ひっそりと沼地のほとりにしっとりと
薄青色の忘れ物

Vergiss−mein−nicht!

人知れず咲く一輪に
ふっつり切れた魂一つ

Vergiss−mein−nicht!

 ....
東京タワーに陽が刺さる時分に煌々と輝く
窓から漏れる明かり 色とりどりの街灯 魅惑のネオン
徹底的に破壊的に光の砲撃は闇に報復する
茜色の夕雲はつかの間の闇の扉であった
それは遠い遠い昔話
 ....
手を広げ縦に横に半径1メートルに満たない円を描く
そうして切り取った球状の世界に籠る
眺める世界は全てが偽りでありながらディズニーランドほどには裏切らない
其処は全てが嘘だけれども 此処は絶妙な ....
発せよ記せよ ことば ことば ことば
口唇のぬめりを 指先のしなりを 以って

意識の解体が世界を懐胎し 生れ落ちた ことば

語れよ残せよ ことば ことば ことば
眼球の視矢を 土踏まず ....
陽の光指のフレームに切り取ると世界は消えて残る面影

携帯を開いては閉じリズム取り鳴らない音に膝が震える

夜道さえ静かならざる都市だからせめて黙って紫煙燻らせ

向こう側テレビに映る鏡像 ....
空が裂けた日 しょうがないので仮縫いをしておいた
そのままでは不恰好なので しょうがないので眼帯を被せてみた
パッチワークの空は化膿していた
ちょっとだけ 芯があった

ところで

空が ....
曇り翳り 月隠れ
両の手を高く掲げ仰ぎ見る
しんとした静けさの虚ろに
刻みゆく水時計
鳩羽色に染まりし夢現は
深く 深く 沈みゆき
刻まれるリズムが ピヤノの黒鍵へと重ねられ  ....
「ここにしなさい」
「そこにします」
「あそこにいなさい」

いつしか指定され 落ち着いて 過去になる

偉大な恐竜も
壮大な樹林も
決まった層からしか出てこない

そう そこが過 ....
秋雨というのはひどく冷たく
(ほんのりと金木犀の匂いがして)
ちょっと生っぽい
(フレッシュではなく、賞味期限切れの刺身のアレ)
トイレ、みたい
(芳香剤の匂いは金木犀らしいですよ ....
午前零時のもやもや月明かりの先に
お猿のシンバル リズムを刻む

 シャンシャン

  シャンシャン

少しずつ大きく
風にそよぐ待宵草も
霞んで遠く消え隠れ

 ジャンジャン
 ....
夏の蒼が秋の青へ

パステル絵の具を撒いたような
明るく ちょっとポップな


広げたフトンで
大きく深呼吸
秋の匂いはちょっと土くさい

まだ緑だか茶色だかわからない
隣の家 ....
どうやらここがとてもとても明日で
透明なはずのここは鈍く曇っていて
上を見上げればちょっと青みがかっていて
(水槽だよな)
なんて
ぼんやりしてみたりもする
息苦しいのはきっと酸欠だから
 ....
世界でもっとも無力でもっとも鋭利な武器
言葉をもって 詩をもって
何をする

綺麗事を書き連ねるつもりもなく
シャンデリアは宮殿の奥へと封印し
救済したいとか共感してもらいたいと ....
無機質な温もり
の夏が終わる

今日も何もなく過ぎていき
変わることなく壊れていく一日

鉄とガラスとコンクリート
で出来た城が崩れる

今日も何もなく過ぎていき
代 ....
消費のエスカレーションが混沌とする夜
言葉もまた例外ではなく
鋳型で生産され無闇に消費され
資本主義万歳 であるような夜
漁火を灯し 沖合いへ
地図もなくあても無く探す
群れ集まる言葉を捜 ....
色づく
  赤に
   茶に
    橙に
  モ
 ザ
      イ
    ク
 のように

やがて散りゆくことを知らず
絶える直前が美しいのだと
旅人は言ったとか言わな ....
少女である
ということが特権であった時代は過ぎ
少年である
ということが特権であった時代はもっと前に過ぎ
いまや
少女でもあり少年でもある
ということが特権であるかどうかも怪し ....
 重そうな黒い カバン

文字だらけの書類
読みかけの本
 手垢塗れの手帳

着晒しのスーツに
 疲れた革靴

 前に立つ凛とした女性の
黒髪の戯れ

ガタンゴ ....
寄せて返す
大きくも緩やかな

原初小さきモノを抱きつつ
命を生み出す揺り籠

寄せて返す
  ゆ〜
    ら
     ゆ
    ら

青く豊穣にして  ....
明日
というのは
明るい日
らしい
少年は
少女を追いかけて
過ぎ去っていく
少女はいつまでも
少年よりも早く
大人で
少年は
たぶんずっと子どもで
だから
少年は夏の日のま ....
私は誰でしょう
こう問いかけて、応えてくれる人がいるだろうか
自問自答は風邪薬に似てあまり効き目がないのだが
半分は優しさで出来ているのでしょうがない(自分への)

