掠れた日差しに 傘をすぼめて
 貴女の唇にすわりたい
 悲しく 梅の花が路を塗る
 あさの雨の うその雨の
 やがて間遠な 瞼
 窓際にいて
 日差しが区切れていく
 とどめられた 文章
 なにか 約束のようなものを
 忘れるときのにおいが この世界
 網膜の裏の貝殻
 打ち寄せるパロールの波面にぬれ……
 一つずつ 拾いながら 麦藁帽の
 汗ばんだ夏の紐を結いなおす
 顔だ それは 男たちの
  みぞれ雪が 都市に注いで
  ごくすみやかに歌となる
  その疾さで のどがかわいていく
  煙草を 二口 吸う
  毛皮のコートを着て出かける
 みずからというものの
 庭先に 縁台をひっぱりだしてきて
 そんなふうな具合に 眠ることができた
 一匹の猫が日なたの埃のなかをこちらに向かってくる
 あなたを愛することができた よ ....
  肩甲骨
  と彼は呟いたが
  そこから話はどこへも進まず
  木管の音が間抜けに溢れる
  さっき沸かした湯が
  冷めていく
  嗚呼、
  髭。
  なでられ なめられ
  めでられ めくられて
  いるときに また
  硬く 近く 拒むのだった
  キッチンで
  蛇口で
  ぼくじしんのようなあらわれと
  いっぽんの ....
  商店街の切れこみを
  うごく
  標識を呑みこみ、
  標識に呑みこまれていく
  警告する権威が さっきまで
  目の端に有ったことも
  呑みこみ、呑みこまれて
  ジ ....
  目の淵に
  暗やみの流砂が
  付着してい、あおいのか
  しろいのか 不確か

  数値のかたちを
  一息に呑みこんで
  膝のあたりに 浮きたつ
  いいかげんな  ....
  ねこが
  しみこんでいる路地
  空がきれいだ
  電線が微かにたわんで
  ビルのむこうまでみえる
  わたしたちが死んでいくのがみえる
  くろい函に
  颱風がつまっている
  ガラス製の 記憶より小さな、
  そのよるがふるえるのをわかると
  これは宝ものなのかもしれないとおもう
  血液の、くろい川の
   ....
  捜すこと
  幻視すること
  かんがえることが
  小虫の群れになり壁を走る
  たんに叫びだった声に甦れよ、
  すべてのおちぶれた動詞たちよ
  学生寮のそばに
  ワゴンRが停めてあって
  夜 街灯のしたで光っている
  そう 言う
  架空の口蓋や歯茎などで

  蕎麦を手繰りながら
  昔おそわった担任の口癖を ....
  たちどまり、
  あなたは釣りあう

  ことばのなかに敷かれた
  石畳のみちの 光とかげの
  汀にたって

  誰のものともしれない、
  ひとつきりの幸せのように
 ....
  素数をたべる男は
  きのう 遺体になった

  電球がつるつるとともり
  部屋は 笑えるまるみを孕んだ

  聖なるものは うたわれながら
  おおきな 蛇の 腹のなかだ ....
  とても直截に
  野球ボールが投げられ
  真ひるの池に落ちた


  うつくしい詞は
  もちいられないまま
  春の つめたい椅子のしたで


  土埃がひかる 公 ....
  おちている光を
  うさぎだと思った

  そうきみに言った
  商店街の 黴だらけの夜
  ぼくたちはネズミだった

  もうぼくをすきじゃないと
  うちあける瞳を ぬ ....
  章魚の 小道に
  イデアの 紙吹雪く

  わたしは歯
  あなたは顎
  おおいかぶさる
  ぬるい 数

  おそい 雪
  わたしは峠
  あなたは蹄
  云 ....
  順々に
  液状の名詞が
  格子に垂れてしたたる
  世界のおおよその大きさが
  張られている 複数の 頭蓋
  額縁にぶつかり 欠けてしまった
  顔のような 意味

