ぼくの壊れた心のなかで
きみが音の出ないハーモニカを吹いている
空き家の隅に捨てられていた
埃まみれのギターをチューニングしたら
きみはあしたの曙光に歌を返すだろうか
悪いふりをすればするほ ....
  .
自転車に乗った猫
王女さまの馬車が近づくのを
橋の上で待っている
着ているものを全部脱いで
  .
川に飛び込めと自転車に乗った猫が言う
「助けられたとたんに振られるじゃないか」 ....
  .
碧緑に光る浅海
渇いて波うつ島の大地を
太陽は白く灼き尽くし
岸壁に泊まる船の鈍い銀
  .
村人の行き交う道端の
標石 はるか高くに
こんなにも耀かしい夜があることを
こん ....
  .
   ―――融銅はまだ眩めかず(賢治)
  .
  .
昔の空気は酸素が少なかったから
銀白色に光る鉄の破片や鉛の滴(しずく)
緑や紅(べに)の水酸化物や塩化物
鉱石やら玉(ぎょ ....
  .
夜のオープンカフェ
通り過ぎる足音に目を上げる…
高い梢で鳴くのは夜の鳥
なつかしい幻のような やさしい暗やみ
幻聴のような鼓動
  .
灯りの消えたオープンカフェ
きょうも一 ....
単両の錆びた電車が往き過ぎると
線路際に生えた花は 砂利の間から
頼りない花弁を揺らす
オオイヌノフグリ
セイヨウタンポポ
ヂシバリ
キジムシロ
ほうっておけば埃にまみれて
しまうだろ ....
  .
田舎の小さな駅の前にある
ドイツ人のパン屋さん
木造にペンキ塗りの扉を開けると
懐かしい小麦粉の匂いがした
パン屋のおじさんはいつも
カントリー風の派手なシャツにジーパン
粉で真 ....
    .
雨が上がって雲になり
空が下がって池になる
森の侵入 まわるく埋め残されたかがみ
濡れた獣は不便だ 毛が固まって寒くなる
飛ばない鳥 窓から眺める雨脚のあわ
    .
縺れ ....
木枝の奥に不意に現れた 地図に無い池
罪を犯す少年のように鏡面を覗けば
きらきらと吹き寄せるきのうのかけら
雲を映すかの白いまなざしが
渇いたように君を見つめる

淡い草を分けて水に入って ....
{引用=2009年11月11,12日、地球以外の星に住む高度な生物が出す信号をキャッチする「地球外生命体探査」が、全国の天文台や観測所などで一斉に行われた。}
     .
ぼくらに見える宇宙は過 ....
        .
こんな寒い夜は
星がぽっちゃんぽっちゃんふってくる
   (星って 卵みたいにぐちゃぐちゃじゃないか)
星の殻が割れて 星のなかみが背に落ちる
きみの背中は銀色に光って  ....
      .
わたしがそこから生まれた大気圏よ
雨よ 雲よ
いつもわたしを天蓋のように包む
大いなる父よ 母よ
      .
わずか十分の一、ニ度体温が上がっただけで
世界中の人間が ....
   .
濁った夕日のあとに
煤たなびく夜明けが来るとしても
真昼の青空を信じて歩き出そう
君が遠くで見ているのなら
      .
枯れ干からびた夏のあと
どしゃ降りの秋が続いても
 ....
あなたの前だと言えなくなる言葉
ただひとつの真実の言葉
        .
犬が好き
猫が好き
スパゲッティが好き
青空が好き
暗く澄み渡った冬の夜が好き
いくらでも好きと言えるのに
 ....
あなたの死体をバックシートに積んで
ぼくらは暁の町を出た
あなたの死体をトランクに隠して
ぼくらは旅立つ
ゆうべあなたを臥床の上で捕らえたとき
あなたは叫んだ
四角い箱のなかにあなたを押し ....
ちぎれた下着放り捨て
はだしで水と草を踏み
風は吹き、腕と腕ふれながら
セルジュ、きみと歩いていこう
…ぼくは還って来たのだから…
草そよぐ木陰の続くかぎり

きみとなら、森のざわめきも ....
睡蓮さんの上記評論へのコメントとして書いたものですが、長くなったので、独立のトピを立てます。

 本論は、興味深く拝見しました。
 かかわりの具体的場面では、さまざまな視点・論理が交錯することと ....
{引用= Folget,Brueder,eure Bahn! --- F.Schiller}
 1688の祝典序曲は1789の交響曲を立ち上げ、そのアレグロの攻勢繰り返されるなか、1914のレクイエ ....
{注=*高尾山口〜陣馬高原下〔東京都・神奈川県境〕}
    ☆

