{ルビ慕=した}わしいあなたと 可愛いわが子 三人の穏やかな暮らし
{ルビ野=の}にうずくまるわたしを救い 傷ついたあなた 愛したの
だのにわが子よ おまえは{ルビ聡=さと}く 母の姿を見透かした ....
同じ二音を持てる単語をかさねて詩歌は作れぬか
「{ルビ窓=まど}辺に{ルビ惑=まど}うマドンナが{ルビ魔道=まどう}師を呼ぶマドリード」

こっから先が出てこない 考え続けて十二年
そろそろ新 ....
炊飯器が天に召されて三度目の冬
あれから飯はフライパンで炊いてます
浸水三〇分ってのは変わりませんが
一〇分で炊けるんだからやめらんない

着火して 最大火力で加熱
ガス台の隣でうすい文庫 ....
カップ酒酌みつつ画集ひもとけば見よ我が胎に森羅が宿る 砂糖で出来た四肢に諦念はめぐる
踊り子の腰に巻かれた拒絶
やわらかく宙を抱く腕の中で
見えない魚がくるりとひるがえる

塔のない町で 城のない町で
踊り子は眠りにつく 酒精の匂いに紛れて
 ....
恋する君が好き
あでやかに咲いてる {ルビ難攻不落=なんこうふらく}の彼女を 
守るように立つ君が好き
たとえば一〇〇夜ののちに
この眼が{ルビ盲=めし}いるならば
難攻不落の彼女の
 ....
わが弟は師走の生まれ、
誕生日には雪が降る。
故郷が初雪みるのは大抵、
わが弟の誕生日。

わたしと違って律儀なやつで、
盆と正月に帰省する。
うわばみの父と呑んで笑って、
真っ赤 ....
瑠璃いろマニキュア乾かしながら ジンを{ルビ生=き}でのむ「しかってほしい」 {ルビ鬼灯=きちょう}のランプともしてまいろ 恋のむくろの野辺送り 翼をもぎました
背中がかるくなりました
しとどに流れる血 真珠色の血あふれて
ふたすじの傷口を {ルビ白南風=しらはえ}がなでて過ぎゆきました
すずしい背中
六月のこと

あなたの手をと ....
もう僕はよそへは行かないから帰っておいでと
ただそのひとことが聞きたかった

彼岸へすこし渡る その前にひるめしを食べよう
あなたはそう云ったので
わたしはピアスをして電車に乗りフォークをと ....
とろりと金色の滴りは オリーブや椿や葡萄の種から得たもの
蓮から採った精の封を切り ボウルに張った油におとす

傷を いつくしむこと

じくじくと痛む恨みを切りひらけば
妄念の脂が現れ 穢 ....
 シーアスパラガスというものを見つけて身請けした。イスラエル産らしい。
 植木で見るような、ガサガサした葉で、初めて見たとき「なんかえぐみが強そうだな」と思った。完全なる偏見であることは後に判明する ....
息するようにあざむく君が あざむかるるを忌む不思議

{ルビ吾=あ}を嘘つきと繰り返す君 嘘つきであってほしいのね

こころを尽くし語ってみても 嘘だと君は望んでる
 生栗の皮むきというのをやってみたくて、お勤め品のを買ってきた。
 実家では、「危ないから」とさせてもらえなかったので、どきどきする。
 水で3時間ふやかし、まな板の上でざらざらした尻をちょいと落 ....
{ルビ夕立=ゆうだち}あけて空は葡萄酒
{ルビ美人=びじん}が沈む湖沼の水銹
{ルビ記憶=きおく}の底に誰かの日記
{ルビ龍=りゅう}がぬすんだ幼い契り
しなやかな四肢で彼女は舞い狂う 猫を孕んだ女神を擬して 好いたお人の{ルビ勝負運=ツキ}になりたい {ルビ犯人=ホシ}を弑する夢をみる いつの間にやら煙草をやめて おんなの顔した元親友 語られないのは
はじめての恋
いつかの歌姫
めくるめく夜 
ルビーが腫れてく
くちづけだから
ランプも恥じらい
いつしか消える
ルシアン・ベアってお酒をひとくち
痴情のもつれもた ....
桃花の薫る社日に識った酒の味そして兄の聲 ふたありは互いのカムパネルラでした
過去を封じた絆創膏が{ルビ愛=かな}しくていまも剥がせない
なりたいものは差し向かいにて箸を動かす古女房 三千世界のコロナを殺し全人類とハグしたい

