フライパンなあのひとが熱くしたあたし
とけて 香って まあるくなって 
焦がれりゃ「おんな」のできあがり

皿のうえの色恋が放熱している
磨かれたグラスにたっぷりとミルクを注いで
にがいパ ....
地獄の季節において あゞ 互いが互いのガラテアだった
わたしたちは 恋人という鋳造のバリを許せなかった
許せるものか
あなたはわたしのために創られたひとであるのに
何故バリを恥じることなく笑う ....
夜行性の種族 夜に発光す
厚いカーテンの内側で太陽におびえる彼らのことだ
はかない食欲で栄養を摂取しながら
ただ 西の空が赤く染まるのを待っている

夜光性の種族 夜に発行される暗号文書
 ....
お気に入りのコンバース
とうとう底が抜けちゃったな
くるぶしがぬるりとつめたくて
出来たての靴擦れを二月の風が撫でて過ぎる
お気に入りのスニーカー
ぼろぼろになっても一緒に歩いて行きたかった ....
トカイワインの酔いにまかせた戯れ事
名残りの花もみんなこぼれちゃったな
煮過ぎた牡蠣みたく全身で挑んだのに
ぬるい関係 軌道は 結局は変わらぬ
寝顔の頬に青い影 おとこのひとだね
伸ばし ....
砂時計がたてる音のように
せつないくらい小さな寝息
双生児より近くて遠い君の
魂には今生でしか触れない
血の味がする朝餉のあとで
鶴を折ってこの運命で遊ぶ
手の熱すらも知らない相棒
サロメが欲しかったのはほんとはヨカナンのくび飾りだったのです
アンティークでとっても素敵 まなこも白羊宮も瞬時にうるむほど
舞いおさめて激しい呼吸 中指と薬指で汗をぬぐっておひめさまは
銀盆 ....
雨音に目覚めた午前3時
枕元に散らかった
言の葉と
夢の残滓を拾う

爪切り用のハサミで
言の葉をさくさくと刻み
オニオンスキンの便箋で巻く
慣れた手つきで擦るマッチ

小出し ....
涙乾けど悲恋は癒えぬ 壺で濃くなる毒の蜜 さて 一度だけふり返り
降りたばかりの船を見る
木犀の香が夜に{ルビ水脈=みを}をひく
徒花とは呼びたくない

旅の仲間が好んでた
南洋の煙草が髪に残る
裏町の匂いだと笑ってた
襟の正 ....
シーツ洗えばまたも雨降り きけよ天 これは祈雨呪術ぢゃないのです 絹のように 第一印象だけ冷たいおとこだった
くるみこまれて にげだす理由もなぜか無くて
けれんもぺてんも要らぬ はじめての人間関係
粉薬みたくあまにがい心臓で駆けぬけたもんだ
さあ 幕引きです ....
アルコールが沁みてくマゼンタの脳みそ
いつでも充血 娯楽室
歌姫がねだるタロットのゆくえは
縁と¥とに欠けている
お嬢さんはつっぱしってく、ほら
かまびすしい夕焼け空を 飛行機雲と併走して
サンクチュアリ とか 信じてないってポーズさ
頑張りすぎる君だから 強がりを肯定する ネガ
静かに味わうラム酒でまた生きてけるって云うし
逃げても無駄って本気で思ってるとしたら僕は何
気づくま ....
北斗七星が傾いて 絵葉書をこぼす
ひらりと指でうけとめる なつかしい君のことば
仙女の写真にうすく 桃の果汁の染み
あいかわらずの筆跡に 白い歯を思いだす

君よりずいぶん遅くに 僕は生まれ ....
雨の子になってみたいな 魂が渇くことなく笑えるでしょう

レインツリー 逃げ込んだなら枝の下 母に似た君に会える気がする

さぼてんが奏でる音色レインスティック 何かと問う声ふるえは止まず
 ....
「うおっしゃぁぁっ!」われ親ガチャに恵まれり好きなだけ呑めるタフな肝臓

好きな酒 好きなだけ呑めるこの生は 輪廻においてまれなことかも
{ルビ孤閨=こけい}の痛みに耐えかねて 真夜中 菓子焼くキチネット
はちみつ計ってバタ練つて お粉がタルクでないのがつらい
蜜と油にあまくなめされ しっとりひかる 此の両手
貴方のくちにさし ....
誘惑が房なして実る
秋の夜霜に甘さは深まる
罪摘むように紫紺をつまむ
唇に触れる果皮の悩ましさよ
貴方に押し当てたたなごころの狂乱
ぷちぷちとはぜる無数の果実
ああ こんなにたやすく壊 ....
黒いスニーカーに 赤い爪を隠して
きみの隣で揺られてる 私鉄 日曜午後八時
窓に映る顔が白くて 目ばかりが大きくて
きみの隣で疲れを見せてる こんな自分がいや