鉄路行くひとはしらずや檀香梅{ルビ=だんこうばい}
車窓はるけく 山蔭に噴{ルビ=ふ}く

    ☆

でんどこど ....
3 (承前)
 そこで、端的に言えば、現地取材をしている記者は、日本にいる翻訳者のように「一歩下が」って大所高所に立つことは困難だし、「一歩下が」った時点で、現地取材は不可能になる――すくなくとも、 ....
  ☆はじめに
 睡蓮さんの「立つべき位置について」と、そのコメントでの議論に触発されての小文です。
 携帯から直接サイトに書き込んだために、正確な引用でないことをお断りしておきます。論旨を読み誤 ....
 やっと誰も来ない場所にたどり着いた。去年の葉をつけたブリキ柳が、軟い金の粉を吹いている。崩れた石灰岩にカンスゲの穂。

 (君は荷を下ろし、装置を組み立てる)

 ここなら、いくらペンシルを ....
吐魯蕃{ルビ=トルファン}の葡萄のつるの銅{ルビ=あかがね}の
錆びた砂地に水底{ルビ=みなそこ}の痕

    ☆

吐魯蕃の葡萄のふさの たましづく
漠野の果てに ほむらゆらめく

 ....
日はでても見えぬ季節と
なり タワァ排煙をのぼせ
葱嶺{ルビ=パミール}いよいよひかり

    ☆

むねをつく はばたきの音
夢ときえ
夜半{ルビ=よわ}の水面{ルビ=みなも}に  ....
  【まえがき】
{引用=賢治のエスペラント詩稿は、日本語作品と対応した幾つかの断片が遺されており、下記のリンクで参照できます(エスペラント詩人の解説付き)。ここでは、詩「凶歳」に関連する残存断片と ....
4 「修羅を読む(9)」の続きです。
 第1集のなかの重要な作品で、まだ扱っていないものもあります。「青森挽歌」「オホーツク挽歌」などは、なんども読んでいるので、後で出すかもしれません。
5 「夜 ....
1 このへんで、自分の賢治観とか書いておくのもよいと思ったので散文にしてみます。賢さんが嫌いな人は読まないだろうし、この文章が嫌いな人はパスすればよいのだから、オタクのようにだらだら書いてしまおうと思 .... 雲ひかる
野をおおびらに歩けたら
大きな帽子 風にうねらせて

    ☆

群青の森の水際
樹を裂{ルビ=くだ}く 堅いまるめろ
栗のモザイク

    ☆

口笛に すゞめ ....
にせものは灼き尽されて
荒れた野に
芽ぶき伸びたつ 大乗の樺

    ☆

明け空に
大きな青い星うかび
償はれぬ恋
しづまらぬ風

    ☆

みたされぬ青い抱擁
萱 ....
ナモ サダルマプフンダリカサ スートラ
さまよふ
啓示にみちたサガレン

    ☆

緑金の葉脈すかす 落日に
やなぎらん 光の点綴

    ☆

青びかるツンドラ遠く
樺 ....
Giton(193)
タイトル カテゴリ Point 日付
チューニング自由詩2*10/9/22 6:24
自転車に乗った猫自由詩2*10/9/12 5:44
石敢当自由詩0*10/9/12 5:40
未明幻想自由詩010/7/1 3:50
夜のオープンカフェ自由詩1*10/6/27 12:57
配る人自由詩2*10/6/2 18:59
田舎の小さな駅の自由詩0*09/12/8 9:00
月山・周海沼自由詩1*09/11/13 19:21
木枝の奥に携帯写真+ ...1*09/11/13 17:48
宇宙生命体探査(SETI)自由詩1+*09/11/12 2:21
たまごの夜自由詩3*09/11/10 12:32
大気頌自由詩2*09/11/8 9:49
翔ぶ者へ携帯写真+ ...2*09/11/6 14:08
あなたの前だと自由詩0*09/11/3 11:09
あなたの死体を自由詩4*09/10/28 13:25
ジルとセル 自由詩1*09/5/19 12:46
「『鳥』と『虫』とは手をとりあえるか(1)(2)」へのコメン ...散文(批評 ...0*09/3/26 1:19
1688の祝典序曲は自由詩3*09/3/25 14:19
「鳥のみち」*短歌1*09/3/24 0:07
鳥の論理と虫の論理など(2)散文(批評 ...1*09/3/22 23:45
鳥の論理と虫の論理など(1)散文(批評 ...1*09/3/22 22:55
やっと誰も来ない場所に自由詩1*09/3/22 1:15
時の屈折短歌1*09/3/18 4:33
春日幻影短歌2*09/3/17 0:17
修羅を読む(11)エスペラント詩伝統定型各 ...2*09/3/15 3:27
修羅を読む(10)散文(批評 ...1*09/3/13 19:59
修羅を読む(9)散文(批評 ...1*09/3/13 10:36
修羅を読む(8)短歌2+*09/3/13 0:27
修羅を読む(7)短歌1*09/3/12 1:18
修羅を読む(6)短歌0*09/3/10 20:29

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