薄明かりのシティステーション
恋に疲れた二人連れ
鞄ひとつの重さじゃないね
何故だが辛いプラットホーム
握りしめた片道切符
今度の旅はひとりきり
強がるはずのフェアウェルナイト
やっぱり ....
なにかが見えなくなりそうで
やさしいきつねは
雨をきらう
なにかが聞こえはしないか、と
やさしいきつねは
雨をしたう
その
ときどきの気持ちにまけて
やさしいきつねは
....
皿洗い考
寂しい匂いを嗅いだ
消え去った時間に取り残された自分がいた
私は前進して来たのではない
ここに留まったまま置き去りにされたのだ
今も私は振り返るのではない
背後には何も無い ....
閉じかけの殻の隙間から
遮断の季節の訪れをきいた
ぼんやりとした不安のなかで
右の肺にいつか埋めた
種は芽吹かないことを知った
美しくも汚れもしなかった
温室は惰性でまもられていて
....
名づけるまえに死んでしまった気持ちを
どこへ埋めたらよいのかわからないまま
うろうろと抱いている
つめたくもあたたかくもない気持ちを抱きかかえ
柔らかそうなほうへ
立ち止まること ....
星空の底で悶えるしか能がない私を
これ以上ないほど嘲るような感じで
煮えたぎる太陽が夜だ夜だとうるさい
山脈の向こうから見ている人は誰
山脈の途切れるあたりで自分自身と向き合っ ....
毎日がつまんないと絶望しなきゃなんないからちょっぴりの
事件とウイスキーが必要。つまりはミステリー小説的なうる
おい。地元ではそこそこ名の知れたしがない一族経営の会社
でルーティン・ワークをなに ....
十一月のなかは
雪のよに降り積もる人だった
手を繋いで、繋いで、
それでもさしだした
朝や、夜を
ずっと奥へ
奥へとならべていく
ちぎれはじめた日陰を
乾いた猫のにおいと ....
さらさらと無限にかたちを変えてゆくもの
どくどくと体の中を対流するもの
ぼそぼそと語りかけるもの
ろうそくの科学で薔薇の庭園を飾る
スズメバチの襲撃を警戒しながら僕たちは生きている
....
ヌレヌーレ山の裾野にある
レロレロ湖では
洗脳者藤田長吉がスマレンタの村の衆に
デコピンを食らわしていた
そこにタマンキとその弟子たちが
通りかかると
スマレンタの村の衆は彼らをハーギオイ ....
俺のかき方
出だしは何だっていい
思いついたことを書く
例えば尻のデカイ女が
目の前を通り過ぎたなら
大いなるケツ意
と書いてみる
すると大阪のおかんが
テレビの相撲中継見るた ....
新出生前診断でその子に
ダウン症や先天性の染色体異常が
あったと分かってもその子を
葬ろうとしてはならない
法律がどう定義されているかは関係ない
受胎したときからその子はもういのちだ
....
いつものように眠りにつくまで
やさしい物語を、ねぇ、聞かせてよ。
たたかいの、一日の終わりに
今日を頑張って、乗り切れたご褒美に
やさしいぬくもりで、ねぇ、包んでよ。
そ ....
マーモセット人間が
哺乳類種のジーンを記述する
寄贈者として選ばれた
効率的な生産をする彼ら
人間以外の動物に対し
通常の実験動物たちは
異常のゲノムを刷り込まれ
メカニズムの発生を ....
おやすみなさいと
私の周りで泳いでいた言葉の魚たちがささやく
まるで百年の眠り姫の林檎のように
私が初めて口にした小魚は母の胎盤の中
臍の緒に繋がれて
息遣いの音と共にやってきて
生き ....
さして珍しくもない
そうなったのは
でも、悔しい、
悲しい、
苦しい、
どうしようもなくて、
泣く
カナリアが鳴く
静かに
音がこもっている
どうして?
どうしても何も
....
おはじきを一列にならべたような夜
目をさませば君がいない
悪い夢をみている
はやく夢を閉じて
ふたりで色をならべよう
疲れはてて
そして、
それからどんな夢を見よう
「さまざまな世界を」
木の若芽
時がたつにつれて
どんどん雨は去り雲は消え風はゆるみ
るんるん光がさし空は青くなり空気はぬくもる
それがようくわかる ....
「飛べよ 歌えよ」
木の若芽
妙なるもおのがおどっている
あれは小鳥 その奏でる調べ
遠く飛び去ってしまいそうなわたしに
ここは地球よ
あなたはそ ....
言葉は骨折しない
言葉は咳をしない
言葉は恋をしない
言葉は愛ではない
言 ....
ぜんぶまぶしい
生きているものは
小さなあたしの目でみた
だめなものという烙印が
枯れ葉のように落ちてゆく秋
善も悪も
おなじ船にのっている
地球という名の船に
浮かばせて ....
人の爪の根元に、白い浮島があることを知ったのは小学生の頃。
「これね、大きいほど元気な証拠なんだって。病気になると薄くなったり、小さくなったりするらしいよ」
友達から教えてもらったなんの根 ....
夜ふけの町を
自転車で走っていると
住宅の庭から
金木犀がほんのりと漂ってくる
ああ 甘くてよい香り
若い頃 東京に住んでいた
渋谷 荻窪 吉祥寺が大好きだった
私は男と漫画を描い ....
ふいに
あざやかな緑が消えてゆくのを
ながれるように見つめていた
するすると伸びる夜が
蔦のように月にからまり
すこしだけ
空を引きよせ
星を闇に手放してゆく
灰 ....
詩を書くことが
人の救いになればいい
そうはいかないのだとしても
そう 願っていた気がする
会社を辞めて
街の中で 何を求めて
歩いていくべきなのか だけど 僕は
わからなかった ....
どこで
どうして
どのように
生きればいいか
ここで
こうして
このように
かろうじて生き
ここより
別のどこかへ
いまより
別のいつかへ
....
悲しみの
怒りの
境界線
を踏み越えず
誰に訴えることもなく
押し黙って生きる人
生きることの
ぎりぎりの場所で
踏みとどまっている人
見知らぬそ ....
ときどき
形容する言葉ひとつ
思いつかない
落ち込む
ただ 落ち込む
慌しさの空白に
ふと気がついたとき
落ち込む
とことん 落ち込む
どんどん ....
黒い服についた 絵の具の白色
それは汚れでしょ
心を真っ白にして 無になって……
ムラサキ色の心が 決して
虫に食われた イチョウの葉であっては
ならないなんてね
....
契約社員の給料は安い
だからアルバイトも必用になる
午前四時前 朝刊配達に出かけると
山のふもとの住宅地
時折いろいろ見かけるが
エゾシカを見たのは初めてだ
角ある雄と雌のつがい
街 ....
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