さくらの花びらのしわを読もうとしても
他のことばかり考えてしまう
死んだ人の顔とか間違えたこととか
風が強すぎて星が何を言っているのかわからない
唇の開閉に合わせてうなずくだけで眼がうるむ
 ....
眠ってる間に
死ねたらいいのになと
寝る前に思う

そして目を閉じる
身体中の力を抜いて
ただただ眠る

別に何もしない
ただ死を願い
眠るだけ

もしもうまくいったなら
そ ....
身体に電流を流すかわりに
しびれるような音楽を流して

腕を流れる血液のかわりに
どばどばと音楽を流して

胸が張り裂けそうな孤独
その心臓の鼓動に重なるドラム

身体の中に抑えきれ ....
雲のネックレスが引きちぎれて
空から雨の粒が落ちてくる
地面にぶち当たり
次から次へはじけていく

鼻を空へ伸ばすゾウが
必死で鼻息を吹き出すけれど
ラッパのような高音は出ない
なし崩 ....
青い森の奥に眠る
一匹の小さな竜の子ども
丸まって寝息を立てている
起こしてはいけない
もし目が覚めてしまったら
森の葉がすべて赤くなり
地面から煙があがる
あちこちでパチパチ弾ける音が ....
中華そばが食べたい

鶏ガラスープにしょうゆ味
チャーシューは薄くてかためで一枚あれば上等
メンマはくたくたで噛むとじゅわっと濃い出汁
しゃきしゃきのネギが散らばっている

脂が透明 ....
※映画「君たちはどう生きるか」のネタバレがあります。また、映画を見ている前提で話を進めますので、見ていない人には意味がわからないかもしれません。


〇「君たちはどう生きるか」のわかりにくさ
 ....
星が降る夜もある
傘をさして歩いたら
星の熱でビニールが解けた
海にポタポタ落ちるたび
じゅうじゅう煙を上げている

雹もぼたぼた降ってきて
拾いあげて見てみたら
氷の球の真ん中に
 ....
目の前が
桜の花びらに
埋め尽くされていたとき
きれいだった

若葉がちらちら
顔を出して
蕊だけが残った枝は
好きになれなかった

春のはじめの
端っこの方だけ
少し彩っては ....
夜は眠れなくなってからが長い
静かに目を閉じて
体を横たえても
時間はなかなか進まない

音楽を聴いても
本を開いても
内容が入ってこない
撥水加工が文字をはじく

することがなく ....
 つぶれそうだった。押しつぶされそうだった。というより、とっくに潰れていた。ストレスに、悪意に、とらえどころのない未来の漠然とした不安に、狭い教室の中に押し込められて同じ空気を吸ったり吐いたりし続けて .... あたたかい光に包まれて
ボックス席が並ぶ窓際
レストランという故郷

ストローで吸う
上がってくる液体の
予感だけで

運ばれてくるハンバーグ
鉄板を弾ける油
小さな粒子になって
 ....
彼岸花の熱に服を焦がされ
黒と茶のまだらになった
最初は白いシャツだったのに
空は膨張し雲は引きちぎられていく

喉の奥がいがいがする
息も唾液も通らない
秘密の部屋で
黄色く発酵して ....
ノーアウト満塁のチャンスで
バッターがフライを打ち上げた
あーなんで打ち上げちゃうかな
ちょっと転がすだけでいいのに
次のバッターがセンター返しのタイムリーヒットを打った
よしっよしっ勝ち越 ....
心が動かなくなってしまった
写真も言葉もどれも同じ
自分がわざわざ用意しなくても
検索すれば
いくらでもある

ひりついた心を癒してくれた詩を
読み返してももう何も感じない
手触りやに ....
いろんな人がいる
美しい人、みにくい人
背が高い人、低い人
計算、暗記、読解の向き不向き
体臭の強い人、あまりない人
男の人、女の人
若い人、年老いた人
お金のある人、ない人
やさしい ....
風邪が流行っているらしい
風邪のことをほんとうに
知っているのは
誰だろう

