機械に認識されない
音を掻き集めて
波打ち際で放したら
いつか何処かの
誰かに届くかな

潮風に揺れるウェルウィッチア
砂漠に朝露の雫が落ちる

遠くのあなたが
その音の階段を ....
ポンコツな身体に
多過ぎる情報量
回路は常にオーバーヒートして
壊れたようにこんこんと眠る
君からその
人型の身体を取っ払ってあげる
何ももう君を縛るものはない
意識だけになった君を ....
昨日
夢を身籠って
孵った卵が
明日また孵る
短い再生を繰り返して
消耗していくだけの
羊飼いの楽園
*
古い文明と共に
行き場を失して
新しい時代の入口で
停滞している
 ....
暗闇の中で
夜眼のきかない私たちは
離れ離れになり惑い
不安げに歌を口遊む
重ならない音
不協和音が大気を揺らす
世界中が苛立ちで満たされる


もっと明るいうちに
互いの眼 ....
「泣かないで、僕のみなしごはっち」

父に見放された子は
戦いを憎むだろう
愛が足りずに火は燃えず
太刀傷を受け続ける
美しい容は育たない
ばらばらになったそれを
繋ぎ止める為の強 ....
あなた、まるでけもののように
身も心も捧げた私から
ついに命まで奪おうとした
どこまでも欲深い、そのこころ

窓の外の細い柊の枝に
積もってゆく白い
雪の綿が視界を埋め尽くしたら
 ....
盗まれた
この小さな庭に差し込む光の
わずかなパンの欠片を啄む小鳥の
瞳に反射するわたしの
明滅を繰り返す魂の
内側へと続く戸口が
目の前で閉まってしまう夢と

裏返った
あの ....
翻弄されたくないのです。

嵐の夜に
波に飲み込まれた流木は
人の様相を呈していました
唯一の導きである昴さえ
雲に隠れて
あの日花の種は暗く
水底に沈み込み
死んだのでした
溺れ ....
頭に計算機を詰め込んで
公園でチャンバラごっこをする
ヒーローたちは
世界を救うはずもなく
砂の城を蹴り崩した跡に
旗を突き立て
誇らしげに胸を張る

「ひとりはみんなの為に、みんなは ....
{引用=
二月の夜空から零れ落ちる
無数の星影が
か弱い肩に降り積もり
窒息してしまう前に
宙に投げ出された
誤解を掻き集めて
真実の結晶を作り上げたら
きみの冷えた心臓と取り替えて
 ....
{引用=
朝には明星
鼻先をかすめる風は
五つの星と三日月の旗を
掲げた彼の地で生まれ
古の道筋に誘う
一滴の恵みも無い砂漠の
明け方何処ともなく現れた
灼熱の大地をやさしく包む
虹 ....
{引用=
悲しみまでも
どこかよそよそしく
荒ぶ冬の
窓際に飾った
クロッカスに宿る
想いを晒すように
萎れた花弁を千切るとき
浮かんでくるのは
たった五文字の
届かなかった言葉さ ....
{引用=
僕の兄弟よ
そんな眼で見るな
落ちぶれた若者を、落ちぶれた大人を
落ちぶれた僕を
コンクリートで塗り固められた
高層ビル群に飲み込まれて
慈悲を忘れて後悔しているというなら
 ....
{引用=
ゼンマイ仕掛けの
真夜中の時計
秒針は
心拍の総数を
計るように
時を刻んで

その音に
耳を澄ませば
不安で満たされる
わたくしの部屋
灯を吹き消そうと迫る
死神 ....
(言葉の意味を失っても僕たちは生きられるだろうか。)

フォアグラの味を覚えて
肥満鴨の生涯を忘れるみたいに
受け止められない感情を前に
そっと目蓋を閉じる

高級な言葉を奥歯で噛み締め ....
春になれば咲く
桜の花弁はちょうど五枚
最初の言葉で
占う結果は
決まってしまうから
だから
色とりどりの紙を並べて
千になるまで鶴を折って
祈る時は
涙をこぼしながら
私ひと ....
君は僕を
パーツごと
正しい言葉に分けて
時々、音を付けて歌い
だけどけして
名前を呼んではくれない

悔しくて書いた
「探して」と
ひと言だけ記した手紙
赤いポストの前で
 ....
{引用=
沢山の色彩に溺れて、姿を見失ってしまった。少女の髪には、虹色のリボンがたなびいていた。(嘘でも好きな色を選べばよかった)と、はにかんで笑った。何と言ってあげればよかったのだろう。
誰 ....
かたい誓いで
組まれた幾何学の
奥に在るもの

