どかどかうるさいロックンロールバンドが
多摩蘭坂を越えて町にやってきたあの日から
僕の心に響き続けてきたスローバラードが
ついさっき聞こえなくなった

どうしたんだ
機嫌直して
いつ ....
みさいる
飛んでく
どこまでも

みさいる
飛んでく
いつまでも

爆発なんて
忘れたよ

墜落なんて
知らないよ

みさいる
飛んでく
いくらでも

みさいる ....
こんな所にはもういられない
そう言って父と母は銀河系から出ていった

僕らの親の世代までは
宇宙へ飛び出せる羽根があった
僕らは二メートルも飛べない足で
壊れてゆく地球を踏みしめている ....
吸い込まれてしまいそうな青だ
水になって垂れてきそうな空だ
まばたきの間にも雲の形は変わる
海が青いのは海底に空があるからだ

知らないことについて話せないから
知っていることしか語っ ....
 書くことが多すぎて彼女は手帳を黒く塗り潰してしまっている。目の前で起きていることを記さなければならないという気持ちに突き動かされて、あるがままをあるがままに写し取ろうとし過ぎている。対象に目を奪 .... なだらかな坂道を
だらだらと歩いている
なさけない言葉たちを
だらしなく発しながら
なまめかしい誘惑には
よだれを垂らしている

なよやかにしおれているふりをしている
なんとなく日 ....
ひからびたからだと
ひらかれたからだとで
だらだらと抱き合ううちに
汗ではないものが流れ出た
かなしくはないのだが
うれしくもないままに
むなしさだけがわいてきた
背中で虫がつぶれて ....
私の住んでいる部屋の窓にはガラスがなく
ところどころ破れたカーテンと蜘蛛の巣が同居している
それらをすり抜けて虫が来る
上半身裸で寝ている私を食いに来る
寝返りで死んでしまう間抜けな奴もい ....
まだ
夜は
寒いので
海岸に落ちていた生乾きのコートを
拾って羽織った

シャツも落ちていたが濡れていて
靴も落ちていたがサイズが合わず
人間の男も落ちていたが
触るとぬらぬらし ....
火のみ
火のまま
始原と同じ勢いで
燃え続けている

口は知ることにより変わってしまったから
音の響きに意味を持たせてしまう
愛しさも
熱情も
それらしくまとわせてしまう

無邪 ....
人がいた
音を立てていた
枯れて崩れる葉を踏み
枝を折って歩いていた
いらつく声を
口から発していた

連中は音を隠さない
俺を呼んでもいいのだろう
喰われても構わないのだろう
 ....
――在りすぎる
――喰い過ぎた
そう言い残して
古い{ルビ貘=ばく}の最後の一頭は
{ルビ爆=は}ぜた

現実の中で生きる
新しい貘たちは
限りある食物を摂り
日々穏やかに過ごしてい ....
曇天
どんてん
どんどん
ててん

くもり
ぐもり
空そら
そらら

曇天
どんてん
どどどん
てててん

くもりぐもり
もぐらもぐり
もぐれぐもり
ぐらりぐら ....
毎日の洗い物で荒れる指だが
こまめにハンドクリームを塗り込むことで
この冬はヒビやあかぎれに悩まされなかった

昔から
荒れる 治す
を繰り返してきたことで
指紋はほとんどなくなっており ....
乾いた音
とは何か
湿った音
について
考えてみたこともない
のに
乾いた音

銃声を
安易に表して
それで
銃弾が撃ち出されたことを
描写できたと思って
いるわけだ
 ....
ライト
ペンライト
レフト
ライムライト
ナイト
テント
ダイナマイト
嘔吐

アルバイト
コート
事故
センターゴロ
ダイナマイト
デート

ライトライト

 ....
街の中央にあるパリサイ広場にて
毎週水曜日の夜に
聞く者を癒してくれたり昂奮させたり
時には恋をさせるような歌を歌う女がいると
狭い我が家に住み着いている居候が言うので
気晴らしに見に行くこ ....
 寝る前に、一日が終わる前に、鳥が死ぬ話を書こうとしたが、鳥の死ぬ姿を見たことがないので手が止まった。鳥の死体はいくらでも見てきたが、鳥の死ぬ瞬間は見たことがない。いつでもどこでも鳥は死に続けているの ....          (2007・9・19)

