くちぶえがきこえた

まだうまくはしれない
こいぬのよこで


のんびりはしれ
ってうたってた



くちぶえがきこえた

やくそくをわすれた
おもいでのかいだんで ....
夕暮れは果てしなく
寂しさの道程を教える


そして
時 人 色 音・・・


全ての条件に
いつでも僕らは
揺り動かされている
ことに気づく



それでも
 ....
水族館の水槽の
分厚いガラスのような
向こう側で十一月は
無色に捕らえられていた


人々は皆
無色のパントマイムで
街を往く


色という色は
呼び寄せられた十二月のマンホー ....
古いエレベーターの揺れの中で
僕の細胞は{ルビ篩=ふるい}にかけられた


だけど残った物はどれもこれも
ロクでもない代物に見える


チンと扉が開いて
気は進まないが後ろから
押 ....
雨を吸った土の匂いの中に
小さな足音は染み込んで消え

痩せた川の澱みで回転する
小枝に自身を重ねている


どこでもないその場所で
世界はゆっくりと
瞬きをしていた


見上 ....
頑なな思考に
惑い開く口びる

「昨晩見たような
 今朝の太陽」

まさか


夢の中なら何を
言ってもいいだなんて

そんなことは
ないんだろうけど


放たれな ....
琴線添う
枯れた声
妄想疑い
喪失染色

過ちから
開かれる
深層へと
自問投身
数字を憎み
0を愛する
僕の矛盾

願望の統一
また創まる
見知らぬ街の
見知らぬ看板に
見知らぬ字で
見知らぬ言葉が
書いてあったんだよ

と見知らぬ人が
僕に話し掛ける

気弱な僕は
あなたを知らない
と言えなかった
チリリン チリリン
眼鏡の君はブーツで漕ぐ

紫雲
オレンジのビル
夕陽と遊べ遊べ


チリリン チリリン
ニセモノみたいな僕の人生の
猫も転がる土手の道

ほんの少し前を漕ぐ ....
ももももも
と地べたから不安が
盛り上がってきた


ししししし
と思わず僕の足は
竦んでしまった


ややややや
と不安は僕の足元から
身体を這い登ってくる


こここ ....
ひからびている

あれは君を欲しがった
私だ


待ち伏せられた午後の中で
予感を創り

砂まみれの
希望を嗅いでいる



満ち足りている

あれは風に攫われた
私 ....
「とりとめもない!」


そう言ってパタンと地べたにつっぷした9月の横にしゃがんで僕は、

「いつまでもスネていたって仕様がないだろ。」

と9月をなだめた。


「フン。お前にオ ....
浮き足立った
夜の足音が

笑いながら僕の上を
通りすぎる時


単純な僕は
ただ

あらわな涙に
焦がれるのです
昨日隣街で
宇宙の人に話し掛けられた


こんにちは
と彼は言う

こんにちは
と僕も言う


どこから来たの
と彼は聞く

すぐ近くから
と僕は答える

僕もそ ....
きみがしあわせかなんて
ぼくはわかんない

なんかいわらっても
それはそれかも
しれないし


きみがしあわせかなんて
きみにもわかんない

ゆめのいいとこで
めがさめたり ....
旅から帰った
旅人が地図を捨てて
旅を始めた


絵を描き終えた
絵描きが筆を捨てて
絵を書き始めた


街に月が光り
詩に声が響く


そろそろ失礼と
夏は暮れ ....
狭すぎる僕の窓から
迷い込んできた無口な風は

しばらくの生温い沈黙の後
広すぎる空へと帰って行った


取り残されて僕の影は
等身大が掴めぬままに

踏み外しがちな
時の階段の ....
小さな小さな
記憶の粒たちが

まるで雪のように
目覚めたての
僕に降る


だけどそれは
とても暖かで

だけどそれは
確かに優しくて


「おかえりなさい」
と ....
秋は色を移ろわせ 絵になるのを惜しみながら

川も木々も草も獣たちも この空も

さり気無くしなやかに すっかりと繊細に染め替える