血潮の波が打ち寄せる
月夜の砂浜
密やかな産卵
営みを遡ったら
きみたちを見付けた

やさしい三つ子

星の並びから零れる
 ....
星の出す答えを
ノートに書き写す
生徒たちは
みな遠くの空を見上げ
道に躓いては
ばつが悪そうに笑う

天体模型を並べ
地球と金星の自転の
逆さまに引かれ合う
それを恋物語と読 ....
積もる雪が暫しの暇を
流れる雨が暫しの癒しを
与えてくれている間に
答えを探して
這いまわる
けものの
みち、

愛を験す事はしてはけないと
高尚な教えに諭されて見えなくなってい ....
名前も知らない女の子
バイクで事故って死んじゃった
警察に追われている途中
無免許だった事は分かってる
ヘルメットは被ってた

ネットでは
自業自得だ
警察は仕事をしただけ
価値 ....
天地は混じり合い
混沌に帰る
始まりの神話が終わり
終わりの神話が始まる
地平の果てまで行こうよ
悲しみの無い場所を目指して

愛しい大地に残された
深い太刀傷の跡を
洗い流 ....
結局殺してしまうなら
愛していない事など明白で
高尚な正論を振りかざす
瞳には何も映らない
そんなものに未来を託して笑う
おまえたちの強かな愚鈍さ
憐れみさえ通り越し
嘲笑だけが満ち ....
砂粒は
この星の記憶を宿した欠片
掬いあげた端から
零れ落ちてしまうから
そっと
天地の間に閉じ込めました
遠く遠くに旅をする
命が離れ離れになろうとも
同じ時を刻めるように
小 ....
(産まれた時に授けられた
星の役目が決まっているとして)

四角い揺籠の中に閉じ込められて
人の幸せの為に全てを封印された
僕の出会いや進む道は操作され
自分の為に欲しがることもせず
 ....
真実の羽根と心臓を
黄金の天秤にかけよう
注意深く慎重に
心臓の方が重ければ
沢山人が死ぬ事になるから

ここは
葦の野が広がる東の島国
金星の守護のもと
冥界の王が支配する
 ....
冷たく発光する電球に
逆子の妖精が閉じ込められている
きみは彼の為に
指で十字の影絵を作って歌っている

暗闇には獣が潜んでいるからと
避ける人の本能が
彼を世界から追放したんだね
 ....
双極に引き寄せられ
反発する
小さな砂鉄粒たち
私たちの紡ぐ言葉が
こんなにもありふれてしまうのは
あなたと私が
魂の目になって
互いを見つめ始めたから

最後に覚えているのは
 ....
「鮭がその身を傷だらけにしてまで
古里に帰る理由は
産卵の為でなければならない」

赤点の数学のテストの
裏に落書きをした
君がAで
ワタシがBだと仮定した場合に
導き出される答え ....
衣 ミコ(64)
タイトル カテゴリ Point 日付
こわいろ自由詩815/3/26 21:22
理想の恋人自由詩415/3/13 5:52
me43自由詩315/3/12 5:44
夜のオクターヴ自由詩9*15/2/16 4:50
みなしごはっち自由詩315/2/12 14:38
氷る言葉自由詩115/2/9 19:35
give‐and‐take自由詩6*15/2/5 8:18
こわがり自由詩6*15/2/2 5:16
サンジュウシ自由詩215/2/1 6:06
しろい息自由詩5*15/1/31 18:11
少女のゆめ自由詩6*15/1/25 23:09
perdendosi自由詩4*15/1/25 3:02
Agitato自由詩115/1/24 21:27
Tempo rubato自由詩2*15/1/24 20:30
行儀のよい命自由詩515/1/22 21:41
明日のことなど自由詩4*15/1/22 11:56
スラッシュ自由詩3*15/1/18 5:29
虹色リボン自由詩4*15/1/18 4:20
めぐる自由詩2*15/1/17 23:20
mythos自由詩6*15/1/16 3:13
けものみち自由詩5*15/1/16 2:09
名前も知らない女の子自由詩9+*15/1/13 14:05
United Arrows自由詩5*15/1/11 22:45
心中自由詩3*15/1/9 20:07
砂時計自由詩215/1/8 19:02
君が為に自由詩5*15/1/5 11:07
死の陰府自由詩315/1/4 11:47
Illumination自由詩315/1/4 3:12
ボイド自由詩4*14/12/30 8:36
AI自由詩2*14/12/29 21:47

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