美しい花の名が
記憶の書架にある

わたしは優しさを
はき違えないように
静かにそれに水を遣る

いつか
涼しい雨が六月を撃っても
梅雨色の萼に思い出を結わこう

むすめよ
わ ....
燃えている
私の魂が
寿命を蝋にして
燃焼している
輝いている

精神が輝くものは
その目を光らせ
その目を光らせるものは
その世界を光らせ
その世界を光らせるものは
鬱屈をかち ....
ある朝神様が訪れ
世界を金色に変えて

日射しは蜂蜜の味になり
風はいつかの花の香り

人々は優しくなって
眠りは深くなった

時々は雨が降り
寂しさが夜を押し潰す日もあったが
 ....
言葉の星が
星座を創った
きらきらりきらら

神話が熱を帯び
胸に光っている
さらさらりさらら

私は欲してしまった
寓意の中のあなたを
たらたらりたらら

夜が明けてしまえば ....
ラテン語を囁く
髪の長い少女は
金色の瞳を
いつも濡らしている

彼女の鎖骨には
ジュブナイルが埋まっていて
大人になるには
あと少しかかりそうだ

少女は恋をしていた
アスペン ....
暖かな陽の光が差しこむ
昼下がりの各駅停車

疎らな乗客
緩やかな進行

部活を終えた女子高校生が
座席でふたり 眠っている


この状況は
とても身近なことの暗喩
ではないだ ....
愛情は

河の底に

静かに沈んでいる

流れと

その先の空を見上げ



子供たちは

両親の歌を

歌い合っている

小鳥が

朝を泳ぎ

パンがこん ....
アザレアの咲き誇る
とある五月のことでした

金色の髪の兄妹と痩せ細った母親が
手を繋いで歩いています

母親がお兄ちゃんに言いました
『女の子には、いつも可愛いって言ってあげるのよ。好 ....
美しい夜が
あなたのまくらを沈め
月からのびた手が
優しく髪を撫でる

夢が砕け散って星になって
夜更けの風の匂いがして
寝巻きとタオルケットの肌ざわりは
静寂へと翻訳された

夜 ....
叡知が夜の庭で唄っている
それは宇宙とは限らない
音楽とも限らない

丁寧に面取りされた多面体
その中心にある羽根から流れ出す溶岩
それは叡知とは限らない
神様とも限らない

星を撫 ....
穢れた午前中の昼下りが美しく
ウェディングドレスの花婿が
悲しみに微笑む
わざとらしい無意識に
支配された自由が
点状の連続を
嘆きながら謳歌する
暗い光と
眩しい闇、は
一体どちら ....
なぜみんな
ほんとうにみんな
よごれていってしまうのだろう

うたがうこともしらず
きずつけることをおそれ
そっといきてきたものたちの
こころのかいをこじあけ
よごれたみずがしんにゅう ....
夜空が訳もなく光っている
雨雲の無い稲妻が
わたしの罪を暗示している

人は許されることを愛だと思うだろう
優しさを寛容と取り違えるだろう
幸せを作用点にすれば
全ての不運は過程であると ....
あなたの歌声が雪音になって
鼓膜に降り積もるのだ

それは海に降る
空の欠片 星の花弁

わたしはその花が
梅か桃かも知らないけれど
ほころびかけたそれに
波は広がってゆく

あ ....
体調が傾くとき
この身体が神様からの借り物だと、
いつか
お返ししなければいけないのだと、
思い出す
(呼気や言葉や預金や感情や記憶とともに)

