その葉の一枚の中に
暖かさが流れていて


触れて私は
その流れの中に浮かぶ




けれどいつしかその葉は
私の中にあり


暖かい場所を探しながら
 ....
激しい睡魔に襲われながら三日月は
いっそ雨になれば良いのにと思っていた

軒先でギターを弾きながら渡辺さんは
一昨日見た夢を何とか思い出そうとしていた

渡辺さんの「246M」をMDで聴き ....
ある時世界は小さく頷いて
私の肩に優しさを呼ぶ

私は水の中でユメを見ていた頃のように
水の外で地べたに頬を添わせていた時のように
優しさの幽かな震えに私を預ける

しかし気が付けばいつ ....
闇に近い木々の群れ
線路を叩く車輪の甲高い音
幼い日に出会った少年の俯き
裏から見たエイのような雲の顔
それを包む灰になりかけの蒼の空
大きく両手を振りながら坂道を下る僕

みんなどこか ....
ぽたりぽたりと憂鬱から漏れている
コールタールにもよく似た僕の雫は
吐き出す煙りに撫でられて気だるく踊る


風通しの悪い窓辺で聴く喜びは
静かな日々を願いながら
喧騒に寄せられる情熱
 ....
その街に風は吹きますか
手紙のようにそっと遠くから

坂道で靴は鳴りますか
生みたての音楽のように

どれだけの名前を覚えていますか
カタカナの響きに変わっても

この哀しみは君 ....
ぼくにできることは
ほんのすこしのこと

だけどそのすこしが
ぼくやだれかをほんのすこし
うれしくさせられたらいいな


ぼくにみえるものは
ほんのすこしのもの

だけどそのすこ ....
まるで不確かな曲線にもたれて
もくもくと広がる宇宙を見ていた

そこでは揺れる振子のように
人々の孤独が行ったり来たりしていた


けれどよく見るとそれは人々の孤独ではなく
僕自身 ....
かなしみたちがあつまって
ぼくのまわりをぐるぐるまわる


ぼくはなるべくとおくをみて
だけどこきゅうがあさくなる



よろこびたちがあつまって
ぼくのたましいをふくらませる
 ....
今日も宇宙人の夢を見た

夢に出てくる宇宙人は
いつでもちょっと怖いから
僕は全速力で走って逃げるけど

出来ることならもう
夢の中でも本物でも
宇宙人にはあんまり会いたくないな
 ....
かちりと音がして
空が切り替わった


新たな空に住むものたちが
降らせる粒子に僕を絡めると

舌の上のオブラートのように
僕が僕の輪郭だと
思っていたものが溶け始めた
 ....
坂の上から
風に乗った
花びらたちが
僕を吹き抜けた


それぞれが
小さく何かを
呟きながら

次の風へと
急いでいった



ほとんど
聞き取れない
花びら ....
久しぶりに影に会いに行った
僕と違って物静かなヤツだ

上手くいかない事柄を一通り
報告してから僕は横に座った

影は何も言わない
いつもの事だ


影の足元と僕の足元は繋が ....
もういくつもの
ほどけた季節に熱を預けて
私はすっかり温くなってしまった

風を待つ鳥がベランダで
羽を休めるのを眺め
私は何も待ってなどいないことに気づく

世界を内を流れる温度 ....
生乾きの夜明けに
目を覚ますと

ぼやっと浮かぶ
記憶の灯りがそこにあった


灯りは緩やかに広がり
空気に溶け

呼吸をする度
僕に入り込んで来た


再び僕は眠りに ....
産毛のような時間が
どこまでも不完全な
このたましいを撫ぜている


それでもたましいは
長い間私が見向きもしなかった
いくつもの小さな愛たちを

その時々に抱えていたのだと
 ....
雨の中でカラスは
ボロフスキーの創った
偽物みたいに固まっていた


まるでそこから
世界が固まってしまうんじゃないかと
心配になるくらいに



その横顔は
静かな怒りと ....
午前1時
上手く眠れずに

煙草を吸おうとして
小さな丸い換気口を開けると

コォー コォー
とガランとした舗道を
駆ける風の音がした


清らかで濃密な
午前1時の音だ
 ....
何も浮かばない夜に
ヒラヒラと
僕は浮かぶ


それから宙を探って
宙に入り込み

痛がる景色を
置き去りにして

道の無い空間を
飲み込んでいる


光りのあぶく
 ....
やぶれた風が僕に聞く
ここから呼ぶ?帰る?
木の葉がすごい速さで
転がり巻き込まれてく
浮遊の憧憬の走りみち
風の声を小脇に抱えて
笑う木の葉を追いかけ
走るんだよ走るんだよ
三つ ....
ひがのぼり 

