本を開くと
そこは遠い昔の日本のお寺
お金持の人々が行列をつくり
次々と賽銭箱に大判小判を投げ入れて
ぱんぱん
と手を合わす
そこへ
ひとりの乞食があらわれて
薄汚れた手に握った
なけなしの小銭をちゃりんと投げた
すると
本堂の扉は左右に開き
正面奥に坐る
お釈迦様の像は光を帯び
瞳を閉じたお顔の頬がほころんだ
*
....
あなたが優しく息を吸い
ふいと息の根を止めた時
私はとても幸福でした
流れる雲は川面に映り
青い空を魚は流れる
錯覚しておいで
この手の平の陽に
飛ぶ魚よ飛ぶ鳥のように
あなたが麗らかな日に
そっと息の根を止めた時
私はとても幸福でした
静かに風の通り抜ける小さな部屋で
踊る少女の足首を見ていた
細く柔らかに上昇する
ピアノの丸い音が
....
愛してくれとは言いません
でも愛してもいいですか
あなたの今日の幸せを
明日も笑顔であるように
祈る自由を私にください
あなたの言葉に耳を向け
おどける姿を瞳に留め
微笑む自由を私ください
あなたが落ち込み俯いて
唇をきつくかみ締める
代わりに咽ぶ自由をください
あなたが誰か結ばれて
誓いのキスを交わすとき....
助けてくれ
頼む
俺は幸せなんだ
幸せなんだ
助けてくれ
非常口から
突き落とす
真似だけしてくれ
・・・天使達は
皆早朝に羽をひろげ
俺は
死んでいた
首をくくっていた
だから
助けてくれ
俺は幸福なんだ
幸せなんだ
「幸福」を鞄に入れて、旅に出よう。
昔日、背の高い杉木立の間を
見果てぬ明日へとまっすぐ伸びる
石畳の道
君と歩いたあの日のように
(舞い踊る、白い蝶々を傍らに。
「空腹」な心の器には
「幸福」な木漏れ日を
限りなく、注がれて
背の高い杉木立の間を
まっすぐ伸びる
石畳の道の向こう
小さい出口にあふれる
白い光の内に立つ....
少し前から幸福についてばかり考えている。
どうしたら人は幸福になれるのか?
分かった事がある。
どうして人は幸福になれないのか?
答えは、人はたくさんの人と一緒に生活しているから。
人は他の誰よりも自分が好きだ。
自分こそがこの世界で最も賢く、偉大であり、尊い。
それを実現しようとする行為がエゴ。
それを叶える事がおそらく幸福なのだろう。
一人でいては比べる相手がいないか....
ぼくは詩人
当たり前の中に
幸福を見つけられれば
それは本当の幸福
今日もまた
朝の散歩をしていると
少女と母親に出会いました
手をつなぎ
初夏の暖かい光の中で
何を話すわけでもなく
少女はお母さんの手を
引っ張りながらも
ずっと笑顔
お母さんは少女の手で
どこに連れられても
ずっと笑顔
手をつなぎ
初夏のやわらかい花が咲く中で
何が....
昔は、どうして俺はこんなに不幸なんだろう?といつも思っていた。
すべてが思い通りにいかない世界が憎くてたまらなかった。
今は、そうでもない。思うに俺はこの世界というものを知らなすぎたのだ。
自分の頭の中にある幻想を(それを理想と言うのかな?)
この世界に無理矢理当てはめようとしていた。
もちろん俺はこの世界のすべてを知ってるわけじゃない。
けれど大抵のことは思い通りに動かす術を....
あなたは幸福ですか?
あたしは幸福です
あたしはいれたての珈琲の香りを楽しんでいます
ずっと昔に録音されたうつくしい音を楽しんでいます
江戸時代に記録されたルポルタージュを楽しんでいます
あたしはもうすぐ失業します
今年の年収は百万円を切るでしょう
今日は上司と衝突して半日ほど誰とも口を利きませんでした
人生をともに歩くときめたひとの隣にねむって
あたし....
