春は淡い
命がそこかしこに生まれては散る
風はそよぐ
樹々の葉がさざ波になる
風と水は似ている
そうかな
そうだよ
どちらも掴もうとしても掴みきれない
手のひらを開いたとたん
そこは ....
雨が降りそうだからこうもりを持っていけ
出がけにそんな言葉をくれた人はもういない

傘のことをこうもりと呼ぶ人はもういない
雨に打たれることを案じる人はもういない
雨に打たれたことのある人は ....
いつもだったら
爪切りで刈り取ってしまうのだけど
うっかりしているうち
それが
ニョロニョロになってしまったので
育てている

明日を思いわずらうなと
私の人差し指の先に生えた
ニョ ....
つらつらと つららのことをおもってみていた
軒先に根をはやし
重力に逆らいながらも
きりりと尖ってうつくしい
冬がこしらえた期間限定のその造形は
猫とじゃれたあと
うつらうつらしているうち ....
凍てて黒く澄んだ空に
咲くとりどりの花

ずっとずっと昔に
同じようにして見た花火を思い出す

あの時隣にいた人は
もうこの世にいないことも思い出す
なんどなんど思い出してもまた思い出 ....
 明日

空は雪と一緒に

枝は小さな蕾と一緒に

冬の指は
いつかの冬の指と一緒に

夜明けを待っている

 
 ピアノ

女の子が帰ったあとは必ず
ピアノの蓋が開いて ....
命を結ぶって
素敵なこと だけど
つないだ手と手はいつか離れる
永遠に

キミはもう
このさみしさのトンネルを抜けて
違う世界の違う野原で自由にやすらかに駆け回っていることだろう
これ ....
もっと散歩にいきたかった
もっと抱いてあげればよかった
もっと話しかければよかった
もっと贅沢させればよかった
もっと遊んであげればよかった
もっともっと一緒に

朝に夕に
百万回名前 ....
寒さは
指の先から入り込み
肩へ
背中へ
そして足先へ

もう何も燃やすものがない
闇の他にはなにもない世界で
やがて闇と同化する

薄くて透けそうな
パラフィンカーテンよ

 ....
十月になっても初夏みたいな日が続き
小さな畑でおくらの収穫をする

母は
穏やかでなんのわずらいもない日よりだと言う
この小さく可憐で柔らかなおくらの花が
せめて実になるまでそれが続きます ....
晴れた日の海のような青
遠い島まで泳いで行けそうな空

台風の落としものを拾う子ども
背中には
期間限定の羽

台風が去った朝に
台風の行方を考える
身軽なようでいて
実は
ひと ....
幼子は昆虫ゼリーが食べたいと

大型粗大ゴミの日の熱風

初めての目薬ついに成功し

古い黄色いバイエルに花丸

犬と観る2020オリンピック

斎場の蝉アスファルトに墜落す

 ....
人がいなくなった庭は
草がぐんぐん伸びて
かつてその地に眠った心臓のありかを隠した
もう探し出せないし
探そうとする人もいない
よく見ればブルーベリーが細々と実り
小鳥が集う楽園になった
 ....
縁側に座り西瓜を食べながら
その黒い種を口から飛ばす
黒々として立派な弾丸は遠くまでよく飛んだ
白くて未成熟な種は気がつかずに食べてしまったかもしれない

夜、蚊に刺されたあとをかきながら
 ....
夏の夕暮れの
そこは片隅
母の白い指のすきまから
転がり落ちた
ひとかけらの氷のゆくえを追った

蝉の声が遠のく
逃げていく蟻の触覚
氷は崩れ、いつか傾く
音もなく
あとかたの水
 ....
おととい 小さなせせらぎを見つけて
家に帰ると
網戸に黒い揚羽蝶がとまるのを見つけた
そして
蝶も私を見つけた
気配の優しさ
遠い記憶の静かな切なさ
完璧な蝶の姿で
再び会いに来てくれ ....
 白夜はいつも寝不足になる。

 夜になっても沈まない太陽のせいだ。こんなあたしでも人類の、はしくれ。太陽の光に含まれる活動エネルギーが、自律神経を乱れさせてしまうのだろう。
「おはよう、リン ....
春の約束
永遠に叶わない約束
散るときを知って
失墜しながらそれでも
対の自分をさがす
さがし逢えたら手を繋ぐよ
ひとのまばたきより短い時間を使って

もしも一対になれたら
空へはば ....
幾重にも重なったチャコールグレーの雲模様
ハッヒフヘホー
バイキンマンが登場する定型場面みたいな
重すぎて緞帳になれなかった布地みたいな
そんな今朝の空を額縁にかける

