夜の延長線上にある朝に聴くコルトレーン。
時間をさかのぼると見事に夜へとつながっている。
今この時までの道程に私は立ち尽くしていた。
時計だけは正確に過ぎ行く時間を刻んでいる。
....
とうめいな折り紙で
紙飛行機を
折ろうかと
おもった
夜あけまぢかの
ひがしの空へ
飛ばそうかと
おもった
けれどあまりにも
なにもかも乗せているので
てばなすことがこわい ....
私に訪れたものは感覚の無為の実感であって、いかなるそれ以外の異観では無くて
実感として得られた私の感覚の消失が齎した空間を感じる気持ちでありました
高い窓などに顔を覗かせて不愉快な気分を空気に ....
心になにか一つ棘が
はえていたとして
匂いのする街角が
無力になったりする日がある
今日はその日だってことにする
朝の四時過ぎに
駐車場で目をつぶって
何かを待ってた
明日は誰にも ....
いたずら好きな妖精
売れ残りのケーキ
苺をラディッシュに
美味しいねとねずみ達
口にクリームたっぷり
サンタクロースになる
白いあしあと朝には雪に
ラディッシュは火星に
あなたの指紋が点いた物
一緒に選んだ物
すべて捨てたけれど
生まれ変わるまでは
保管されるのだろう
歩道の波打ち際に
落ち葉のお墓が並ぶ
街路樹の岸辺に
越冬と書かれた列車が着く
妖精のペンキ屋は
一晩で全て赤く塗りつぶす
おにぎり、アイス、髭剃り、雑誌
主張する商品を
棚やクーラーボックスに戦略的に
導線を確保しつつ陳列すれば
商品は全て没個性的になる
並べられることでツヤ消しされる
様々な商品が一つの場所 ....
デイサービスをやめて
寒くなってきて身体が硬くなってキツいから
寝る時に貼らない簡易カイロを左肩に敷いて寝た。
低温火傷していたなんて気づかなかった
次の日の夜背中が痒くて孫の手で掻いたら ....
冬の入口で
RENの骨を拾った
十六年のいのちだった
夏毛のまま
逝ってしまったRENの
体温が残るこの手が淋しくて
白い子犬を抱いた
DANSKE、と名付けた
も吉と歩いたあ ....
足りないものがある気がした
こんなに背が高くなったのに
歩いても走っても届かないほど
夢はひとつの砂漠に眠る
宝物みたいな安い飴を
オブラートに包むような指先で
地球の裏側にマ ....
そのドアは自動じゃなくて手動かもよ?
開かないドアは、実は簡単に開くかもよ?
ゴムホースの中を夜が通るなら
瞳が導く星の世界に
強い力が泳がせる先端を
ロケットみたいにゆらゆらさせて
空を飛ぶより早く見せてくれた
あの光はまだ帰らないけれど
瞳の周りを腫 ....
首長流の頸椎の隙間から零れ落ちたアナコンダが、寝床でのた打ち回る俺を飲み込もうと目を黄色くしている、集中しているやつの口から小さな呼吸音が漏れているのが聞こえる、最期の瞬間に人は何を思うのだろうと ....
いつまでも、眠っていたい
冬の朝のことです
じぶんから逃げ出した
ふりつもる悲しみから、
追いつめられた仔犬でさえ
それでも牙を剥き
過去と戦おうとしますが、
....
む おん
移動していくモノの影
独り在る茫漠の床で
眠りの底から掻き分け掻き分け
異界の異様な感触を
意識の触手、体に刻む
ム オン
夜陰にひっそり回帰し
....
彼女とは幼馴染みで
産院のベッドまで隣り合っていた
あなたが産まれて その一秒後にわたし
、そんな感じの 二人はとても仲良しで
家庭の諸々もが似通っていたし
それがいまでは点の上にあなた ....
居酒屋やカラオケ屋
ラーメン屋に無料案内所
ゲームセンターもある
賑やかな商店街を
たくさんの人が歩いている
欲望の遊園地
大量のゴキブリが潜んでいそうな
そんな淀んだ眩しさがある
大 ....
*
終りのないものの終わりを決める
生きることは括り閉じることの繰り返し
言葉に置き換えられた
かたちのないものが夜うっすらと発光する
夏の夢の欠片が螢なら
抗うことを止めた ....
とてもとても遠いところから
君の訃報が届いた
時刻表を確認することもなく
僕は一番最初にやってきた列車に乗る
いったいどれだけ乗り継げば
君の場所に行けるんだろう
君の生き ....
がんばりモーメントな君は
ドゥーバップなトリュフで
すけーとりんくにピートイン
一方、ボニーピンクは
どこへ行ったとググってみては
黒髪コースの肩こりん
なんでおとーさんのかみは
....
本名も知らない男に胸を揉まれてる間
スタバの新作フラペチーノのことを考えていた
チョコレート味の氷に
粉々のクッキーがまぶしてあって
ホイップクリームがたっぷり絞ってある
とても美味しそ ....
自転車置き場に届く光が
まだ短くて生まれたばかりで
跳ねた髪の毛を撫でる時だけ
僕の顔を見つめるように
寝返りを打ったその体は
宙に浮くほど細かい指先で
カゴの中を編んでいるけ ....
羊を起こさないように羊羮を切り分ける。
息を殺し、ゆゅぅっっくぅり、刃を入れる。
今ここにまっさらな鍋があって
例えばそこに水を入れて野菜を入れて
カレーのルーや
顆粒ダシを入れて
洒落た器に盛って
チャイブを散らして
これが私の ....
打ち上げ花火で自転車を探す
大きな車輪を転がす間に
舞い上がる心を乗せて行くよ
見えないはずのレールを繋げて
後ろ姿だけ確かめられた
あなたの光と混ざろうとしたら
私の身体が燃やし ....
ひんやりする土と足が何度も
手も唇もあたたかな風と一緒に
気の合う子石を胸に持ち
一本のゴールテープを切る
夏の太陽が照らすクレヨン画のように
君たちは土の上に原色で描かれる
彼はアナログの世界に産まれた
自我に目覚めて初めて眠りから冷めた朝のこと
家のなかはがらんとして静まりかえっていた
人は誰もいなくて 気配さえ感じられなかった
まだ幼い彼は泣き出した
....
あなたがいない日々は、まるで余白みたいだ
君と星狩りに行ったことを思い出す
空が星で埋め尽くされて、金や銀の星が嫌というほど輝いていた
肩車して虫かごを渡し、小さな手で星をつかんではかごに入れていた
ときおり龍が飛んできて、尾で夜空をあ ....
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