こんな夜は
星なんかいらない
いろんな自分が壊れて

 風の吹き抜ける地下通路を
 歩くのはひとりだけど
 橋の向こうをめざしていく
 笑いながら

どこで夢見たのだったか、きみ ....
低くなる光
黒に見え隠れする温度
埋み火のいろ
仄かに消えていく
ぬくもりだから

  だきしめて
  あと十分間
  ぬくもりを

大切なものは
ときどき儚くて
握り ....
夏の真昼、それでも橋は
向こう岸へと道を渡していた
橋は境界を渡っていくという
意志の名前だ

それはいつも不器用な放物線で
あなたと わたしや
世界と そうでない世界と
あっちと こ ....
田舎暮らしに馴れきってしまい
地下街が怖くて僕は
東梅田のビルの隙間
歩道をとぼとぼ駅に向かう
汗がにじむのは
気温のせいじゃなく
コンクリートに染みついた
あの夏の影の照り返し
不快 ....
強く握れば
つないだ手が
痛く、切なく軋む
でも、離さない
どこまでも
一緒に行きたい
ひとりぼっちで
過ごしたい夜が
みずたまり
雨の波紋が
せまいむねのうちで
干渉しあう

ふたりだけで
見つめていたい夜が
みずうみ
交互に投げ入れた小石が
たいがんへ
消える ....
内出血の赤黒い斑紋の雲が月を
夜空の剥がれかけた爪にする

夏の海、と
あなたが決めつけたとき
波は季節を、海は名前を失い
水はただ塩辛く

  傷だけが夜空にあるなら嫌いだ
  黒 ....
僕はゆくだろう
鍾乳石の先で抗う
水滴の
夜のために

待つものも
さだかではない
暗闇のもっと底
染みこむ
朝のために

屈折がつくる道
灯台が照らす
霧の先に

ゆく ....
昆明からの夜班バスは、おもしろい香港人の隣の席。あいやーとかいいながら香港人は数人で騒いでる。相変わらず運転手は壊れそうなエンジン音を立てるバスのアクセルを、床を踏み抜きそうなぐらいに踏み込む。夕焼け .... 京都には
たくさんの色がある
錦の糸、その数だけの

雨が降れば、石畳の
風が吹けば、竹林の
雪が降れば、杉山の
星が舞えば、祭囃子の

さらりと、するりと、
あたりまえの顔をして ....
花を褒めるような言葉で
君を傷つけてみたい
月を愛でるような文字で
君に刻んでみたい

どんなにやさしくて
気持ちのいい言葉も
押し開くことのできない
君の肌の下
暖かいものが満ちた ....
好きなところを数えるのは
大天井岳のてっぺんで星を
数えるようなものだから
その暗闇まで含めて
全部が好きなんだ

そしたらあなたは私を
うそつき、と言った

ほんとうには
遠かっ ....
桜花を散らせ
次の季節が吹かせる
湿った風に
なびく美しさを隠したまま
洗い髪みたいに
君は濡れている

よこぎる鳥を数えるように
ひとつひとつ忘れていく
透明な霧の向こう、輪郭
 ....
流れていくのは
いつも昔のもので
西でギラリと
湾を満たすものは
せめて夕日に
清らかに染まろうとする
 
夜の寒さなど
思うこともなくながめていた
港を出て行く
貨物船の短いマス ....
細いだけのものを紡ぎ
不器用に飾られた
花のネックレス
朽ちてしまうことも知らずに
綺麗さだけが
二人を青空にする

失ったものを見上げる
高層の谷間は
つくられた
あの娘の{ルビ ....
はじめての深呼吸は
君に会えない夜に
街灯にうかれた虫たちを
見上げる時の角度で

  波を見上げる魚でもない
  雲を抜き去る鳥でもない

手に入れた感情の
空虚な その熱さ
埋 ....
  はぐれものは
  ふるさとの名前を知らない
  だから、私の汗ばんだほほを
  冷たい指でぬぐいながら
  細く、薄青いくちびるで
  君が名付ける、それが
  たどり着きたいふるさと ....
広島への出張なんて
もう馴れたと思ってたけど
今日は新幹線の
閉まる自動ドアが恨めしい
これから会議だっていうのに
君の涙の理由ばかり
そればかりが気がかり

