[188]るるりら[2018 09/22 10:23]★1
遠い記憶の中の
二階への階段を登ると
行く手に 二つの部屋がある
片方の部屋からは えもいわれぬ臭気が漂っている

ふすまをあけると 大きな白いキャンバス
画板にいっぱいに広がる白い粉の平原だ
もう何日も透明な顔料画板塗り重ねられている
角度によって微細の粒子が それぞれ乱反射して
薄暗い部屋の片隅で 深い眠りのように白いのは
白い粉が 貝殻を原料とした顔料だからかもしれない
乾くまでは いつまでもいつまでも死んだ海の匂いがする

死んだ海の匂いの隣は、少女の部屋
カーテンを すこしあけると
あっという間に ひかりがさしこんで
少女の部屋は
なんだか きやきやする
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