そしてわたしたちは
有限の中で
愛し ....
魂をいためた旅人は
いつも詩を口遊み
誰かの幸せを
海のように祝っている

わたしは彼の肩に宿った
透明な神様に
厳かに頭を下げ
旅の無事を祈る

ああ、どうか
美しいうたのなか ....
白い孤独が風上に立つ

悲しみの花弁が吹かれ、落ち
さらさらとした別れが
ひかりを増してゆく

異国の地を歩くとき
誰もわたしに似ていない

そのような寂寞が
どうしようもなく白い ....
三月の花の香りが
鈍色の空に流れている

降り頻る静電気

うつむく電灯

美しい花粉

わたしはいつも
静かな電気を知っている

春が来る前に
触れられ弾ける孤独、のこと
 ....
春の詩に横たわり
彼女は風をみている

かすかに光る幻想が
朝の背骨を捕らえて


少女は女になろうとしている

儚く纏った傷を
すんなりと脱ぎ捨て

{ルビ乳房=ちぶさ}の ....
朝の光はいつも すべてを赦している

仮眠から醒めた命が
詩の水面をゆらし
躍り上がって咲こうと
高揚するとき

夜更けかすかに漂う
冬の残滓が
迸る日差しに絡め取られたとき

 ....
そして一輪のガーベラが
窓から春を覗いている

巡り来る太陽が
ひとときの温もりをもたらし

今日の日の優しさが
時の水面に波紋を落とす

優れた季節が波間を漂い
あなたの踝を美し ....
ママは言った
もしも困った事があったらスターシューターにお言い。人の住んでない星をひとつ落としてくれるから。その星が流れている間に願いが叶うように祈るのさ。お祈りが終わったら、報酬の『夜の虹』は必ず ....
あなたが燃やしているそのいのちは未来から来た意思だ、透明な決意が風に吹かれて日溜まりをつくるのだ、あなたよ、あなたよ!どうか光ってくれ、アンドロメダから落ちる影を美しい歌声で掻き分けてわたしの愛する熱 .... 冬がゆらゆらと揺れる

わたしはふいに目的地を見失い
悠久のむこうに行くべきではなかったかと
そして何らかの高貴な食物を
聖なる酒を
勝ち取り持ち帰らねば
ならなかったではなかったかと
 ....
雪が降りそうな
優しい朝でした
風がよわいので
寒くはありません

あなたの手は
夢を撫でていて
もうすぐそれは
孵化しそうです

季節の眠る年輪が
わずかな光に向かってゆき
 ....
別れが近い

それぞれの道を
苦しみ考えながら
掻き分けていった
うつくしい我々

容易く感情を揺らし
気も付かずに裏切り
気も付かずに暖め
たくさん心を使った
うつくしい我々
 ....
郵便受けに 虹が光っていた
空に沈んでしまった
まほろばからの便り

封筒に眠る妖精を剥がすと
中から懐かしい花のかおりが

≪こんなにも甘やかな手紙が
かつてあっただろうか?≫

 ....
海は液体の音楽
世界の七割は

約束を守るように光る音色は
冬の真昼をあたため
水面から上がった美女が
うっとりと膝を閉じる

海は液体の音楽
世界の七割は

波から一本の木が
 ....
『嘘のひかり』

空のデニールが濃くなる
傷口のような月は黄色い
JKは皆つまらなそうだし
母親は皆物憂げ
睡眠薬の夢が覚めたら
街に溜まるしずく

夜露ってどこから来たの?
どこ ....
いきよ
いのちいっぱいいきよ
いつでも
ゆうきをおもいだし
なにかをまもれ
つみかさねてつみかさねよ
そしてだいじなとき
それをおもいだせ

たいだのこえはいつも
もっともらしいも ....
ヤスヒロ ハル(36)
タイトル カテゴリ Point 日付
花嫁自由詩018/6/13 11:38
履歴自由詩318/5/1 0:00
バター自由詩218/4/25 21:26
夜話自由詩318/4/16 21:19
秘密自由詩318/4/13 6:37
各駅停車自由詩218/4/11 16:30
トロイメライ自由詩218/4/10 18:03
アザレア自由詩118/4/8 9:51
明日は明日の星が降る自由詩3*18/4/5 21:26
胎動自由詩118/4/3 9:07
矛盾自由詩318/3/30 13:02
なぜ自由詩3*18/3/27 9:21
罪と夜自由詩1018/3/25 9:42
トニック・海・季節自由詩218/3/21 23:05
有限なる自由詩318/3/17 23:08
海の祈り自由詩318/3/15 21:26
午後二時四十六分自由詩4*18/3/11 20:43
境界自由詩5*18/3/9 2:34
ウカ自由詩518/3/7 7:18
螺旋の季節自由詩4*18/3/3 9:52
光の窓自由詩10*18/3/2 8:13
星を撃つ自由詩118/2/28 8:43
凱旋自由詩218/2/28 8:18
レム自由詩418/2/27 9:28
自由詩9*18/2/25 21:58
友よ自由詩318/2/24 21:23
雨上がりの自由詩318/2/23 8:14
音楽自由詩8*18/2/21 7:20
嘘の光自由詩518/2/19 22:19
エール自由詩118/2/18 4:02

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