{引用=#究極の願望。}
口が裂けても言えぬ恋ゆえマスクしている君とぼく 秋深し金木犀のご近所に銀杏植えたの誰や出てこい

{引用=#においが混ざり合って大惨事に。}
エプロンドレスのお嬢さん、
ミシン鳴らして日は暮れる。
ヴィオロン奏でるお姉さん、
ワイン揺らして逢いに来る。

色とりどりの糸くずが、
エプロンドレスを飾ってる。
布と針とで遊んでいる ....
月が傾く音がして、
ぼくはぽっかり目をあけた。
カーテンごしに見えるのは、
ボタンみたいなお月さま。
瑠璃と茜の縫い糸で、
びろうど夜空にとじてある。
きっとお仕事したひとは、
てさ ....
{ルビ産着=うぶぎ}を脱いだその日から あたいの{ルビ親友=とも}は{ルビ般若湯=はんにゃとう}
{ルビ渡=わた}る世間が鬼の国でも 一緒に歩みゃ怖かないわ
{ルビ馬鹿=ばか}になるほど浮世は楽し ....
(ああ、秋の空は露草を集めて染めるのですよ)
(あれこそまことの青ですわねえ)

天からつゆくさが降る、
つゆくさ、つゆくさ、
地が青に染まる、
つゆくさ、つゆくさ、
どこかで鈴がちりり ....
卯竜(41)
タイトル カテゴリ Point 日付
信太妻自由詩1*22/12/31 14:21
サバカレ自由詩2*22/12/12 13:14
拝啓、浄土の炊飯器自由詩4*22/12/11 20:05
天啓短歌122/12/1 18:05
夜の住人自由詩222/11/17 8:50
トリニティ自由詩221/12/28 23:04
わが弟は雪男自由詩3*21/12/24 17:50
【都々逸】いたずら伝統定型各 ...121/12/8 21:10
【都々逸】ほおずきランプ伝統定型各 ...121/12/7 22:53
堕天自由詩621/11/15 22:50
仮面自由詩421/11/11 5:25
香油自由詩821/10/30 17:19
珊瑚草を喰ふ話。散文(批評 ...1021/9/17 23:59
[都々逸]うそつき伝統定型各 ...121/9/12 12:15
生栗散文(批評 ...421/9/4 17:45
ゆびきり[折句]自由詩121/6/26 11:38
あらでぃあ短歌021/6/26 0:43
吉祥天[都々逸]伝統定型各 ...021/6/23 21:17
【都々逸】煙草断ち伝統定型各 ...1*21/4/5 14:48
しりとり恋歌自由詩121/3/9 11:56
治聾酒[都々逸]伝統定型各 ...221/2/28 23:16
カムパネルラ自由詩221/2/12 12:30
なりたいものは古女房【都々逸】伝統定型各 ...221/1/12 14:34
三千世界のコロナを殺し(都々逸)伝統定型各 ...1*20/12/11 16:30
くちさけ[都々逸]伝統定型各 ...020/12/4 23:58
秋深し金木犀のご近所に銀杏植えたの誰や出てこい短歌5*20/10/5 11:46
お針子自由詩4*20/9/9 11:53
Childhood's End自由詩520/9/7 12:00
うわばみ自由詩2*20/8/24 14:28
露草つゆくさ自由詩519/9/2 19:44

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