突風に流されてきた雷がうちの庭に落ちた
しばらく前から庭に住み着いていた、
愛らしい雨蛙が焦げてしまった
咲き始めていた萩の花も散ってしまった
 ....
 「十一月」


数減るも巨大化していく女郎蜘蛛

雨風に吹かれ散ってく夢ゆめよ

あっという間に魔に墜ちる少年期

ちりとりに飛びこんでくる今日の死蛾

焼かぬのに灰にまみれて ....
その1
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=120607
その2
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=130161 ....
亡くなった祖父宅で書庫の整理をしていると
奥にある一番古い棚に
ザムザ虫が大発生しているのを見つけた
古い貴重な文献があらかた喰われていた
あんまり頭にきたものだから
スリッパが汚れるの ....
「渋いんだろ」
「全然渋くない」
「見た目まだ青いもん」
「人を見た目で判断しない」
「柿だし」
「渋くないから」
「渋くて渋くてたまりませんていう顔してるし」
「向かいの奥さんも渋 ....
  *注
  http://www.quilala.jp/prize.html
  で読める掌編小説『鳥男』のスピンオフ詩作品


鳥女は鳥であるから空を飛び
女であるから山に降り
やっ ....
ドガは悩んでいた
 俺も詩ぃ書いてみたいんやけど
 なんかこう、湧いてけえへん
 インスピレーションっちゅうのかな、ようわかれへん
と、マラルメに相談した

マラルメはなめらかに答えた
 ....
君は僕の貸した小説
『楢山節考』
『田紳有楽・空気頭』
『北回帰線』を
一ページも読もうとはしなかったね

君は僕の貸した詩集と句集
『山之口貘詩集』
『夜のミッキー・マウス』
『西 ....
ふうせんガムを背につけて
うそつきが空を飛んでいく
「らいねんまでには戻ります」
いいから降りて働けよ
洒落たカフェを借り切って開かれた
長い付き合いになる友人の結婚披露宴の席で
禁酒中のチナスキーは溜め息をついている
生ハムをかじっては水を飲む

祝辞を読んだ
新郎との付き合いの年数を数え ....
{引用=
 ヒトラーの「わが闘争」を
 いつもポケットに入れていた
 まるでサリンジャーの小説の
 脇役のようなH君から
 十二年ぶりに電話がきたのは
 二年まえのことだった}
 何気な ....
カルムは眼を疑った
森の小川で水を汲む少女の姿は
自分たちの部族の女と変わらぬ人間に見えた
いや、より美しく見えた
乳房を隠すように上半身に布を巻いていたが
そこにまた魅力を感じた
( ....
楢山孝介(72)
タイトル カテゴリ Point 日付
スローバラードが聞こえなくなった夜に自由詩4*09/5/3 0:16
みさいる自由詩2+09/3/31 22:18
さよならユニバース自由詩5*08/12/28 10:54
自由詩208/11/29 9:34
自由詩25*08/11/15 12:34
なきながらなきがらになりながら自由詩9*08/9/14 12:23
むなしき熱帯自由詩208/8/16 10:49
ゆれる自由詩2*08/7/15 22:59
生乾き自由詩5*08/7/4 11:20
たえがたくうたわれたうた自由詩4*08/6/17 1:10
人音(ひとおと)自由詩408/5/5 12:47
自由詩308/4/24 10:56
曇天自由詩3*08/4/16 0:43
自由詩5*08/4/1 23:11
歌声と銃声自由詩408/2/3 13:29
ライトライト自由詩408/1/14 14:14
パリサイ広場にて自由詩2*07/12/30 11:29
鳥が死なない自由詩907/12/18 23:25
風雷自由詩507/12/8 20:28
十一月俳句4*07/12/1 11:25
長城計画 3自由詩207/11/18 13:22
書庫で踏む自由詩207/11/10 11:21
柿を食べる未詩・独白2+*07/10/29 22:40
鳥女自由詩607/10/21 11:18
ドガガガガ自由詩2*07/10/14 2:05
読書と恋愛自由詩6*07/10/3 10:26
風来自由詩4*07/9/28 10:33
いいから酔えよ、チナスキー自由詩7*07/9/14 11:25
ZUZUさん『鳥人間コンテスト』を読む散文(批評 ...8*07/9/6 2:16
少女と石槍自由詩407/9/5 10:41

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