今年もまた
夏の大三角がどれなのか
さっぱりわからないまま
夏が終わってしまったね

 {引用=君のおかげでなんとか
さそりの心臓といて座くらいは
わかるようになったのだけど}

君 ....
野良犬が
片足を
引きずって歩く


 なあ、お前
 そんなに今日の
 月は重いのか


自分には感じられない
重力と引力に
足を引かれて
野良犬は
今日も
片足を
引 ....
夜毎に骨が軋んで痛いと泣く妹に
医者は一言
「大人になる痛みだよ」と言った

八十過ぎの老女がやってきて
おんなじことを言ったなら
彼は一体
どんな返事をするのだろう

大人になった ....
つまらない嘘をついた日に
路地の花は私をせめて
柔らかな色をした空は
ぽつりぽつりと雨を降らす

(このまま雨がやんだとき)
(灰色の虹を見たかなきゃ)
(今すぐ道を引き返し)
(優し ....
ようするに
私はひどい
おくびょう者で
「貴方が好きだ」
などというたった
七文字の音ですら
うまい具合に言葉に出せず
それを誤魔化さんとするために
長々と詩なんてものを書いているので ....
東の空に
ぽっかり丸い
穴が開き
天上の光が漏れている

どこか青白い
底冷えをするその光は
薄明るい暗闇に
枯れ枝の濃い影を落とし
葉のない枝を
一層惨めにした

真夜中に
 ....
指切りをした後の指撫でてやる細いその身にゃ重たい約束

パチンパチン音立てて飛ぶ白い月「私」であったはずの爪たち

幼子のぬくい手引いて歩いてく明るい方へ明るい方へ

喉ふさぐ飴煮詰まった ....
天道虫迷う私の前を行き

蟷螂の雌になりたしふられた日

蜜蜂の針にも似たり詩の言葉

紋黄蝶陽光のうち見え隠れ

蝉の仔よお前は何を夢に見た
紫陽花は誰かのために色を変え

庭先に咲いた牡丹が欲しいか嵐

木瓜の花闇夜に燈る灯のように

足跡を残すが如く咲く菫

向日葵は子供の顔を覗き込み
聞いたことはないけれど
蓮は花がひらくとき
ポンと音がするらしい

聞いたことはないけれど
それはきっと
何処か遠くの暑い国の
砂に塗れた大きな仏像の前で
小さなやせた女の子が
そっ ....
今さっき光ったものはなんでしょう波か小石か魚の鱗

知らぬ間に色を変えたる紫陽花の根元に落つるは誰の涙か

夢見るは遠い昔か未来の影か琥珀に眠る小さな虫よ

雨打ちてうなだれる花は鳴く犬の ....
昔行った動物園
何にもいないオリが一つ
風にふかれてパタパタと
白い張り紙音立てる

『キリンの花子は亡くなりました』

遠くで鳴いてる象の声
カバが飛び込む水の音
白い張り紙パタパ ....
風が砂塵を巻き上げて
ラクダのお目目に砂入れた
ラクダの大きなお目目から
一滴涙が落ちてった

涙で潤んだ砂たちは
みんなそろって
夢を見た
大きな白い花咲かす
遠い未来の夢を見た
 ....
日が沈んで暗くなった空に
一等先に光ってる
あれが金星だよ

そう言うと
君は
そんなの知らない、と言ったね
学校で習ってないから知らない、と

ねえ、ルミ

その言いようが、な ....
ダリアには毒がある
私はちっとも知らなかった

友達ん家の庭先に
昔咲いてたあのダリア
おっきな真っ赤なあのダリア

あれもやっぱり毒だろか
ちっとも知りやしなかったけど
それでもや ....
散々酒を喰らった翌日に
原因不明の痣が三つ
手首と膝と足の甲

手首はきっと
ブレスレットにぶつけたのだろうし
膝のは多分
這ってトイレに行ったとき

けれども足の甲だけは
どうや ....
チクタクと時計の針が刻む音音もないまま積もった想い

夢を見て泣いて目覚めた{ルビ朝=あした}は遠く気づいてしまう母も老いると

竹の葉に埋もれて眠る秋の午後「もういいかい?」のこだまは遠く
 ....
一晩経って
目が覚めたら
秋だった

もこもこと高く積み上げられていた入道雲は
とんぼがけをされたらしく
薄く平らくなっていたし
カキ氷のシロップみたいな色をしていた空は
いつも間にや ....
四つ葉のクローバーを見つけるのがうまい人が
幸せになれるのだとは限らない