風邪にかかった人がいる
症状にとても苦しんで
今は何とか治ったが
どうつらいかは知っている

医者とし ....
手のひらにすっぽり
おさまった石
しばらく握りしめていた
握るものがあるだけで
力をぐっと込められた

あなたに渡すと
温かいと言う
返してもらうと
たしかに温かい

わたしの手 ....
このまま寝ているうちに
死んでいたらいいのにな
苦しくも痛くもない死ならば最高だ
そうすればもう月曜日を耐えなくて済む

天井にはオレンジの小さな灯り
目を閉じて開けてを繰り返す
寝返り ....
流星の獲れる量が減ったらしい
もうあまり祈らなくなった
風も長くは続かない
息をするのが苦しい
湿った土のにおい
吐いた息はすぐに持ち去られる
誰かに踏まれて
ひしゃげたままの火曜日
 ....
今日もまた多くの感染者が出た
でもそれ以上にたくさんの
手を洗う人がいる
マスクをつける人がいる
人混みを避ける人がいる
報道はされない
数の把握もできない
ありがとう
きょうもまた無 ....
人のいないところを求めても
ひとりぼっちはさびしい
群れのはずれで草を食む
天の川のほとりでぽつり
輝く恒星の影にいる

自分では光れない
誰かの真似をしないと
なにもできない
誰か ....
木はおどる
きみたちは知らない
木の舞うすがたを

木はおどる
風に揺れるなんてもんじゃない
種から芽生えたそのときに
体をブンブンゆするのさ

枝が広がり
葉をのばし
おど ....
毎日つけているつがいのマスク
人間でいえばもう80歳くらいだろう
一日交代で洗っては干し洗っては干す
135回くらい洗っても毛羽立たない
どんどん肌になじんでいく
ほつれがないわけではない
 ....
長く続いていると永遠のものと思い込む
終わらないものなどないと知るとき
目の前のものがとても大切に思えるけれど
どれも散り際の薄闇にきらめいていて
何一つつかめないまま終わってしまうんだ
燃え盛る地獄の炎を反射するいくつものシャボン玉
カビが生えたどこにも行けない足の裏のやわらかさ
数千年前に作られた仏像の中の密室に閉じ込められた空気
排ガスの中の毒が憂鬱な日曜の日差しを浴びて
 ....
しあわせが雲のように
ふわふわと私の周りに漂っている
今しあわせの中にいるなと
気にしなければ
気づかないくらい何気なく

たぶんそのしあわせは
閉じ込めておくことはできなくて
いろん ....
こころは土ににている
人によってちがうけれど
すてきな人たちはふかふかで
たくさんの養分がある
種さえあれば芽を出して
大きいものや小さいもの
甘いもの苦いもの酸っぱいもの
何かが実 ....
とてもねむい
まぶたを閉じれば
くらいついている意識もはがれ
夜の底にしずんでしまうだろう

だがわたしはねない
だって金曜の夜だもん
たのしいことがたくさんある
まだまだいろんなこと ....
心の薄い皮を
細く削いで
お湯に浸して
柔らかくしたものを
ぐいぐい編んでいく
腰のあたりで
ミツバチが巣をつくり
ひそかに蜜をためている
肺の辺りに茎が伸び
小さな紡錘体のつぼ ....
木屋 亞万(531)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
象徴は雨文書グループ09/2/9
ミソひと文字文書グループ08/6/22
投稿作品
さくらの花びら自由詩4*24/3/21 0:38
希死自由詩1*24/2/18 22:29
音楽を流して自由詩1*23/12/8 23:10
白鍵自由詩3*23/11/26 0:40
青い森自由詩2*23/11/11 23:46
中華そば自由詩4*23/10/9 23:33
「君たちはどう生きるか」を自分はどう見るか散文(批評 ...3*23/8/4 22:35
星が降る自由詩3*23/7/28 23:37
chill自由詩4*23/4/16 0:23
夜長自由詩3*23/4/7 23:20
自分語り散文(批評 ...3*23/3/12 2:09
ロイヤル自由詩2*22/11/27 1:04
自由詩4*22/10/8 23:22
観戦自由詩022/6/25 5:13
草臥自由詩1*22/4/17 21:50
自分を説得する自由詩022/2/20 3:57
風邪自由詩1*22/1/29 23:14
手のひらの石自由詩4*21/12/21 21:40
日曜の断末魔自由詩1*21/12/12 23:52
ほし自由詩021/9/20 2:16
手を洗う人自由詩1*21/8/28 22:34
corona自由詩2*21/1/31 9:47
木はおどる自由詩3*20/8/13 22:20
マスク自由詩1*20/4/20 23:29
time to say自由詩0*19/10/13 1:32
映像写真自由詩019/4/28 13:57
しあわせ自由詩2*18/4/22 10:18
拝啓どろの沼より自由詩3*17/11/25 22:52
金曜の夜自由詩017/10/20 22:48
simile自由詩2*17/9/23 9:46

Home 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 
0.11sec.