ひがしずみ 

またひがのぼり 



そんなまいにちを 

まいにちみているのに 



どうしてぼくはそのとき 

におびえてしまうんだろ 
 ....
とり とんだ
おもいたって
くものうえまで



とり はばたいた
どこへいこうか
かんがえながら



とり とびつづけた
きぶんがよくって
どこまでも



と ....
闇はひどく疲れていたようで
ほとんど私の話しを聞いていなかった

私もひどく疲れていたので
そんな闇を思いやれずにいた


そしてやがて静かに私たちは
重なることなくそれぞれに ....
空が剥がれ落ちていた

無音を描きながら

時間を奏でながら



空たちはみな地に落ちて

染み込んで消えた

あっさりと自由に




せめて僕は

空 ....
街灯が揺れてるのだと思った
空音交じりに

現像が遅れているのだと思った
焦がれの情景に


静まり返る夜更けの頬をやっと
支える両手のひらには

掴み出せない塊に
揺らされいる ....
十七時の鐘の音は凍え
涙声にもよく似て

僕は此処に
居たたまれなくなる


そして
此処ではない場所へと
小走りで急ぎ出す僕の
おでこに

何も無い様にしか見えない宙に
飛 ....
もしもきみが

きみのぜんぶを

すきじゃなくても

それはあたりまえのこと


だってぜんぶは

だれにも

みえないんだから
冬空の始まりは
少し疲れた
白い横顔

鳥にも雲にも光にも
他人行儀なそぶりで


けれど其処には
秋の最後の雨と
昇ったいくらかの
私も居るのだろう


その頬はふいと
 ....
紫さんから見た
僕の瞳は
紫色


黄土くんに聴こえた
僕の声は
黄土色


臙脂ちゃんが読んだ
僕の言葉は
臙脂色


乳白さんが触れた
僕の涙は
乳白色


 ....
「僕を知っているのかい?」

「もちろん。」

「じゃあ僕の特徴は?」

「んーと・・・」

「それじゃあ僕の特技は?」

「ええっと・・」

「それなら僕のイメージは?」 ....
松本 涼(295)
タイトル カテゴリ Point 日付
自由詩5*05/10/8 17:33
月と渡辺さん自由詩7*05/8/15 21:39
頷き自由詩10*05/6/20 21:01
転がるかたち自由詩7*05/6/8 23:03
自由詩4*05/5/27 22:39
てがみ自由詩8*05/5/23 21:29
ほんのすこし自由詩8*05/5/12 21:18
不確かな曲線自由詩3*05/5/3 10:41
きまぐれ自由詩7*05/5/2 0:17
宇宙人自由詩3*05/4/11 22:34
かちり自由詩3*05/4/3 12:37
さくら自由詩4*05/4/3 11:20
面会自由詩2*05/3/27 22:22
温度自由詩4*05/3/21 14:17
夜明け自由詩0*05/3/16 23:44
時間自由詩2*05/3/11 13:10
雨のカラス自由詩5*05/3/10 12:50
午前1時自由詩4*05/1/31 20:46
浮かぶ自由詩2*05/1/17 22:13
木の葉自由詩5*05/1/8 9:51
そのとき自由詩5*05/1/7 21:33
とりとんだ自由詩4*05/1/3 12:13
自由詩5*04/12/29 21:09
自由詩7*04/12/29 20:56
カタマリ自由詩3*04/12/15 23:37
メッセージ自由詩5*04/12/15 23:06
ぜんぶ自由詩5*04/12/8 0:24
冬空自由詩6*04/12/6 20:30
紫さん自由詩4*04/11/29 20:48
11月[group]未詩・独白3*04/11/25 22:10

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