やがて大粒の雨
 ....
昨日から
降ってはときおり止んで
降り続くから
朝か夕か分からなくなる
冬の雨は
うすぼんやり温かい
雪になりそこねた雨に
ずっと昔にも出会ったことがある

時間のあわいのような色の ....
普段は気にも留めないのだけど
ふと気づくと
時があっという間に過ぎている
それにはしっぽも前髪もないので
つかまえることができない

天気予報では雪だったのに
外れてただ寒いだけの日にな ....
安心して
砂糖は入っていないから、と鳩がささやく

なのに甘いのはどうしてなんだろう
さがしてみたって見つかりっこない
にごった沼
シュガーレス
脳内で変換された甘さ
日々何かに誰かに ....
おだやかすぎる静止画
雲さえ止まってる
コンビニまでならんで歩く
とうに背を越していった娘の中に
小さな娘が見え隠れする
つかまらない鬼ごっこ

今日の空から降ってくる光は
束になって ....
雨戸を閉めようとすると
足音もなく猫がやってきて
そのレールの上に座る
木製のレールは
約束されていたようにすでにささくれだっていて
座り心地はおせじにもいいとはいえなかったろうに
猫は
 ....
麻の半袖ワンピースを
さっぱりと洗い
捨てる時を伸ばし伸ばしにしていた
サンダルに永遠の別れを一方的に告げる

風鈴は日曜日の新聞紙でくるみ
青いペディキュアを消す

扇風機の薄い羽根 ....
この世でいちばん大きな生き物は何だとおもう?

暮れゆくばかりの秋の問いに
ふとたちどまる
たちどまることは忘れがちだけれど
時折とても大切だから
スニーカーの靴底で
きのこをおもう
 ....
Mrs.アリスの物干し竿には
百年前から着古したシャツやらが
のんきにぶらさがっている

逃げたカナリアの幸せを祈り
野良猫は低く鳩を狙う
公園はひっそりと
今日も来ない子どもを待ってい ....
白くてぼんやりしている一日
読みかけの本は表紙から冷えていく
犬はどこどこ毛を生え換わらせるから
死んで右往左往している夏の毛を集めて
新しい子犬として
毛糸玉に魂を吹きいれる魔法の息を
 ....
東の国の光が
樹々のさやさやに濾過されて
薄いカーテンにまるく形作られる

あれらは宇宙から帰ってきた魂
風が吹くたび
わずらいから放たれて踊ってみせる

おばあちゃんのことで覚えてい ....
何かおかしいと思うことのひとつは
庭の紫陽花のことだった
八月を迎えても その子たちは
いまだつぼみのままである
長すぎた梅雨のせいで
ウエハースはたちまち湿気り
紫陽花は許容力をはるかに ....
そらの珊瑚(880)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
夜更けの紙相撲文書グループ16/1/15
夢見る頃を過ぎても(短歌)文書グループ15/3/11
「詩人サークル 群青」課題作品文書グループ15/2/26
散文詩文書グループ13/6/11
落花流水(短歌)文書グループ13/1/12
ピープル オブ ファンタジア文書グループ12/10/1
投稿作品
赤いちりとり自由詩16*22/4/16 7:40
蝙蝠自由詩722/3/28 11:15
ささくれ自由詩12*22/3/26 9:59
つらつらつらら自由詩10*22/2/4 11:38
冬の花火自由詩222/1/8 11:26
冬の気圧配置は次第に緩むでしょう自由詩13*22/1/5 8:29
日常自由詩5*21/12/26 11:02
さみしさのトンネル自由詩13*21/12/24 12:03
パラフィン自由詩11*21/11/12 9:46
おくらの花自由詩16*21/11/6 9:18
茄子の花自由詩13*21/9/20 10:33
はなのあとさき俳句3*21/8/8 10:54
青空オルガン自由詩9*21/8/6 13:17
西瓜な季節自由詩9*21/8/2 10:17
氷流自由詩9*21/6/25 8:24
再会自由詩8*21/6/3 15:09
明日、世界が終わる散文(批評 ...421/4/27 12:53
対の羽自由詩16*21/4/17 13:28
そういえばキミはバイキンマンが好きだったよね自由詩9*21/2/15 15:14
あわい自由詩9*21/1/23 15:41
小箱自由詩721/1/7 15:16
シュガーレスの沼自由詩420/12/30 11:51
冬の散歩道自由詩720/12/29 11:58
冬猫自由詩4*20/12/12 21:55
夏をしまえば自由詩11*20/11/26 13:55
きのこは愛なんか歌わないけれど自由詩14*20/11/6 12:08
秋の窓は刹那自由詩10*20/11/6 10:25
暮れるのがはやい自由詩14*20/9/30 15:36
こもれび盆自由詩820/8/15 13:13
八月の紫陽花自由詩15*20/8/7 10:20

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