雲の眼路 光る山脈
なびく髪 鹿{ルビ=しし}の鼓笛に
いにしへ返へる

    ☆

銀の微塵に 黒鞄のイムバネス
ゆれる菅穂 火山灰のみち

    ☆

稲の槍
黄水晶{ ....
賢さん とし子は逝ってしまったの?
あなたのなかの とし子探さん

    ☆

羅須の家 洩れるあなたの無伴奏
つっかえながら弾いてくれた夜

    ☆

モツトモツトミナガヨ ....
融銅は眩{ルビ=くら}めき 光とどまらず 吸い尽くされて
空に星々

    ☆

ゆれ澱む気層の底に
ふりそそぐ琥珀のかけら
苦きいかりに

    ☆

やぶぬけて
正午の ....
七つ森 水の中より明るくて
ぽしやぽしやしづむ膠質{ルビ=ゼル}のかなたに

    ☆

パリパリの朝の小枝にぶらさがる
硝子のわかもの そら透きとほす

    ☆


蒼海 ....
風鳴れど 業のはなびら 散りあへず
つめたい沼に立ち通す鳥

    ☆

氷る融ける カルボン酸の雲の下
梢は青い喪神を吹く

    ☆

春寒し 洋燈{ルビ=ラムプ}点れる花 ....
灰色のクレヨンひとつをにぎりしめ
まっしろな画用紙をくまなく灰に
塗りつぶしていたチビなぼくを
えんちょう先生は庭に呼んで
「ほらよくごらん 地面はね
灰色じゃないだろう? ちゃいろかな?
 ....
詩は直線
半透明の窓をつらぬいて
雲の向こう側へと延びている
どこまでつづいているのかは誰もしらない

論攷は線分
ナイフで頭と尻尾を切り落とす
君はお茶をのんであくびする
ようかんの ....
あの山裾の梢をわたる
すきとおった碧い風をおいかけて
どこまでも はしっていきたい

だれが紡いだのか
硝子の鱗片おしのけ膨れあがる
糸屑を どこまでもほぐしていきたい

畏れを知らな ....
あらたまの年ごと見ゆるけしきなれど
わたる風にも 乗らむ妹背ら

    ☆    ☆

ぬばたまの馴れにし衣{ルビ=きぬ}は けふを限り
旅立ちの日は 天翔けむかも

    ☆   ....
きみはトンネルがいいというから
このトンネルもうおわらないんだ
 (承前)
P:いや、たいへん気持ちよく聞かせてもらった。君の話は、オリュンポスの丘を渡る風のように、右の耳から左の耳へと心地好く通り抜けたが、ぼくの頭にはただ一つの印象だけが残っている。それは、君 ....
 (承前)
A:Ηは人非人でした。しかし、私がそのことを理解したのは、彼が私の目の前にはもう現れないこととなった時なのでした。
 私はその時以来、人を信ずることができなくなりました。私の前に愛する ....
A:あなたにとって絶望とは何か?答えよ、賢人!

P:あなたは、ほかの男の胸の上で思索に耽る趣味があるのか?
 答えよう。肌を重ねても、その頭脳の中までは立ち入ることのできない輩{ルビ=ともがら ....
A:およそ名前というものには実体がない。
 ぼくらの有限の時間の中で、やって来るものに対し投げつけられるのは、小間切れの仮の名であって、真実の名前は、去ったあとで、はじめて附けられる。だから、いつも ....
峯から峯へ、乢{ルビ=たわ}から乢へ、
鈴をたくさん着けた馬車が
夜どおし走り回っている;
春の夜は銀色で、君の眼は茜色、

せせらぎは白いほむら、君の髪は緑、
放射するコロナ、鼓動する静 ....
あしひきの 山路もわかぬ いはがきの
やまぶき散るらむ 嵐ちかづけり

     ☆   ☆

みちの奥{ルビ=く}の 大白森に 
時なくぞ 雨は降りける 
山人の杣{ルビ=そま} 
 ....
最後に、力なく向き直り、さようなら、と言って
歩いて来る君は悲しそう、マジェンダのパーカーとロザリオ、
さようなら、と言うまでに、どんなに君が苦しんだことか、
それを思うと、どれだけ涙が溢れても ....
晴れているのに月のない空へ
昼間のように開いた駅の前、
二つ、三つ、稀な人影流れ、
出て、入り、立ち止まり、また歩き出す眺め、

いまごろ、あの人影になっていたかった、
ぼくののぞみは、た ....
けぶりのような通り雨を浴びて、
森のすみずみを洗い流す御使い、
木々の笑い声が聞こえるかい?
人影絶えた午後の闇で、

