たったひとつ
ねがいを
きいてくれるというのなら
わたしが生まれる日に
むかえにきてください




病院から
おおきな荷物と
見慣れぬ我が子を
抱えていく
母の
かえりみ ....
まぶたの裏に咲く桜
遠くまでいけなかった足さきが
ようやく幹に触れる

よいのやみ
想い出を負ってしなる腕から
にじみだしていくほの白いあかりは
去っていった人のみちすじを辿るように
 ....
継ぎ目もなくすきとおる
うしろすがたのような青
とおくからきた風がとおくへとぬけていき
休日のざわめきや
かすかにひびく水音や
何重奏もの葉擦れを
はこんでいく

ふと見る枝に
リボ ....
しあわせになるんだと
そればかりおもっている
しあわせになるんだと

月並みにいえば
出会うのだから
別れも来るだろう
行き過ぎてしまえば
傷付け合う日もくるだろう
そのうち傷のこと ....
かえろう
聴きたい音のある場所へ
好きなひとに
好きだと言える場所へ

握り締めるほど
こぼれおちていくものだから
一瞬でも触れたことを
決して忘れないように

肌をなでる
なつ ....
何もないはずの場所に
たしかに現れて
わたしと宇宙とをつないでくれる

空がある

閉じ込められていた呼吸を
どこまでも深くひらいて
ちいさな挨拶を
あるいは願いを
かけるように
 ....
なんどでも振り返り
なんどでも悔やむ
選ばなかった道のこと
なりえたかもしれない自分のこと
なにひとつ定かな記憶もないのに
分かれ道の向こうの小さな光が
やけに瞬いてまぶたに刺さる

 ....
きみと出会って
わたしがもうひとり生まれた
つるんとしてまっさらで
まったく自由なわたしは
わたしのなかで
きみとして育った

わたしのきみとわたしは
手をつないで
くるくるとまわり ....
「きのう
お会いしましたね」


見知らぬかげが
暗がりを指さす

「覚えていられないので
さきにいいました」



暮れ方の街
屋根は正しく空を切り取り
はがれた青は道 ....
三日降り続いた雨が
羽に変わった
しろやくろやはいいろや
街なかにはあるはずのない
エメラルドいろや深海いろや
鮮血いろが道路に積もって
車が動けなくなった
 
こどもたちは羽をあつめ ....
ひらいてしまったてのひらに
はじまりは舞い込んで、やがてにじんでいく
窓枠を引いて外と内を分けて
でていかないよと言ってみても

手に入れることは失くすことだから
いつでもきちんと立てるよ ....
いとしいという気持ちは
どこにもたどりつかない
ただ生きてくださいと
おもうばかり

あなたはもうそれで
十分素晴らしいのだから
なにひとつあきらめることも
うしなうこともない

 ....
#1

きんいろのふりこがゆっくりと放たれて
はらはらと粉を撒き散らしていく
とがった屋根のさきっぽに
逃げ出した雲がひっかかったまま
夜がくる

そのまちでは風が吹かない
時計の ....
小夜(13)
タイトル カテゴリ Point 日付
ねがいごと自由詩418/6/14 18:47
さくら自由詩517/9/3 21:32
「むすぶ」自由詩515/11/17 20:24
「おくる」自由詩215/1/3 1:37
「いだく」自由詩114/11/14 23:07
そらのひと自由詩314/10/29 18:03
「きざむ」自由詩714/10/20 0:38
うず自由詩014/10/8 0:31
「呼ぶ」自由詩614/10/2 18:43
エプローダ自由詩214/9/1 20:45
「かえす」自由詩414/7/21 0:40
「ねがう」自由詩514/7/14 23:14
てのなるほうへ自由詩413/1/26 0:11

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