どうにも居場所が無いよう ....
暖かくなると頭に何か湧いている人が出る
とはよく聞くが
暑くなると いっそう頭が釜茹でで
どうでもいいようなことばかりを考える
むしろ思考停止
蛙の輪唱 蝉の輪唱
いや 蝉は臨床
釜茹で ....
雨も夜明けも飽きてしまった
漫然と死にゆくために
生きているわけではないはずなのに
すっかり感覚も磨り減って
のびきったゴムのように
慣性さえも失くしてしまった
あたり前の情景が
八ミリ ....
目の前に広がる光景は
ぎらりと反射するガラスだらけのビルのおかげで
わずかに十メートル先で遮られ
その隙間にさえ
絶え間なく人が流れ
流れ
意識の濁流が茹だる暑さで朦朧とする
流れ
流 ....
誰もいない路地裏の街灯の下
空を見上げて呟く
少女 一人
星も月もない夜に
膝を抱えてうずくまり
火照った脈を測りながら

忘れ去られた夢を食べながら
獏は大きくなった
誰も望みもし ....
ふるふるとふりふりとしてふらふらと熱射ネクタイ袖から熱気

ほらごらん覗いて気づく胸の穴ぽかりと抜ける月明かりの影

昼夜と問わず流れるラジオから遠く聞こえるあの日の向日葵
日めくりカレンダーを
まとめて捲るように過ぎる
感傷さえ許されぬ日々
疲れた旅人の
マッチ棒のような細い足
先を急ぐ大きな目
アリのように小さく
ゾウのように大きく
い ....
川縁の土手の上
砂利道がザクザクと泣く
バットを持った集団
野球
ではない


唐突に囲まれる
幾人にも
財布もなく
時計もなく
なんら渡すものもなく
そんなことはわかっていた ....
五年前
路面が煮え立つほど暑い夏
プールの栓を抜いたような夕立

中でぼくは
キミの嘘を受け止めた

小さな嘘
あまりに小さいから
雨上がりの水溜りに
そっ

浮かべてみた ....
テレビのスイッチを入れる
あまり偉そうにも見えない小役人な校長が
あまり反省もなく頭を下げる

気付きませんでした


とりあえずの場の空気をつくり
権力という名のワイドショ ....
紫音(121)
タイトル カテゴリ Point 日付
勿忘草自由詩2*09/5/14 19:18
light the light自由詩5*09/2/16 21:27
「no lapel badge or Ellie shows ...自由詩0*09/2/13 23:14
ひとのきかん自由詩2*09/1/30 11:20
小集 「夜巡り」短歌3*09/1/19 14:05
ニセモノピカソが世界を仮縫いする日自由詩1*08/11/27 15:32
月蝕華葬自由詩2*08/11/21 17:39
指定席自由詩0*08/11/13 16:23
雨とアキバとトイレの匂いと香りについての考察自由詩3*08/11/10 13:00
聴こえないふり自由詩3*08/10/17 12:26
あきのあお自由詩4*08/9/24 22:20
金魚姫自由詩11*08/9/8 21:27
無力にして鋭利 それは重い鈍痛として自由詩2*08/9/3 0:48
夏の終わりの終わりに自由詩3*08/9/3 0:18
語群探知機自由詩3*08/9/2 12:14
【詩とは何か祭り参加作品】 枯葉に満ちた山の向こうへ自由詩3*08/8/28 1:01
少女でも少年でもないのだから自由詩4*08/8/27 0:15
クチナシ自由詩1*08/8/26 23:42
潮騒を感じながら自由詩2*08/8/22 0:01
夏の日の少年自由詩1+*08/8/21 0:50
自問自答と風邪薬自由詩2*08/8/19 1:09
空蝉自由詩1*08/8/17 9:26
カラカラカタカタ自由詩2*08/8/17 2:02
「昼下がりの憂鬱」自由詩3*08/8/17 1:14
調律師と靴紐自由詩7*08/8/12 18:32
ほら、あの日の夏、今日の夏短歌1*08/8/8 20:02
モノクローム街道自由詩3*08/8/8 13:18
蜃気楼自由詩0*08/8/7 22:59
夏の日自由詩3*08/8/6 20:33
アンビバレンスシティ自由詩4*08/8/2 1:46

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