真っ白ならそれは
無目的な終点で
切符を破く
錆びたレールがセイタカアマダ草に埋もれて
どこで途切れているのかきっと誰も知らない
幸福駅という名前の駅に流れ着いた若者は
それでもやがては髪を切って街に帰って行き
もう忘れてしまった日死んでしまった時間に
旗を立てるはずだった場所さえも
与えられたものだともう気付いてしまったのだ
背中に続く轍には鍵がかけられて....
春風にそよぐ{ルビ枝垂桜=しだれざくら}
青空に響く{ルビ鶯=うぐいす}の唄
{ルビ我等=われら}は{ルビ童=わらべ}
肩を並べてさくらを唄う
*第一詩集「風の配達する手紙」(詩学社)
今日購入していただいた方に手渡した本に記した言葉。
たとえば、
雨の日、傘を二人でさして歩いていた時の事
次の日には、水溜りの跳ねながら二人で笑って
たとえば、
夜中、淋しくて淋しくて電話をかけた時の事
他愛も無い話で胸がきゅんとなって二人で笑って
たとえば、
キスをした時、何かが二人で中で変わった事
照れながらも唇に微かに残る感触で二人で笑って
何気ない日常だけれど、
二人で笑いあえたら、じゅうぶん幸せな事だと
こんなに悲しいこんなに苦しい
外は木枯らし吹き
暗いまなざしで街を歩けば
コートの襟に雨が入る
「雨に歌えば」若いころ観た映画
失敗したなぁ
そう、中年期は不幸な幸福
食べるに困りはしないけれども
子どもの学費はどうしようか
豊かな国に生まれたけれども
祖国に誇りなく
あるのはお金の話ばかり
言葉が見つからないのは
おまえが不在だからでしょう、魂が
だってお金で悩む人....
写真の中には
シマウマがいた
写真をとったら
あの人はシマウマになった
シマウマの飼い方を私は知らない
せめて
ロバとかポニーだったらいいのに
町並みにもなじむかもしれない
シマウマは
とってもかっこいいけど
この湿った街にはポップすぎる
私はシマウマの写真をとってしまった
お誕生ケーキを前に
うれしそうなシマウマ
シマウマの表情は分からな....
悲しみはいつかは消えるけれど
君と過ごした日々は消せない
こんなにも愛した人をそう簡単には消せない
一生のうちだとほんの小さな出来事かもしれない
だけど僕はその一瞬でも君を愛したんだ
たった一人だけをずっと見てるなんて
そんなに簡単なことじゃない
誰よりも好きだと一番だと想っていたんだから・・・
....
楽しければ、それでいい。
おもしろおかしく生きてゆければ、それでいい。
そう思って生きてゆくほど、難しいことはない。
キリマンジャロの雪。
マイアミビーチの波。
たとえば、凍死。
たとえば、溺死。
死はすべての人に等しく訪れるが、
その質はけっして等しくはない。
私は、
他者に支配される自己よりも、
自己を支配する他者でありたい。
「私は他者である」
そう言った偉....
只今2:18a.m.、数分前に嫌な夢を見て目覚めてしまった。
肌寒い為かその夢の為か、身体が、ベッドの上で震えている気がした。本当は震えてなんかいないのかもしれなかった、ただ、強張っているだけかもしれなかった。とにかく、身体も心も不快なスチールウールのようだったので我慢できず起き上がって階下へ、そうして、赤ワインをグラスに1杯、まず一気に飲み干す。
それから、2杯目をきちんと一口ずつ....
最近まで、電話回線をとめられていた。つくづくお金がないとやっていけないと思った。かといって、手段を選ばず金が欲しいってわけじゃない。つくづく俺はわがままなんだと思った。
ようやく、給料が入って電話回線をつないだ。物事が、いい方向に動くことを願ってやまない俺は、神社へお参りへ行くことで安心する、軽い人生を望んでいるのかもしれない。電話回線がつながれば、宝くじの一等の当選番号が教えられるのではな....
