木立からうまれた
 馬たちは渓谷の水を
 跳ねて
 氷の粒のような
 白い息を吐いていた
 
 やさしさからうぶ声を
 晩秋の空にあげた
 手のひらの沈黙を
 コートのポケ ....
きみの温もりは
手のひらやことばの
うちから途切れずに
あふれて

くちずさむことを
許されないうたになって
胸にすいこまれる

なんてうたえば
伝わるだろう

温もりのう ....
月が欠けたら
雲におおわれて
まっくろな魚で
どこまでも

うみとそらの
境いを
今夜はなにと
呼べばいい

詩がこぼれたら
昨日につかまれて
おんなじ夜明けを
どこまで ....
しなやかに夜を駆ける月と
百面相のにらめっこ
笑ったら負けよ

弓張月はこぐま座を宙返りして
むすっと怒りんぼ
蜂の巣をつついた百面相は
さされて泣き顔に

困った顔でわたしは
金 ....
花がやわらかに息を吐き
夜明けの雨に凍えても
時は鳴りやまない

まつ毛のさきにふれる空は透けて
彗星のように種が流れていく

肌にすべる水滴にくちづけ
花びらを射ち落として
雨は死 ....
光が生まれるまえ、
闇は何という名前だったろう

かじかむ手でまだ温かい
鞄の中の弁当をさわると
始発の鉄道が低くささやく

それは母かもしれない
林檎の匂いのする空から
上手く云えないけれど
指さきに吸いつく 音符

バスケットガールの公園で
痩せていく木々を見ながら
つまさきに駆けぬける 車輪

ゲーテの詩集の栞紐が
二 ....
太陽が帆をあげて
シャツの内側の漁港を照らした

さえぎる言葉のない純粋な心臓を
切り裂くように 糸を縫うように 流れる光
家々の屋根が風に吹き飛ばされ
海辺のように 透き通る空に 舞 ....
 人に歓びを
 捧げたいと思う
 思わぬ悪意で
 出来ている
 このからだ
 皮膚の下で
 水滴に
 よく似ている
 骨が歌う
 ハッピー・バースデイ
 止まぬ時に
 生まれ ....
   
 捨てられた砂漠と 
 魚釣りにいく

 嵐が来たらしく
 船が幾つも 幾つも
 夏の虫のすべての死を
 並べたように
 海を埋めつくしている

 防波堤から
 最初の船 ....
 眼鏡を外して電車を降りた
 閉園のアナウンスが流れる頃に
 金属製のゲートをくぐった

 アスファルトの水滴が
 輪郭を失ったパレードのように
 商店の光を反射していた

 黄色 ....
古代 透(11)
タイトル カテゴリ Point 日付
河の匂い自由詩4*12/12/12 12:20
ハミング・バード自由詩3*12/11/22 17:32
うみとそら自由詩6*12/10/26 1:30
笑ったら負けよ自由詩112/4/20 0:31
アルストロメリア自由詩5*12/1/21 2:36
自由詩3*11/12/5 23:08
12自由詩2*11/12/3 2:16
風の生まれる自由詩5*11/11/12 23:12
一滴自由詩5*11/9/7 19:49
さかなつり自由詩5*11/9/6 13:15
パレード自由詩6*11/9/4 19:31

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