そんな憎まれ口をきく貴方に
嫌がらせをしようかと
二時間ばかし探してみましたが
残念なことに一つも見つかりません ....
青い柿は
鮮やかな色をして
艶やかな皮を持ち
そのくせ苦い

(あたかも若者が吸う毒にしかならない煙に似た恋のように)

熟した柿は
落ちれば潰れる柔らかさで
老婆のように皺を寄せて ....
助けてください
指輪を飲んでしまいました
細い、銀色の
装飾らしい装飾もない
小指につける小さな指輪です
それが喉にひっかかって
なにやらひどくむず痒いのです
いえ、指輪でございますので ....
大きな線香花火が
今日もゆっくり
海へと落ちていった
水に浸かる瞬間に
ジュっと
火の消える音がしないかと
耳をこらしてみたものの
カナカナカナと
聞こえたは
夏の終わりにすがりつく ....
地下鉄の広告の中で
昔の女優が微笑んでいた
オードリーになりたいの
そんな私に
貴方はモンローの方が好みだ、なんて言う

ならば、とウイスキーを買ってきて
飲めもしないのに
夜毎に舐め ....
三十一の文字では足りぬ想いなら千と連ねどなお余りあり


三十一の文字では足りぬ我が恋は億と重ねど君に届かず


三十一の文字では足りぬ恋ならば口をつぐみてただ手を伸ばさん



 ....
頭蓋骨はいい
誰でもちゃんと一つある
これがあばら骨であれば
一本足りないような奴もいるらしいが
頭蓋骨ならそんな不平等なことはない
その中に詰まる灰色の蛋白質に
上等下等の違いがあろうと ....
琥珀の虫の見た夢は
エメラルド色の王様が
鼈甲色の指輪して
熱いお水に一粒の
星のカケラを落とす夢

琥珀の虫が見た夢は
今も現にならぬまま
地球はきっと広くなってる
私たちの10倍も20倍もあるような
大きなトカゲの王様が
100も200もうろちょろしてた
そんな昔に比べれば

だというのに
どうしてだろう
こんなに広い星 ....
水族館に鯨はいません
私は海が嫌いです
ですから鯨は見たことないと
お母様に申しましたら
味噌汁の入ったお椀を指差し
「これは何だ」とおっしゃいます
ああそうかと思いまして
お箸で中の実 ....
夕暮れに一緒に歩く帰り道 二人並んだ長い影見る

目の端に映る紅、桃に白。君が好きだと言った秋桜

棘刺さる胸の痛みを誰や知る ムクドリのように色には出難きに

外にいて見るともる灯の暖か ....
とかげがにげる
おっぽを切って

かわいそうに、と思って見てる

切られたおっぽの代わりは生えて
切られたおっぽの場所はない

かわいそうに、と思って見てる
亜樹(241)
タイトル カテゴリ Point 日付
夏の大三角自由詩0*07/9/12 21:22
野良犬自由詩107/9/10 21:57
骨の悲鳴が聞こえる日自由詩107/9/9 21:51
灰色の虹自由詩107/9/9 21:26
言い訳自由詩3*07/9/8 22:27
満月自由詩107/9/7 22:19
からだいろいろ短歌207/9/7 20:16
愛しき虫達俳句1*07/9/4 6:49
優しい花々俳句1*07/9/4 6:47
蓮の仏自由詩107/9/2 20:24
きらきらひかる短歌2*07/9/2 10:08
空のオリ自由詩107/9/2 9:59
砂漠の夢自由詩6*07/9/1 22:03
ルミ自由詩107/9/1 14:48
無知の毒自由詩2*07/8/31 22:14
酔っ払いと痣と恋自由詩007/8/31 21:49
時計と追いかけっこ短歌3*07/8/31 14:37
秋は一夜で自由詩107/8/31 14:02
しあわせさがし自由詩107/8/30 22:08
自由詩1*07/8/30 13:27
輪状自由詩107/8/29 15:35
夕日自由詩307/8/29 0:41
スーパースタァ自由詩1*07/8/29 0:10
三十一の短歌107/8/28 17:36
頭蓋骨自由詩007/8/28 14:28
琥珀の夢自由詩107/8/28 0:28
面積の話自由詩2*07/8/27 23:33
自由詩207/8/27 14:01
少し前の恋の歌とて7首短歌2*07/8/27 13:32
とかげ自由詩2*07/8/26 20:53

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