一人もの思う夜
静寂(しじま)の囁くメッセージ

──すかぼろーふぇあを聴くがいい

曲のイメージとは裏腹に
日々の場面の転調は
暗闇に光の射すような
小さな変化の兆しらしい

そ ....
日々働いていた頃は
退勤のタイムカードを、押したくて
嘆いていた
「早く日がくれないかなぁ・・」

時は流れーー退職後
障がいのある息子につきっきりの夏休みは
つい愚痴ってしまう
「早 ....
昼からにくを食う
ゆずサワーもいっぱい、飲む
今夜は人々と会うのに
この口臭は、どうしよう
あっそうだ
忘れもののガムがあったな
リュックのポケットから取り出して
口の中へ放りこみ、
 ....
──献杯の酒を飲む夜に

  * * * 

高校三年生の頃、僕は恋をしていた
あんなにも好きだった娘(こ)に
教室で話しかけることもできず
震えながら・・・告白しようとした
夏 ....
「この道を生きる」
そう思い
自分の役を演じた
一日の終わり

「生きるって素晴らしい・・・」
そう呟いた
在りし日のあなたの声を思い出し
川の向こうの夕空を見る

何処からか風は ....
俺が一番、
と密かに燃えているうちに
末広がりな八の視界は開けてきて
幾度もの挫折の後に
二(ふ)っ と力の抜けた
日の夜
九人の侍が和になって
キャッチボールをする夢の中

ボール ....
九月十八日は僕等の結婚記念日で
八月十八日はダウン症児の息子が
世に産声をあげた日で、妻も私も
それぞれに心震わせ、涙を流した。

NICUのカプセルの中で、小さな小さな
呼吸を看護師さん ....
少し、日常を離れた
千葉の港のポートタワー
展望階に近い小さなレストランで
遠いビル群のシルエットに沈む
夕陽をみつめ、ワインを一口

やがて
鼓動の小波は・・・聴こえ始め
いつもより ....
いくつもの
顔のない詩が
この胸を通り過ぎてゆく、
新宿の夜。
今日で高校の
卒業式から三十年

あれから
僕は詩を書き始めた

思春期に砕けた
{ルビ硝子=がらす}の日記は
時を経て夕陽色に染まった

あのひとは今、元気だろうか 


 ....
いつのまにか日が暮れた帰り道
ダウン症をもつ周を乗せた
デイサービスの送迎車の到着に
間に合うよう、早足で歩く 

前方には、小刻みに歩く青年が
重そうなビニール袋をぶら下げて
ゆっくり ....
人生は
あっ
という間の
紋次郎
黄色い花が独り
ふるえていました

立ちどまり
ほんのひと時、見ていたら

雪はぱらぱら
舞い始め

僕に笑いかけたのでした
自らを
奮い立たせる
{ルビ焔=ほむら}を胸に
我が道を往く 
月に一度、妻は数日家を空ける
( 詩人の夫とダウンちゃんの息子の
世話してるゆえに、それぐらいは
当たり前田のあたりきしゃりき)

その数日の間は
息子を学校へ送り出した日中に
寿司屋へ ....
日々反省のある僕がもし
誰かにささやかな親切をできるなら
ほんの少しだけ、世は明るくなるかもしれない。

友よ、願わくば
よき連鎖を―――。
あなたの
存在自体が

僕の
心臓です 
よか世には
まだまにあうのでは
なかろうか
友よ、風の声を聴け 
そして今日も茅ヶ崎
体の無い
在りし日の想い人と
ひや酒を呑む 
歌唄いの友達に
茅ヶ崎の寿司屋から
LINEを送った

「ネタの並びが
顔のようである」

今頃君は
八王子のライブハウスで
ギターを掻き鳴らしているだろう

僕がそっちにいなく ....
たまにはかわいい息子を、本気で叱る 
ひと握りの愛情をもって(目を見つめ)
げんこを、こつん

息子は唇かみしめて
何かをこらえ
涙ぐむ

明日こそは、抱きしめよう
親父の本音と
 ....
かったるい夜道の翌朝
なぜだか僕は
丘へ上った

寝っ転がった目に映る
冗談みたいな空の海を
ぽつねんと独り泳ぐ雲

僕と目が合った
しょぼくれた天気の日の夜
あなたの形見のらんぷと語らえば
摩訶不思議
夜明け前の夢にでる 
助平はやらしい
やらしいは性
性は男女
男女は愛
愛はベイビー

(我が家には二人の親バカと
 ダウンちゃんが笑ってる )

ベイビーは今宵も寝台にて 
すやすや 
すやや
 ....
ダウン症児の息子をどっこいしょ、と
支援学校のバスに乗せてから
家に戻り、テレビを点ける

連続テレビ小説『舞いあがれ!』で
ナガサクヒロミが娘を想う名演に
涙ぐみ・・妻に言う

「こ ....
誰も代わることのできない人よ
ルーレットはすでに回っています
ざぶん! と酒樽に入ったあの日の飲み会のように
決意をもって、ゆきませう

もう迷わない
もう退がらない (如何なる日にも肩を ....
スマホのやり過ぎで
疲れ、腹も減り 
近所の和菓子屋へ
おむすびを買いにいった 

店の奥に主人の大きな背中が見え 
古い機械が
ぎったん、ばったん、餅をつき 
合い間に主人が、手でこ ....
昨夜の味噌汁には
黒い目の海老と、刻んだねぎと
白いハツが入っており

骨を気にして{ルビ喰=は}んでいたら
私の前歯の隙間から
か細い小骨が、一本とび出した

指でつまんで卓に置き
 ....
久々に寿司屋の暖簾をくぐり
独り腰を下ろす

机にはコロナ対策に透明の板が立ち
私の人影がうつる

お猪口に注いだ冷や酒が進み
硝子の徳利も軽くなる頃・・・
影がそっと囁いた
──お ....
ジョギングで夕暮れの道をゆく 
いつもと同じ川沿いの道

途中で道をそれて
無心のままに
坂を上っては下りているうちに・・・
ふと、見知らぬ場所へ出て
立ち止まる  

そこはどうや ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
epiphany自由詩223/11/19 12:26
風の吹く日々自由詩1+23/11/19 12:25
酔っぱらいおぢさんの呟き自由詩123/11/19 12:24
……とある蛙さんへの手紙自由詩1123/11/1 0:41
風の唄自由詩123/7/17 12:02
一八ニ九自由詩123/7/17 12:01
あにばーさりー自由詩123/7/17 11:59
望遠の日々自由詩223/4/21 17:13
新宿ダグにて自由詩023/4/21 17:10
金色の時計を投げた日自由詩023/4/17 20:04
雨唄の夜自由詩223/4/17 20:00
わいん自由詩123/2/28 1:30
雪の夜自由詩323/2/28 1:18
焔の道自由詩323/2/20 19:21
寿司日記自由詩023/2/15 23:28
風の便り自由詩023/2/15 23:21
手紙自由詩3*23/2/15 23:20
風の伝言自由詩223/2/11 17:19
月の宵自由詩123/2/11 17:18
寿司屋にて自由詩023/2/11 17:16
親心自由詩222/12/24 0:09
空の友達自由詩122/12/22 14:48
不思議な糸自由詩122/12/22 14:46
あんたれす自由詩022/12/22 14:42
将来の夢自由詩522/12/2 12:58
ざぶん自由詩122/12/2 12:49
昔の音自由詩322/11/24 1:46
ハツのいのち自由詩2*22/11/19 16:06
写楽自由詩122/9/13 16:15
ランナーズハイ自由詩122/9/5 20:39

Home 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 
0.11sec.