒にどうだい?」

そう言われても

なんとなく僕は起きただけ
まだまだ地上で夢見たい

「それならお先に」

と電車は消える


窓の ....
松本 涼(295)
タイトル カテゴリ Point 日付
灰色雲自由詩1*04/8/24 23:21
ホームにて自由詩3*04/8/18 23:15
眠り自由詩1*04/8/18 23:12
砂浜自由詩1*04/8/18 23:10
どこかに自由詩2*04/8/17 22:53
わきみち自由詩2*04/8/16 1:12
日曜日自由詩2*04/8/16 0:33
もちろん自由詩3*04/8/14 10:16
自由詩2*04/8/14 10:13
無力な宇宙自由詩2*04/8/14 10:10
歩道橋自由詩4*04/8/13 0:01
風向き自由詩3*04/8/10 22:40
問い人自由詩2*04/8/10 22:38
自由詩1*04/8/9 23:00
八月[group]自由詩7*04/8/9 1:46
真夜中自由詩8*04/8/9 1:42
ウタゴエ短歌1*04/7/28 0:00
あざらし自由詩2*04/7/27 21:41
自由詩3*04/7/27 21:40
そらうた自由詩5*04/7/27 21:37
短い話自由詩6*04/7/24 23:10
くたり自由詩3*04/7/24 23:02
深呼吸自由詩2*04/7/24 22:56
宙の夜自由詩8*04/7/22 0:01
ワルツ自由詩6*04/7/21 23:41
氷の指輪自由詩1*04/7/20 22:19
未来自由詩5*04/7/19 21:04
かなしみ自由詩1*04/7/19 21:03
夜の国まで自由詩1*04/7/19 11:57
休日自由詩5*04/7/18 10:44

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