  帰り道、駅までの路地 ....
餓えているのではなく
影を落とす孤独が
乾いていくということ
砂漠
その影に
息づくものがある
星は照らしているけれど
遠い過去が
輝いているだけで

君が乾くとき
僕は海を ....
シャープペンが紙を滑る音で
断ち切られる記憶が鼓動になる
遠い日、焦がれた痛みを愛しく思い

  あなたの体は柔らかいという方法
  私の融点を
  花の名前を当てるように
  ほほえみ ....
  信じて強くなると
  君は榴花色の口紅で
  グラスの縁を彩って
  それは渡航への朱印
  暗く激しい海流を渡っていく
  見知らぬ海鳥の呼ぶこえ

さきほどから
波のこえが聞こ ....
ささやかな我が家は
海風を松林がさえぎる
小さなキャンプ場に
僕と君の子供の手で建てた

細引きはしっかり引っ張ってとか
ペグは斜めに打ち込んでとか
入り口の向きの決め方とか
寝心地の ....
体温は
ひとつになるアルビレオ
今日からは
遠心力で結ばれる

意志が
それを果てるまでと誓うだろう
ある時は照らされる者の影であり
そしてお互いだけが
救える日々の

満ち ....
誰にもわからないまま
どこか遠い場所で
ほどけていく

支点を定めると
不安定になるので
そのまま

確かでないものは
確かなものより
永遠に近いので

ひとつになりたいという ....
文書グループ「夜、幽霊がすべっていった……」
http://po-m.com/forum/grpframe.php?gid=33&from=listdoc.php%3Fhid%3D1388

  ....
はじめて
こころのなかに
さいた
たんぽぽのはな

かぜにからだを
ばらまいて
ぶんしのように
げんしのように
そりゅうしのように

たびにでるたび
 ....
夜が季節の名前ならば
今夜は惜春
雷雨が迫る黒雲
まだらに明るい空を映して
海が水銀のように揺れる
指先の温度が融点の
あなたという液体
わたしという液体

いつまでも
満たさ ....
誰にもおそわらないのに
赤を「あか」と感じたり
風を「かぜ」と感じたり

誰も教えてくれないことが多すぎる
生まれてきたのだ、ということも
きっとそうだ

記憶を移しただけで
生まれ ....
咳が止まらない
名前を呼ぼうとしても
むせてしまう
怪訝な顔をする

胸の真ん中にたまっている
科学雑誌でみた
火山の断面図のように
あかい、あかい

咳をするときは
いつも ....
{ルビ劔箭=つるぎや}神社からの
細い参道の坂道が好きだった
不思議な人体図がかけられた漢方薬局
古ぼけた占いの館
必ず救われる新興宗教の教会
日本で3番目に大きいという大仏
確かめようの ....
たりぽん(大理 奔)(550)
タイトル カテゴリ Point 日付
アルクトゥルスの頃[group]自由詩7+*07/8/6 0:39
Proxima Centauri[group]自由詩6*07/7/31 22:39
橋、ただの橋だけど自由詩11*07/7/28 23:24
駅・大阪[group]自由詩15*07/7/22 20:55
赤機関車/青列車[group]携帯写真+ ...7*07/7/22 15:18
海よりも、行方を自由詩1307/7/19 23:25
夏の月、海に剥がれて自由詩9*07/7/18 23:24
疾中(微熱)自由詩1007/7/17 1:38
日記 1987年7月14日〜15日 散文(批評 ...2*07/7/14 1:13
くろのかたろぐ自由詩1307/7/12 0:00
トレジャー自由詩9*07/7/11 0:01
コマクサ自由詩12*07/7/10 18:32
烙月自由詩907/7/8 23:32
駅・大阪港[group]自由詩12*07/6/30 23:18
ジルの野原自由詩12*07/6/28 0:00
ディラックの空自由詩14*07/6/15 0:31
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麗ちゃんで「7番」[group]自由詩8*07/6/9 0:51
海で乾いていく自由詩13*07/6/6 1:06
しおりの わけ自由詩16*07/6/4 0:37
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飛翔する種   (Ver.2007)[group]自由詩12*07/5/19 11:39
メルティング・ポイント自由詩14*07/5/19 0:02
名はない、それでいい[group]自由詩10*07/5/16 0:58
罰を受けるかのように自由詩507/5/14 0:36
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