「詩を読むのにも飽きて
ピヨピヨ湖のほとりで
釣りをしていた
おれが愛したのは
美しい風景ではなく
それを記述した言葉の美しさだった」
とかいたところで
小学生の息子が
将棋盤をもってやってきた
毎週しめきりの日に
詩をひとつデッチあげているのを
家族はみんな知っている
「もうおわった?」
「ああいまちょうど....
摂氏二十度の夜眠れずに徒歩五分
自販機の前で飲み物を選びながら
サンダルの足下に生ぬるい感触を感じる
猫が一匹
オスの三毛猫手の平サイズ
希少価値で動物学者に売れば
幾らかになるんだろう
変色しもう使わない皿を引っぱり出す
賞味期限二日過ぎた牛乳を注ぎ
鼻先に押しつける
案の定怪訝な顔をしながら
それでも音を立てて舐める
その前でふと考える
名前を付....
とりあえずここで、書かれた詩作品は、それを書いた作者とは一旦切り離されたものであると考えよう。もちろん、現実にその詩を書いたのはまぎれもなく作者であるし、作者は思いつけばいつでも書いた詩を書き換える・あるいはいっそのこと捨ててしまう権利を持っていることは確かなことである。
しかし、詩作品として読者に提示されたテクストは、作者がもうコントロールできる範囲を超えてしまうということは、おそらく当たり前....
ラ・ヴィ・アン・ローズ人生はバラ色
パリの空の下古いレコード店から
軋むように歌が流れる
日本からここに辿り着いた初老の男は
晴れた日にはセーヌの流れを聞きながら
カフェのテラスでクロワッサンにハムとHを挟んで
カフェ・オレで喉に流し込み
雨の日にはブローニュの森を
しんしんと散歩しながら
濡れた緑に足とHを沈め
早朝には青空に映える
....
TheShortHappyLifeofSteveGoddwithhisOl'Lady
彼の両目が平均の1.5倍は左右に離れていた原因は、主にコカイン中毒に由来していたが、LSDの幻覚のせいだ、という説もあった。
しかし、彼が、背後の13音階の銅鑼をシャッフル気味の64分音符で、振り返らずに正確に叩けたのは、その視角が270度もあったからに他ならない。
そ....
タイトル「幸福」の検索結果
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
幸福のパン 服部 剛自由詩13*06-11-13 0:34
幸福な九月千月 話...自由詩18*06-9-17 23:50
私の幸福ひじり自由詩3*06-9-12 22:28
幸福奥津 強自由詩206-9-2 23:05
幸福の谷 服部 剛自由詩14+*06-8-7 22:30
人の幸福について考える。腰抜け若...散文(批...3*06-6-7 22:54
ぽえむ君−幸福−ぽえむ君自由詩7*06-5-14 6:47
自分のための幸福論腰抜け若...散文(批...5*06-5-8 10:01
幸福論佐々宝砂自由詩5*06-5-5 17:33
幸福駅窪ワタル自由詩3*06-4-1 19:51
幸福。 服部 剛未詩・...7*06-3-25 20:08
幸福な、一瞬の永...自由詩206-3-22 15:20
不幸のような幸福ラピス自由詩2+*06-1-27 14:00
幸福な妄想初代ドリ...自由詩10*05-9-7 21:36
君の幸福を願う心を天使自由詩0+*05-8-23 23:41
至上の幸福大覚アキ...自由詩005-6-26 22:21
日々の垂れ流し20050425.真夜中の、洗濯物由来の幸福A道化散文(批...205-4-25 3:17
幸福の条件チャオ散文(批...6*04-11-18 3:26
幸福な晩年みつべえ自由詩8*04-11-15 5:48
幸福の神様385自由詩1*04-10-18 23:22
詩を読むこと=読まれること−幸福と殴り合いのななひと散文(批...504-7-21 7:32
幸福な名前千月 話...自由詩3*04-5-27 17:17
スティーヴ・ゴッドの短くも幸福な人生〜神業とかみさんの日々〜クリ自由詩12*04-1-27 2:15

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