さっき呑んだ梅酒
リト ....
 お菓子なことになっちゃった ってお{ルビ顔=かお}
「かみついたりしないよね?」まあいいか
 しっとり系を装うほどは 老けてないし
 {ルビ花=はな}ふぶきみたいに恋ごころ吹雪かせては
 ....
原初の苑でヒトがたべた最初の有害物質 林檎
今 やさしくすりおろされて 
病むおさなごのくちびるを癒す
有毒の糧の二つ名はなあに?
蜜をひそめ 彼女はうるんだ声でまろやかに笑う。 
あすは大事なひとに会う
あかりを落として伽羅を焚く

あすでくるりと生きざま変わる
あかりを落として伽羅を焚く

あすでくるりと生が変わるなら
いまのわたしは今宵かぎり
さいごのわ ....
横断歩道のラインの梯子
とおりゃんせ、がスピーカーからあふれる
さあ渡ろう
白だけを踏んで
くちさびしいからつぶやく
「アネモネ アネモネ アネモネ」

猫みたいにやわらかな足で
 ....
さいごだから、と
紅をひいて会いに行った
二度とこの紅がくずされることはないので
安心して いちばん似合う色をひいていった

約束の場所で待っていたひとは
いつも くちびるをくれたひとだっ ....
実は明日で辞職です 皆さまお世話になりました
行儀よろしくつるんでた 同僚キミともおさらばです
昼餉は弁当派でしたが 最期に社食をつかいます
想像以上に美味でした おごってくれたキミに感謝

 ....
砂、で
こどもは城をつくる
世界に果てはなく
時間は無限にあり
はやくとしをとりたい、とすら願う
十年後に彼等はすべてが有限だとしるが
いまは有限という言葉の意味すらしらない
こども ....
{ルビ慕=した}わしいあなたと 可愛いわが子 三人の穏やかな暮らし
{ルビ野=の}にうずくまるわたしを救い 傷ついたあなた 愛したの
だのにわが子よ おまえは{ルビ聡=さと}く 母の姿を見透かした ....
同じ二音を持てる単語をかさねて詩歌は作れぬか
「{ルビ窓=まど}辺に{ルビ惑=まど}うマドンナが{ルビ魔道=まどう}師を呼ぶマドリード」

こっから先が出てこない 考え続けて十二年
そろそろ新 ....
炊飯器が天に召されて三度目の冬
あれから飯はフライパンで炊いてます
浸水三〇分ってのは変わりませんが
一〇分で炊けるんだからやめらんない

着火して 最大火力で加熱
ガス台の隣でうすい文庫 ....
46U(68)
タイトル カテゴリ Point 日付
バター自由詩6*24/3/13 5:28
鋳造自由詩224/3/2 13:08
夜に発光す自由詩5*24/3/2 9:13
スニーカー自由詩10*24/2/20 17:01
トナニヌネノハ自由詩224/2/17 13:33
スセソタチツテ自由詩4*24/2/14 22:30
ヨカナンのくび飾り自由詩3*24/2/9 20:18
言の葉自由詩3*24/2/7 20:45
壺【都々逸】伝統定型各 ...1*24/2/6 21:32
よろしく候自由詩6*23/12/25 1:19
天にもの申す短歌3*23/12/17 19:54
キクケコサシ自由詩4*23/12/17 17:59
アイウエオカ自由詩4*23/12/16 15:04
hide and seek自由詩423/12/5 20:44
銀河通信自由詩5*23/12/3 13:11
雨のうた短歌6*23/11/30 22:27
うわばみと親ガチャ短歌4*23/11/25 17:22
アップルパイ自由詩5*23/11/19 3:49
葡萄自由詩3*23/11/17 16:13
秘めるが花自由詩3*23/11/13 22:06
トリッカトリト自由詩3*23/10/31 18:40
自由詩423/10/31 3:31
伽羅を焚く自由詩6*23/10/26 0:22
アネモネアネモネ自由詩3*23/10/24 23:38
花だった自由詩4*23/10/8 13:59
センベツ自由詩2*23/9/27 13:50
砂の城自由詩423/9/18 13:34
信太妻自由詩2*22/12/31 14:21
サバカレ自由詩2*22/12/12 13:14
拝啓、浄土の炊飯器自由詩4*22/12/11 20:05

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