戯れは地表に積み上がり 低空で溶ける


波 ....
路地を曲がると猫が居て
草をむしゃむしゃ食べていた

振り返る事三度目に
猫は小鳥になっていた

小鳥は小さく跳ねながら
水溜りの水を飲み
そのまま水に落ちてった


そ ....
かなしみがとことこ
ひとりでにあるきだして

どこかとおい
うみにかえると
いいな


いとしさがふわふわ
かってにとんでいって

いつかどこかの
きみにとまれば
いいな ....
さみしさが
キラキラと
まどガラス
はりついて


まどガラス
すりぬけて
よるのまち
とんでった


さようなら
このぼくの
さみしさよ
さようなら


めを ....
愁い棚引く九月はゆらりと

恋人のくちびるを

柔らかく止める


ほんのりほてった袂を

上げて私は

そのくちびるへ駈け寄るのだ


吐き出す息がすべて

九月 ....
甘えたがりやの
夜空と

哀しがりやの
僕の間を

繋ぐように
踊る花火


笑いながら
歌いながら

きっと涙にも滲まない
その色たちが

特別なことなんて
何 ....
不思議を紡ぐ
くちびる

空を沈む炎


ちりり


時が焦げる
明日を忘れる




満ち渡る静かの
眼差し

まどろみの絹


ひたた


無に ....
空夢に遊ぶ僕は
朧気な虹を

鮮やかに刻んだり

君に重なり
君の細胞に潜り込んだり

単純だけが
意味を持つ世界を歩いたり

何億分の一秒を
じっと見つめたり

 ....
夢を見たよ

まだ君も僕を嫌わず
まだ僕もお喋り好きで

君がどこから来たのか
知りたがっていた

僕らどこへ行こうか
話し合っていた


君はどうして鳥に
生まれなかったん ....
遊ぶたましいの
フラフープ

描く線は
深層の知恵の輪

ほどけなくても
いいんだ

高速で
低速で
果てなく回れ

僕のフラフープ
さっき
ガード下で出会った
あのカエルは

ホントに
カエルだったんだろうか
なんて


考えたりする今夜の僕は
ホントに

僕なんだろうか
松本 涼(295)
タイトル カテゴリ Point 日付
くちぶえ自由詩14*04/11/25 21:22
とぼり自由詩3*04/11/16 23:25
無色(十一月)[group]自由詩5*04/11/8 22:11
エレベーター自由詩4*04/11/2 0:27
まばたき自由詩4*04/11/2 0:14
11/1自由詩3*04/11/1 23:59
自由詩2*04/10/27 1:38
矛盾自由詩4*04/10/27 1:37
他人自由詩6*04/10/25 22:42
自転車自由詩6*04/10/22 22:27
だけど自由詩5*04/10/21 21:53
午後自由詩4*04/10/14 23:42
9月(完結編)[group]自由詩2*04/10/3 23:04
帰り道自由詩3*04/10/1 22:50
宇宙の人自由詩5*04/9/26 22:09
しあわせ自由詩5*04/9/20 2:55
はにかむ言葉自由詩1*04/9/14 23:46
踊り場にて自由詩2*04/9/13 23:51
おかえりなさい自由詩5*04/9/10 14:55
あからん(秋編)自由詩0*04/9/10 3:17
路地自由詩8*04/9/9 13:24
とことこ自由詩10*04/9/8 23:24
9がつ[group]自由詩3*04/9/1 0:10
九月[group]自由詩3*04/9/1 0:09
花火自由詩4*04/8/30 23:12
赤と白の画自由詩5*04/8/29 0:12
そらゆめ自由詩2*04/8/28 14:04
雑踏自由詩3*04/8/28 13:59
フラフープ自由詩2*04/8/27 23:46
カエル自由詩3*04/8/24 23:43

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