 ....
  青空はずっと振るえている
  時が かげになって路にこぼれてくる
  壁のうえにそっと 黒い木が枝葉を撒く

  思うということ
  街にいくつも街を重ねていくこと
  あなた ....
  見えないが それは
  熱の蛇が 這っているのだ
  かんぜんな 石を湿らせ
  なにもかもが黙る

  
  熱の蛇が
  這っていくのが見えない
  街はいつも 叫んで ....
  瞳からのぞくと
  馬たちが みえた


  日が薄ぼやけ
  あたりは冷えて
  草の においだけが
  ほそながくかがやいていき
  わたしたちの
  愛はきえた
 ....
  夕方になる
  しずかになる
  水をのむ


  みえているものを
  いま 思い出している
  喉の奥で きれぎれに疼く
  石のシルエット
  それは 似ている
 ....
  波が
  たちあらわれる
  形たちが 昏ませる


  黄色いセーターの
  喜劇的なふくらみ
  勇敢な笑い


  あの時の光
  花弁がひらくように
  ゆ ....
  擦られた マッチ
  よる 路地のしかくい
  たくさんの 白い足もと
  物がたる言葉が
  網膜に掛かる
  引き攣れる
  句読点
 菜の花を食べて
 咳きこんだ


 あの日の熱は
 そのあたりに置いてある
 曇り硝子
 ロー・テーブル


 けれども 一体どこなのだろう
 ぼくはきみを見たことがある
 ....
  東京
  透けた卵管が
  標識のたかさに浮いて
  われらを 孕もうとする

  香港
  銃声のようにみじかく
  中毒のようにながい
  発狂が四角に建つ

   ....
  せまい
  ことばをつなげた
  愛らしきものの
  馬鹿らしきものの
  井の頭公園


  きみからの
  電話だけまっていた
  かなしさの
  退屈しのぎの
 ....
  恋人たちは
  ひと夜きりの雨だれ
  むなしいヘッド・ライト


  路上で きたない髭の男が
  犬のように愛をうたっている
  さわがしい言葉と いつか記憶に
  変 ....
  波間で
  花びらを
  持とうとする
  すごい 忘却の速さで


  水のように
  貴方の部屋にいた
  そのことのすべてを
  分かろうとするけれど
  とても ....
草野春心(1107)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
短詩集文書グループ22/2/19
春心恋歌文書グループ22/1/29
コラージュ×4!文書グループ14/4/3
詩の磁場文書グループ12/7/21
太陽文書グループ11/3/22
都市風景文書グループ11/3/22
投稿作品
唇と瞼自由詩322/7/2 12:18
文章自由詩322/6/25 9:08
貝殻自由詩122/6/12 0:03
みぞれ雪自由詩222/6/4 14:10
存在と縁台自由詩422/5/27 17:43
自由詩222/3/2 22:55
きえている自由詩222/3/2 22:52
歩行の滑稽自由詩122/3/2 22:51
目の淵自由詩322/2/23 21:02
ねこ自由詩9*22/2/23 21:01
颱風自由詩922/2/15 19:06
虫、動詞たち自由詩522/2/15 19:04
言う自由詩322/2/15 19:01
自由詩222/1/29 21:05
聖なるもの自由詩222/1/29 21:04
うつし絵自由詩222/1/29 20:08
うさぎ[group]自由詩322/1/2 21:44
章魚自由詩321/9/16 23:41
格子自由詩521/9/16 23:40
ある隠喩自由詩321/9/16 23:38
自由詩621/3/7 22:57
馬たち[group]自由詩421/3/7 22:54
シルエット自由詩420/6/12 21:14
あの時の光自由詩220/5/26 17:16
酔客自由詩220/5/26 17:14
菜の花自由詩620/5/17 10:50
都市について[group]自由詩420/2/16 19:51
Blues自由詩120/2/16 19:50
恋人たち自由詩020/2/16 19:49
波間へ[group]自由詩1020/1/26 23:22

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