会えるかな会えるかなと思っていたら
本当に会ってしまった
雨があがりかける夕暮れに
核心に踏み込まれる前に
....
音の水位があがっていく。
沈黙への恐れから振り上げられているのだろうか。
一定の間隔をもって振り上げられるばちは、まわりの闇を一層深くする。
幾度も言葉を変えて繰り返される歌詞も。
僕の頭はた ....
「信じるってことに結構もちょっともないと思うよ。」
まじりっけのない水のような一言を
就業時間にもかかわらず
惜しげもなく与えられる。
桜の夜に捨てたはずの彼に。
....
この胸に描かれるのはただのイメージ
先細りのことばで色を重ね
彼方の胸に届くイメージが一番真実に近い空
まばゆい日差しをだっこする ....
いらないとはもちろん違う
優柔不断以前の問題で
ここにいつづける
確証もないまま
どうやって
大きな勾玉を
....
財布は此処に置いていく
膨らみのぶんだけ誇示された
インクが遺失物と化すには
何年のときが必要なのだろう
ただ手を置けばいいさ
....
われた
きみのことまでは
かかれていなかった
あじのよめないレシピ
あおいほのおが
だきすくった
たにんじゃないからの
ひとこえで
とじられ ....
「嗚呼、わたしがこんなにぼんやりしていても
世界はちゃんと走り続けている」
と
こうもり傘下の首都で
何人の徹夜組が
胸を撫で下ろしていることだろう
....
「嗚呼、わたしがこんなにぼんやりしていても
世界はちゃんと走り続けている」
と
こうもり傘下の首都で
何人の徹夜組が
胸を撫で下ろしていることだろう
....
嘘
デマカセ
ときどき真実
そのクチビルからはなたれた
限りあることばたち
はやく、はやく
暮れゆく空のグラデーションに染まりに
....
間違えちゃった
青信号だけが「行け」じゃない
黄信号も「速やかに行け」
行っちゃったよ
168号線は
暴力的にでも隠したいらしい
川と海の境目を
等間隔でながれる
トンネルライトをカウントしながら
想い描く名前のない河口
対岸ものぞめないみ ....
両手に降りしきるパズル
ひとつひとつの破片にふれる隙も
与えてもらえない大手町の足枷
待ってよ、いまこの目で見たのに
落ちてしまえば影さえ残さぬプリズム
違う ....
は
起き抜けの縮んだ体躯を
一瞬でもどします
あてがはずれた天気予報
容赦なく叩きつける時雨
貼りついてべたべたしてぬぐいたくて
一刻もはやく此処か ....
日が陰った
濃く煮出した8月の影は
ゆるゆるとアスファルトに滲んだまま
吸い込まれていく
確かに目に映ったであろう
焦がした明後日の原風景
....
耳たぶまで染めあげたのは
「今日のおすすめ」とテキスト、それだけ
覆われた後頭部の絶壁を抱き止める
早熟なフローリング
地の底から湧き上がる寛容な雑音は
....
こきざみにふるえるたんしん
みぎにもひだりにも
ふれはばをのこせないあかねいろしんどろーむ
なんだかできすぎちゃってつまらない
かいとうをこ ....
ひらけドアでひとりでに落下
馴れ合いオーダー
押し押される関係なら
命令権者より淀みなく応えられたかな、君
もたれたいならどうぞ?
かしげた嘘でも頷ける程度の表面積で ....
ガンガンガン
バットで
芝生を叩き割って
「芝生が死んだよぉ」と
泣き叫ぶ子供とさして変わらない
今日のわたし
じゃ、どこから修正をかければよかった?
それす ....
全身麻酔の眠りから覚めた
しゃがれ声のひきがえる
断層状の唇を
たどる水滴
ごっくんという
喉のリズムごと臓物に落ちたストーン
エコーに共鳴して
震えだしたこころのひだ
....
呼吸を止めるまでの勇気はない
それでも清水の舞台から飛び降りる心持ちで
まずは考えることをやめてみたあっし
耳がたまって
喉がつかえて
頬がはりつくすかわりに
ルートを逸れた
紀 ....
心臓からうえの借りものの口角
心臓からしたのモサモサのケダモノ
アンバランスになりたくはないから
小さじ一杯の興奮を背に
何百枚もの可能性を押し続ける
ジッパーのかかった唇
人差し ....
僕が旅に出る理由は
1の僕の最後の抵抗
会わなくて済むこともできたのかもしれない
少なくとも
文字で僕をつたえることはできるって
そう信じていたから
何千字を送信することも ....
内側から鍵をかけ
それでも
飽き足らず
爪が白くなるまで
ドアを押さえていたね
梅雨目前の
予行練習の小雨にでも
混じってくれと願った
指先の震えが
どうしてか
あなたの仮 ....
0.08sec.