今日の月は綺麗だよ って
君がそう云うから
カーテン付けていないっぱなしの窓の外探すよ

今日の月は綺麗だよ って
云うっていうか、おうち帰ったの? のメールの返信


出窓そば ....
未明に。

未明に原発が白に包まれた。
霧なのか水蒸気なのか分からないけれど、幻想的で危うい光景だった。

夜はいつも湿度が高い。
太陽が奪わないぶん、ひたひたしている。
昼と同じに水分 ....
シャーレを開けたら 香りだけが入っていた
いくつも 閉じ込めたものがあったのに

落ち着いて
落ち着いて君を捜すと 君が書かれたものは要らないので殺していた
君を見付けたかった

毒があ ....
いやな雰囲気で目覚めるのはよくあることで
なんとなく被害者めいた気分で体を持ち上げる
騒々しい光が 厚いカーテンを押し退けようと疼いている
ぼんやりとそれを見て
胸のした揺れる 赤い実に気付い ....
しりしりと頬に 君からはぐれた氷の埃
ざわめいていたフレーデルが口を噤む
その間を抜け 濃紺の蜜に深く溺れる

針葉樹が冷淡に 自らを槍と仕立てる
芳醇にもたげようとする果実が 授業が始まる ....
ちりちり
群がる蟻を見ていた

君の落としたアイスクリーム
この道
向こうに ガソリンスタンド
青色の車ばかり入る
眩しさ

おとつい
おとついもそこで
空気がたわんでいて
喉 ....
脱脂綿を部屋中に拡げてわたしのベッド
塵にむせながら脚をばたつかせるわたしをやさしくくるむ脱脂綿

脱脂綿に染みるバルサミコ酢
大海原に放流されたドライフィグ

脱脂綿に腹の内を綴るインク ....
ゆうぐれを食む
四百の泡
無声音の多いスピーカーと
光沢のない爪の切れ端
みずさしに万年筆
薬瓶にクワガタソウ

柔らかなどぶのせせらぎ



羊が歩くゆめを ひととき

  ....
六月の空だったろう、と耳の後ろが云う
否 冬だったろう、ひんやりと肌が伝える

カルキ水に浮いていた


たちこめていたのか?
彼の頭頂部に咲きこぼれたという 青い花を思っていた
遠く ....
滴り落ちる鍾乳石の響きのように 光は触れ、惑わす
耳を澄まし気付くまえに 耳を澄ますよう気付かせる
それがやって来たとき 
わたしたちのつたないじゃれあいを
ペテュニアやら杏、ソシュールやらで ....
おまえ、
わたしたちはけっしていっしょには成れないね
いっしょにいることはできるのに
へんだね

いっそ外国へいってしまおうか、
いっそ、なんて云わなくとも
理由や意思や罪性なんてようい ....
せんせい、あのね。
かえりみちかたつむりをみつけたよ。いっぱいはくせんにいたよ。かたつむりはなんで、はくせんにいるんですか? でもうれしそうだったよ。でもみさちゃんにいっぱいなげられました。

 ....
夜が燻る
夜が放火する



わるいゆめ
ほんのすこし掠めた
ささくれが毛布にひっかかるような
ひっかかるようなきがして
指を舐める

夜が燻る
夜が放火する


にがい ....
くちなし色の便箋に書けば 口にせずとも想いがつたわる
そんな 企みたくなるいいつたえ
でもくちなしの花がどんなだったか
ずっと長いこと思い出せずにいる


いつかおまえに すきな花を問うた ....
あしおとは何処からもついて来ず
あしあとは干乾びて いくつか

{ルビ香蒲=がま}の揺れるが聞こえる気がするし
それが自らを抉り肉のはじけるが聞こえる
気がする

夏のそそり立つ轟音は  ....
夕凪は待つことを{ルビ已=や}めて 知らぬ場所へと流れた
てのひらにぬくくなる小石 解放すれば 水面を模した服を着て
しずかに転がる

濃紺と橙が補色を崩す
群閃光が雲に喰われてゆく

 ....
杠いうれ(16)
タイトル カテゴリ Point 日付
違う月を見てる、とか自由詩112/6/22 0:52
湿度計自由詩3*11/5/12 14:39
水以外自由詩310/1/13 15:46
赤の缶詰自由詩110/1/10 14:58
モランヤ自由詩110/1/7 17:21
バニラごっこ自由詩209/5/5 3:13
脱脂綿自由詩209/4/28 15:49
老人と詩と自由詩208/12/18 13:02
シュヴェーベ自由詩408/12/13 17:39
Übers Licht自由詩308/12/9 18:14
うのはなくたし自由詩3*08/4/30 3:22
せんせい、あのね。自由詩6*08/4/25 20:09
夜が燻る自由詩908/4/24 11:02
草の花自由詩6*08/4/17 18:01
ガーゼ自由詩208/4/16 18:31
Als du greintest,自由詩3+*08/4/15 1:59

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