若葉たちの含み笑い、
ひそやかな蚊のまぐわい、
靄に解けこむ花芽、 ....
海岸の砂のひとつぶひとつぶに個性がある
ように、木らにも体温があり心があった。
葉緑素分解のわずかなずれ、葉ごとの
むらが、木らの性{ルビ=さが}を際立たせた。

融雪の下で、再生の準備に余 ....
どうでもいいことなんだけど、
おれが死んでも君は悲しまないことに決めようじゃないか、
あとで君に約束させるのはぜったいに無理だから、
いまのうちに約束しとくんだ、

そうすると、ある日仕事帰 ....
帰って来なければいいのに!
死んでくるといい!
ああ、なんと華やかな餞{ルビ=はなむけ}のことば
なんと充実した旅立ちだろう
ぼくの胸は、一点の隙もなくみたされている
午前4時45分の昧爽
 ....
眠り続けるあなたは、齢をとらない。
あなたは、いつまでも少女のまま。
ときどき、ほんの片時目覚めては、
少女のあなたは、いつも今を生きる。
眠り続けるあなたは、学生のまま?
あなたは首を振る ....
  げしのかげ
  たんせんに
  のでださい
  こいのいた
  しろみだし
{引用=(タテ/ヨコ/ナナメに読んでください)}

夏至の真昼、
廃止された単線のレールをたどっていた、 ....
森が、けむりのような通り雨を浴びて、
身体のすみずみを洗い流すとき、
木々のたてる笑い声が聞こえるかい?
人影絶えた繁みの奥に、
若葉たちの、ひそやかな含み笑いが?
どうしてもダイヤモンドを買えと言うから、
女って、そういうもんなのか、
しぶしぶディスカウントショップに付いて行って、
俺たちには分不相応なんだよ、そんなものは、
きみが選んだのは、光らないダ ....
きみは猫?それとも狼?それとも犬?
―― 'んなこと知らーん!

きみは、どうしてここにいるの?こんな山奥で、さびしくないの?
―― 'んなこと知らーん!

きみを造ったのは誰?きみをここに連れてきた ....
泥炭の下に閉じ込められた沼沢地、
蛙にならないおたまじゃくし、
時間をなくした植物たちの白い夢、
動かないげんごろうの開(あ)いた口、

生きたまま化石になろうとしている沼は、
寒天のよう ....
プリンをひなたぼっこさせて、生ぬるぐちゃぐちゃにしたら、おいしいかね?
他人の懐で温められて、慢心でふやけたチョコレートを、欲しいと思うだろうか?
冬の夜空の下で、ポケットの底から、さびしく凍えた ....
そうだ!こんなかんたんなことに、なぜ気づかなかった?
別れればいいんだ、悩むまえに。
きみとはもうにどと会えない、はなしもできない、
手紙もだせない、修復できない、
それがいい!
そうなれば ....
Giton(193)
タイトル カテゴリ Point 日付
修羅を読む(5)短歌3*09/3/9 20:33
修羅を読む(4)短歌0*09/3/9 17:22
修羅を読む(3)短歌1*09/3/9 6:50
修羅を読む(2)短歌0*09/3/9 2:51
修羅を読む(1)短歌0*09/3/8 2:03
灰色のクレヨン自由詩4*09/3/5 21:21
詩は直線自由詩3*09/3/4 4:08
あの山裾の自由詩4*09/3/3 21:12
卒業式短歌1*09/3/2 23:23
汽車旅自由詩0*09/3/2 16:20
絶望についての対話(3)散文(批評 ...0*09/2/28 2:40
絶望についての対話(2)散文(批評 ...2*09/2/28 2:37
絶望についての対話(1)散文(批評 ...0*09/2/28 2:26
名辞についての対話散文(批評 ...2*09/2/26 21:20
3月自由詩2*09/2/26 7:59
 むささび 渡る短歌0*09/2/24 23:42
 夢 自由詩2*09/2/24 7:37
ディヒ (きみを)自由詩3*09/2/23 12:54
森、笑う(B)自由詩1*09/2/22 22:37
白山千振尾根、秋自由詩2*09/2/22 3:55
どうでもいいこと自由詩3*09/2/17 4:32
旅立ち自由詩0*09/2/16 20:07
時を翔ける少女自由詩2*09/2/16 19:06
げしのかげ自由詩2*09/2/14 23:51
森、笑う(A) 自由詩1*09/2/13 19:55
とおりがかりのフーガ 自由詩2*09/2/13 5:39
御使い携帯写真+ ...1*09/2/12 17:47
発掘作業員 自由詩3*09/2/12 7:53
夜空自由詩1*09/2/12 4:55
かんたんなこと 自由詩2*09/2/12 0:38

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